豊洲駅〜住吉駅間の東京8号線延伸を実現するために残された時間はあまり多くはないのではないか、という見方を、東西線、京葉線の沿線人口減少の観点から(2019/11/21)。
(江東区)
予想される沿線人口の推移
東京8号線延伸(豊洲〜住吉)は東西線混雑率の緩和を大きな根拠の一つとしている。混雑率に強い関係があると思われる沿線人口の推移を東西線を中心に見ておく。対象は「全人口」と、より鉄道を利用しそうな「生産年齢(15〜64歳)の人口」。
これはパンフレットに記載された整備効果「混雑率緩和」。
(江東区)
今回は、東西線と京葉線の効果が大きいようなので、この2路線について抽出してみた。
東西線沿線
東西線沿線:
①全人口の推移
(中の人作成)
・2030年までは増加が続く。ピークは約342万人
②生産年齢人口(15歳〜64歳)の推移
(中の人作成)
・ピークは2025年の約228万人
・2040年以降は全沿線自治体で生産年齢人口は減少(5年間でマイナス4%程度)。
京葉線
京葉線沿線
千葉県:浦安市、市川市、船橋市、習志野市、千葉市(中央区、美浜区)
※人口推計は千葉県習志野市、千葉市の2区については当該自治体独自のもの、他は国立社会保障・人口問題研究所(2018年推計)のものを使用した。
①全人口の推移
(中の人作成)
・ピークは2030年の321万人。減少は比較的緩やかで2045年時点でも2020年比較で1%ほどの減少ににとどまる。千代田区、東京都と千葉市の両中央区、江東区区の人口増加継続が大きい。
②生産年齢人口の推移
(中の人作成)
・ピークは2025年の約215万人。2035年には200万人を割り込み2045年には2020年との比較で10%を超える大幅な減少になる見通し。
感想・まとめ
東西線の混雑率緩和を延伸の大きな根拠の一つとする東京8号線延伸部の開業は最速でも2030年代前半とされる。沿線人口(全人口)がピークを迎えるのは東西線、京葉線とも2030年ごろ。しかし全人口の減少は2045年にそれぞれ1%未満、1%程度と緩やかなペースにとどまるようだ。
一方、鉄道・地下鉄を通勤通学で利用する生産年齢人口を見ると、沿線人口のピークは東西線、京葉線とも2025年。いずれも2045年にかけて10%近く減少することが見込まれている。
仮に2035年に開業(根拠なし)をしたとして、沿線の生産年齢人口が急速に減少する見通しの中では、事業根拠の一つである混雑率緩和の説得力を問われることがあるかもしれない。
参考