東京8号線延伸(豊洲〜住吉)の最近の検討状況についてまとめておく。2020年に入って国と東京都、東京メトロの3者による技術的検討が進められているのが一番フレッシュな話題かな(2020/07/30)。
(江東区)
2020年に入り、これまでに3回、国土交通省と東京都、東京メトロの三者による「東京8号線延伸」に関する勉強会が開かれている。 東京メトロの事業者としての専門的知見を活用し、既存調査を踏まえた技術的観点からの課題抽出と、駅構造などの検討の深度化、事業費の精査を実施する ・既存調査も踏まえた技術的観点からの課題抽出をすすめる ・駅構造などののハードスペックの検討を深める の2点については、関係者間で技術的検討を進める ・技術的観点からの課題 1 すでに混雑している豊洲駅の施設規模 2 東陽町駅の構造 3 本線部の施工などの建設計画 4 運行計画 ・建設計画の精査と運行計画の精査、需要予測の確認などについて検討を行う ・既存計画を基に橋梁や運河護岸の基礎などの支障箇所、施工方法、課題を検討支障回避の可能性、施工方法などについて検討を深める ・新型コロナ感染拡大で鉄道利用者大幅に減少、感染拡大防止策は当面継続見込み。駅施設の構造・規模、運行計画の検証などについて、新型コロナの影響を注視しながら検討を進める ※第4回以降は未定。第3回で終了するつもりが、新型コロナが入ってきたため考慮せざるを得なくなった印象。 ・江東区では河川や運河がネットワークを形成。橋梁や運河護岸が多数存在し、構造物を支える杭や矢板などの基礎が深い地層まで打ち込まれている ・道路下には下水道、電力通信施設が埋設。規模が大きなものもある。 (東京都) ・道路など公共空間の地下を最大限活用 ・支障となり得る構造物の位置などを踏まえた最適な施工方法を精査する必要がある (東京都) 乗り入れ可能な構造になっている。 豊洲駅について、東京8号線延伸の影響を踏まえるとさらなる駅施設の改良が必要 既存の東西線東陽町駅の下に新たな駅空間を整備する必要がある。 施工にあたっては東京メトロ東西線の運行や地下埋設物による制約を受ける可能性。難航時が予想される。建設期間や事業費に影響することが想定されるため、駅構造のさらなる精査が必要。 企業埋設管の位置を踏まえて整備する必要がある 本線部に橋梁、運河護岸の基礎が多数存在し、下水道管や電力・通信施設が埋設されている。支障回避の可能性を検討する必要がある 橋梁の基礎杭が支障する場合→アンダーピニング(橋梁の下受け)や橋梁の架替が必要。施工方法の選定にはさらなる検討の深度化が必要。 (以上) んー、「〜が必要」が実に多い。 勉強会なので、長々とはやらないだろう。2020年度中に最終取りまとめが公表されるだろう。5月の第3回勉強会では新型コロナによる鉄道利用者減少が検討に盛り込まれることが示唆されている。第4回は8月下旬現在未定。 (交通政策審議会答申資料) 東京8号線整備の重要な意義付けとして、東京メトロ東西線の混雑解消があった。新型コロナの結果として図らずも混雑解消が実現してしまうかも。もう一つの意義は「臨海副都心」⇆「都区東部の観光拠点/東京圏東部・北部」の利便性向上だった。 第4回の勉強会の内容が気になるところ。新型コロナを踏まえてどういう検討がなされるのか。いずれにしても時間との闘いだろう。 2016年7月のエントリによると 東京メトロとの合意を前提とした最速のケースでは ・2018年度の国の予算に反映(2年後) ・2027年度末の開業 (11年後) これをそのまま現状に当てはめた場合、建設工事に問題がなく東京メトロとの合意が成立したとして ・2022年度の国の予算に反映 ・2031年度末の開業 東京8号線延伸実現の大きな鍵となる東京メトロ株の売却期限が2022年度から2027年度に5年間延長されている。 5年先送りされるとスケジュールとしてはこんな感じになる。 ・2027年度の国の予算に反映 ・2036年度末の開業 懸念材料としてメトロ東西線と京葉線の沿線の生産年齢人口が急減もあって、これぐらいがタイムリミットか。 東陽町駅に関しては事業費や工期に影響するような難工事になることが明記されていた。中間駅でも下水道管や通信施設を回避することや移設が必要。さらに橋梁の架替まで書かれている。 大江戸線勝どき駅の工事を見れば、相当な時間がかかる恐れがある。臨海地域地下鉄構想と異なり大深度地下の活用を想定してはいないようなので、相当大変そう。 (追記)資金スキームなどはこちらで触れている。コロナ禍でハードルは上がったけど、制度的なサポートはやるとなったらやるんでしょう(2020/08/21)。 国の「勉強会」について
目的
第1回(2020年1月)
第2回(2020年2月)
第3回(2020年5月)
本線部分の建設計画概要(第3回まで)
概況
ルートの考え方
支障箇所の整理
豊洲駅と住吉駅
東陽町駅
中間駅
本線部ほか
施工方法
感想・まとめ
勉強会の今後
今後注目すべき点は
最速の開業スケジュールを考える
さらに遅れる可能性、タイムリミットは?
参考