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東京都中央区、江東区の臨海部を中心としたメモ。独自の情報を除いては、報道ベースではなく、発表主体の情報をベースに書くことを基本にしています。最近はゲリラ的な花火大会情報も提供。

#585 激変、東京都区部の上昇地点が消滅 2020年第2四半期の地価LOOKレポート

2020年8月21日、3カ月ごとに発表される主要都市の高度利用地地価動向報告=地価LOOKレポートが発表された。このレポートは不動産鑑定士が全国100地区についての不動産市場の動向に関する情報を集めて地価動向を調べ、国土交通省でまとめたもの。 

対象期間 2020年4月1日〜2020年7月1日
東京臨海部の3地区について現況と前期の比較をしていく。 
 
 
東京都区部の地価動向

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国土交通省

 

参考:直前の四半期
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全体概要

 新型コロナウイルスの影響が全期間に及ぶため、影響を注目していたが、様相が劇的に変化した。東京都区部の上昇地点がゼロになった。住宅は全国32地点で上昇地点がゼロに。

全体概要(100地点)
 上昇 1地点(前回73地点)
 横ばい61地点(前回23地点)
 下落 38地点(前回 4地点)
 変動率区分の下方変動は75地区(前回46地区)
首都圏概要(43地点)
 上昇  0地点(前回26地点)
 横ばい38地点(前回16地点)
 下落  5地点(前回 1地点)
 下方変動は27地点(前回20地点)
全国住宅(32地点)
 上昇  0地点(前回23地点)
 横ばい27地点(前回 8地点)
 下落  5地点(前回 1地点)
 下方変動は11地点

東京臨海部概要

▼佃・月島(0%横ばい 前期:0%横ばい)

(現況)コロナ下も大きな変化なし。底堅い印象。

 当地区は銀座等の都心への優れた接近性を備えるとともに、東京タワーや東京スカイツリー等のランドマーク施設や河川等に囲まれた変化に富んだ眺望が得られることから、分譲・賃貸ともに高層マンションの需要が強く、人口・世帯数共に増加傾向にあり、さらなる発展が期待される。新型コロナウイルス感染症の影響により、新築マンション及び中古マンションの売買取引は停滞したが、緊急事態解除宣言以降は取引件数が徐々に回復しており、マンションの在庫数や需給動向に大きな変化は生じておらず、マンション分譲価格については横ばいで推移している。マンション開発素地については、当地区内外で高層マンションの開発計画が見られ、デベロッパー等による素地に対する需要は継続して堅調であり、取引利回りは横ばいが続いて、当期の地価動向は横ばいで推移した。

(前期現況)

 当地区は銀座等の都心への優れた接近性を備えるとともに、東京タワーや東京スカイツリー等のランドマーク施設や河川等に囲まれた変化に富んだ眺望が得られることから、分譲・賃貸ともに高層マンションの需要が強い。「中央区基本計画2018」によると、当地区では今後10年で人口が約1.5倍に増加することが見込まれており、また、地区計画では良質な都心生活地としての複合市街地の形成を目的とした土地利用が求められており、当地区はさらなる発展が期待される。当地区における新築マンション及び中古マンションの売買取引は、新型コロナウイルス感染症の影響により停滞しているが、マンション分譲価格については横ばいで推移している。マンション開発素地については、デベロッパー等の素地に対する需要は継続して強いが、新型コロナウイルス感染症の影響による取引の停滞等の懸念から、取引利回りは横ばいとなり、当地区の地価動向は横ばいで推移した。

(今後)コロナの影響と利便性向上への期待が相殺

 新型コロナウイルス感染症の影響については予断を許さない状況であるが、BRTのプレ運行や環状2号線の整備等の都市基盤整備による利便性の向上が期待され、こうした背景からマンション市況は安定した状況が続くと予想され、将来の地価動向は概ね横ばいが続くと予想される。

(前期の今後)

 BRTのプレ運行や環状2号線の整備等の都市基盤整備による利便性の向上が期待され、こうした背景からマンション市況は好調を維持すると予想される。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響で、取引停滞等の懸念については先行きが不透明で、このような市況の変化が今後の地価動向にどのような影響を及ぼすかについては注視が必要である。

豊洲(0%横ばい 前期:0〜3%上昇)

(現況)期間前半は停滞、後半は徐々に回復

 当地区は、他の湾岸エリアと同様に需要者の購入意欲が底堅いエリアであることから、マンション需要は堅調に推移していたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い緊急事態宣言が発令され、当期前半は取引の停滞感が特に強かった。緊急事態解除宣言後は、販売活動が再開され、取引件数は徐々に回復しており、マンション分譲価格は横ばいで推移した。マンション開発素地の供給が極めて少ないこと等からデベロッパー等の開発素地に対する需要は安定しているものの、新型コロナウイルス感染症の影響等から取引利回りは横ばい傾向となり、当地区の地価動向は横ばいで推移した。

(前期現況)

当地区は、他の湾岸エリアと同様に需要者の購入意欲が底堅いエリアであることから、新築分譲マンションについてはマンション分譲価格上昇の動きが見られ、中古マンション市場においても取引価格は安定している。また、豊洲駅前の再開発地区に存する大規模商業施設の増床は、周辺のマンション市場にとって前向きな材料となっている。新型コロナウイルス感染症の影響による取引の停滞等の懸念があるものの、マンション開発素地の供給が極めて少ないこと等からデベロッパー等の素地に対する需要は継続して強く、取引利回りはやや低下傾向で推移していることから当期の地価動向はやや上昇で推移した。

(今後)コロナの影響は軽微な書き方

 当地区は、利便性の高さから買換え需要を中心にマンション需要は引き続き安定的に推移すると予想され、優良なマンション開発素地に対する需要も安定した状態が持続すると見込まれるため、新型コロナウイルス感染症の影響による取引停滞等の懸念はあるものの、将来の地価動向は当期同様に概ね横ばいで推移すると予想される。

(前期の今後)

 当地区は、利便性の高さからマンション需要は底堅く、当地区内の買換え需要を中心に当該需要は引き続き安定的に推移すると予想され、優良なマンション開発素地に対する需要は堅調な状況が持続すると見込まれる。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響で、取引停滞等の懸念については先行きが不透明で、このような市況の変化が今後の地価動向にどのような影響を及ぼすかについては注視が必要である。

有明(0%横ばい 前期:0〜3%上昇)

(現況)下方移行も「コロナ」と「将来性」で相殺

 当地区では、都心部に近接する湾岸エリアでの割安感や将来性等からマンション需要は堅調に推移していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い緊急事態宣言が発令され、当期前半は取引等の動向がストップした状態であった。緊急事態解除宣言後は徐々に取引等が見られ始めたが、取引市場は低調に推移し、上昇傾向にあったマンション賃料も横ばいで推移した。一方で、当地区は国家戦略特区の認定を受けた大規模開発事業や東京五輪関連施設の整備のほか、環状2号線の開通や銀座と有明を結ぶ地下鉄構想による都心部へのアクセス向上等、その将来性により注目度は非常に高いことから、デベロッパーの安定した開発素地需要が見込めるエリアであることに変わりはなく、当期の取引利回りは横ばい傾向に留まって、当地区の地価動向は横ばいで推移した

(前期現況)
 当地区では、マンション分譲価格上昇の動きが一段落しているものの、都心部に近いエリアと比較して相対的に割安感があり、地域の将来性も期待できること等から、マンション需要は堅調に推移している。こうした要因はマンションの賃貸需要にも影響しているが、一方で賃貸物件の供給量は限定的であることから、マンション賃料は上昇傾向にある。建築費は高水準にあり、また当地区周辺の湾岸エリアを含めて引き続き分譲マンションの大量供給が控えている等の懸念材料もあるが、当地区は国家戦略特区の認定を受けた大規模開発事業や東京五輪関連施設等の工事が進捗し急速な発展を遂げつつあり、また、環状2号線の開通や銀座と有明を結ぶ地下鉄構想により都心部へのアクセス性向上が見込まれている等、その将来性を見据えデベロッパーのマンション開発素地取得意欲は強い状況にある。こうした背景から、当期前半の地価は前期同様に推移したが、後半は新型コロナウイルス感染症による一時的な経済活動停滞等の影響により減速し、当期の地価動向はやや上昇で推移したものの上昇幅が縮小した。
(今後)「コロナの影響」と「将来性」が相殺

 新型コロナウイルス感染症が終息せず、経済打撃や東京五輪開催延期が不動産市場へ与える影響の程度は依然として不透明であるが、当地区の将来性を背景にデベロッパーの開発素地取得需要は底堅く、将来の地価動向は横ばいで推移すると予想される

 (前期の今後)

当地区の将来性を背景に、中長期的にはデベロッパーの開発素地取得需要は堅調に推移することが見込まれるが、新型コロナウイルス感染症による経済打撃や東京五輪開催延期が不動産市場へ与える影響の程度は不透明であり、今後の地価動向については注視が必要である。

参考:東京都区部で3〜6%の下落になった地点は2箇所

①新宿区歌舞伎町(前期:0〜3%上昇)

(概況)上向きの材料なし

 当地区は日本有数の繁華街で、商業、文化等の機能が集積し、多様な魅力を備えた国際的な観光・交流拠点として、多くの外国人観光客や国内の行楽客が訪れ、さらに当地区の拠点エリアにおける再開発計画への期待感も大きい中で、飲食店舗、物販店舗は賑わい、ホテルは高稼働が続いていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、来街者が大幅に減少し、飲食店舗、物販店舗は営業時間短縮や休業等によって感染症対策に協力した結果、当地区の賑わいは大幅に減少し、店舗の売上高やホテルの稼働率は大幅に低下した。賃料減額要請や解約申入れの動きも見られるなか、取引市場及び賃貸市場ともに需要が弱まったため、店舗等の賃料は下落に転じ、取引利回りも上昇に転じたことから、当期の地価動向は下落となった。

(今後)上向きの材料なし

 当面は、新型コロナウイルス感染症の影響による来街者の減少や店舗の賑わい低下、ホテルの稼働率低下等が懸念されるため、取引市場及び賃貸市場ともに需要は限定的にならざるを得ないと見込まれることから、賃料は下落傾向、取引利回りは上昇傾向が続き、当地区の将来の地価動向は下落傾向で推移すると予想される。

台東区上野(前期:0〜3%上昇)

(概況)上向きの材料なし

当地区は外国人旅行客に人気のあるアメヤ横丁を擁する店舗街で、近年は旺盛なインバウンド需要を背景に外国人観光客をターゲットとしたホテル開発が多数行われ、店舗は低い空室率で推移し、賃料も上昇基調で推移していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、緊急事態宣言の発令や入国規制等が行われ、当地区を支えてきた外国人観光客が大幅に減少し、店舗は営業時間短縮や休業等をせざるを得なくなった結果、当地区では従来の賑わいは見られなくなり、ホテルの稼働率は大幅に低下した。家賃負担が困難となったテナントからの賃料減額要請や解約の動きも見られるなか、取引市場及び賃貸市場ともに需要が弱まったため、店舗賃料は下落に転じ、取引利回りは上昇したことから、当期の地価動向は下落に転じた。

(今後)「復活が見込めない」など深刻な表現

将来の地価動向については、当期後半に緊急事態解除宣言が発令され、外国人観光客による賑わいの復活を見込めない状況が継続していることから、引き続き店舗賃料の値下げ要請や撤退店舗の増加、ホテルの収益悪化等が懸念され、取引市場及び賃貸市場ともに需要は弱含みの減少傾向により、将来の地価動向は下落傾向が続くと予想される。

 

感想・まとめ

 上昇時はじりじり上がり、下落する時は一気に状況が変わる。

 11月の第2・四半期のレポートには大きな注目が集まるだろう。

 今回については下落に転じた地点が2カ所にとどまった東京都区部の底堅さが印象的だった。

参考

www.mlit.go.jp