dorattara! Season4

東京都中央区、江東区の臨海部を中心としたメモ。独自の情報を除いては、報道ベースではなく、発表主体の情報をベースに書くことを基本にしています。

#617 神戸市のタワーマンション規制について調べてみた

神戸市が2020年6月、市中心部のタワーマンション建設規制をねらった条例を施行した。その内容と検討過程を確認しておく(2020/09/14)

概要

神戸市は2018年9月から「タワーマンションのあり方に関する研究会」を立ち上げ、タワマンの抱えるリスクと対応策についての調査を実施した。狙いは「持続可能なタワマンのあり方」に関する検討。研究会は2018年9月と11月に開催され、12月に報告書が示されている。

順に追ってみていく。

研究会第1回(2018年9月11日)

・神戸市のタワーマンションの現状確認

・高さ60m以上のマンションは69棟(2018年6月)

神戸市中央区のタワマンの分布と容積率

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・検討課題(案)

持続可能性

 修繕積立金不足/将来の保有コスト負担

コミュニティ

 区分所有者の属性多様化による合意形成の困難

 高層階住民の外出行動の減少

 周辺コミュニティとの関係の希薄化

まちづくり

 インフラの不足(小中学校の過密化など)

 都心部への人口集中(市域全体のバランス)

そのほか

・人口動態

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(神戸市)

タワーマンションの終末期について

議事要旨

研究会第2回(2018年11月15日)

・タワマンのあり方に関する検討課題と対応策(案)の提示

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(神戸市)

タワーマンションのあり方に関する研究会とりまとめ報告の方向性(案)の提示

 表題/現場・課題/目指すタワーマンションの姿/課題ごとの対応策/資料

議事要旨

研究会報告書(2018年12月17日市長に報告)

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(神戸市)

現状

・神戸市内の20階以上のマンション実態調査は回答率24%。

タワマン居住者のマンション管理維持への関心が低い。無関心層の広がりが様々な問題を引き起こす懸念がある

・マンション内の付き合い「ほとんどない」「あまりない」が計87%。マンション外の地域住民との付き合い「ほとんどない」「あまりない」が計76%

→マンション内、地域コミュニティとの隔絶が起きている状況

 

修繕積立金の状況

国土交通省ガイドライン:20階以上の修繕積立金の適性額 206円/㎡・月

これを100とした場合の各地域の修繕積立金の状況(201戸以上のマンション)

参考:兵庫 41・7(適正額の半分以下)

・将来の保有コスト

単棟型マンション管理費の平均額 20階建以上 249円/㎡・月

 ・住宅団地における過去5年間の人口移動率は24・8%

全国平均の人口移動率(28・7%)より低い

・持ち家率が高くなるほど人口移動が起きにくい

一般マンションに比べて管理費が高額のタワマンで、転居等の少ない分譲マンションでは高齢化率が最も高くなる傾向にある。将来の保有コストの負担が困難になる恐れがあり留意が必要

タワーマンションのあり方に関する課題

持続可能性の確保

修繕積立金不足

マンション供給時の修繕積立金を低く設定している場合,定期的に必要な大規模修繕工事等の実施で資金不足となる恐れ。合意形成の困難さから修繕積立金の増額や場合によっては修繕工事が実施できない事態も。その場合,当該マンションのみならず,周辺地域への影響も懸念。

 ・将来の保有コスト

一般のマンションよりもグレードの高い材料や設備としていることが多く、タワマン管理費や修繕積立金などの保有コ ストは高額となる傾向。 修繕工事の費用も割高となる傾向。

今後,建物の経年劣化が進み,かつ,居住者の 高齢化が進むことによる負担力の低下により,保有コストの負担が困難となる恐れ。 

 ・災害対応

地震などの災害時には,居住者の多いタワマンでは,備蓄や避難場所の確保などの問題も顕著に現れる。
災害時の停電によりエレベーターが停止した場合,高層階の住民,特に高齢者の生活への影響は多大

良好なコミュニティの形成

省略

まちづくりとの調和

都心部への人口集中

利便性や土地の有効活用の観点から,タワーマンションの立地が都心部に集中。都市のスポンジ化の問題が生じる恐れがあるなど,市域全体の人口分布のバランスの面で課題。

・インフラの不足

タワーマンションの立地は極めて狭いエリアでの人口増加となり, 小中学校の過密化などのインフラ不足による問題が生じている。

条例

この報告書が、神戸市中心部でのタワマン規制条例につながっていくことになる。

www.city.kobe.lg.jp

・都心機能誘導地区のうち(例外規定はあるものの)

  都心機能高度集積地区内(赤:三宮駅周辺)に住宅などを建築してはならない

  都心機能活性化地区内(水色)では住宅等の用途に供する部分の容積率が400%を超える建築物は建築してならない

・敷地面積1000㎡未満なら適用しない

という内容。

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参考:神戸市:特別用途地区「都心機能誘導地区」

 

・・・

感想・まとめ

賛否両論のある超長期の壮大な社会実験か。

説明不足気味でロジックのわからない部分もあるけどなかなか興味深い。タワマン含む住宅禁止は三宮駅前のごく一部。ほかは容積率400%まで建てられる。そう考えるとマイルドな気もする。

なお、神戸市中心部の住宅抑制と周辺部への人口誘導はセットになっているそうだ。

街の中心部がベッドタウンになると、その外側で空き家が増えたり、まちの世代交代(更新)に影響し、人口減少を加速すると指摘する専門家もいる。

答え合わせは何年後かになるだろう。

参考

www.city.kobe.lg.jp