川崎市の海沿いから内陸寄りの広い範囲をカバーする川崎鶴見臨港バスが、ディーゼルバスをリチウムイオン二次電池「SCiB」を使ったEVバスに改造し、2025年の実証運行を目指すと発表した。「SCiB」への超高速充電にはパンタグラフを用いるといい、従来数時間を要した充電が約10分で完了するという。公共交通の有力な選択肢になるか(2024/10/03)。
プロジェクト概要
・パンタグラフ式充電器で充電したEVバスを使い、日本で初めて公道での商業運行を含めた実証を目指す
・川崎鶴見臨港バスがバスの実証運行、東芝がリチウムイオン二次電池「SCiB」のバッテリーモジュール製造、デバイスエレクトロテクノロジー社がEVバス改造・充電tき製造を担う
・電力負荷低減に向け、充電器に併設した蓄電池に中古のSCiBを使うことでリチウムイオン二次電池の有効活用を図る
EVバス導入の課題解消を目指す
▼課題
・従来型のEVバス導入には長時間の充電、充電器の数の制約があり、車両の運用効率に影響が出る場合がある
・広い充電スペースや多数の充電設備が必要になる場合がある
▼解決のために
・充放電を繰り返しても劣化が少なく、超急速充電が可能な「SCiB」を使う
・大電力を短時間で充電できるパンタグラフ充電設備を導入する
→従来のEVバスで数時間を要した充電時間が約10分で完了する見込み
参考 リチウムイオン蓄電池「SCiB」
チタン酸リチウムを使った二次電池。6つの特徴
①安全性 発火の危険性が極めて少ない
②低温性能 −30度でも繰り返し充電と放電が可能
③高入出力 大電流での充放電が可能。短時間に大パワー
④急速充電 6分間で80%超の充電
⑤広い実効SOCレンジ 0%〜100%で使用可能
⑥長寿命 2万回以上のサイクル寿命
参考 パンタグラフ充電方式のバスイメージ
参考 川崎鶴見臨港バス路線図
かなり広い範囲をカバーしている。
感想・まとめ
注目される二次電池といえばトヨタの「全固体電池」だが、東芝の「SCiB」も実用化が進む注目の二次電池の一つ。川崎鶴見臨港バスのプロジェクトはSCiBの高性能を活かす取り組みだが、1両あたりの年間運用コストがどんな感じになるのかが知りたいところ。どらったら!調べでは燃料電池(FC)バスはディーゼルバスの2倍だった。
この数年水素バスの普及は広がりをみせていないところを見ると、次世代バスの主力はディーゼル改造(レトロフィット)を含めたEVバスなのかな。いすゞも新型BEVを発売したし。
参考 いすゞの国内初BEVフルフラット路線バス発売(2024年5月)
いすゞ、国内初のBEVフルフラット路線バス「エルガEV」を発売 ~公共交通におけるカーボンニュートラルの実現を目指して~ | いすゞ自動車