東京都の都営交通の経営について考える有識者会議が2023年12月22日に開催された。この中で都営バス乗務員の年齢構成が紹介された。65歳で退職とすると毎年100人を超える乗務員が退職する期間が2027年前後から6年ほど続く。現状で5分の1以上の職員が60代となっていて、当面増加の見通し。年齢構成の歪さが目立ち、都営バスの路線維持が全体として徐々に困難になることが予想される(2024/01/16)。
※公表資料を目分量で読み取って作成したのでパーセンテージは概数。
都営バス路線、現状の事業規模を維持できない可能性
有識者会議では都営バスの役割や他の交通機関に対する優越性の分析を示した一方で、人員不足による事業規模縮小の可能性が示唆された。長期的な視点での検討はプラス方向ということは考えにくく、基本的には減便、廃止、路線変更ということになるだろう。
・鉄道を補完する役割
・バス停からすぐに乗車可能で高齢者に優しい交通手段
・人員不足で現在の事業規模を維持できなくなる可能性がある
→新たな交通手段普及や鉄道新線開業による需要変化を見据えた都営バス路線のあり方について長期的な視点での検討必要
都営バス乗務員、2027年度以降大量退職?
資料では都営バスの乗務員の衝撃的な年齢構成が示されていた。
※今後、6年連続で100人以上が65歳に到達する(毎年、全職員の4〜5%に当たる人数が65歳を迎える)形になりそうで乗務員の急減は避けられないかも。
都内の大型二種免許保有者数
2012年 約7万人(50代以下は3・5万人)
2022年 約5・3万人(50代以下は3万人)
※半数近くが60代で、大量退職が見込まれる。
参考 バス運転者の労働時間見直し(2024年4月1日)
1️⃣1日の休息時間 継続8時間以上→継続9時間以上(11時間以上が基本)
2️⃣1日の拘束時間 13時間以内(15時間超は週2回まで→14時間超は週3回まで)
感想・まとめ
中央区の鉄道不便地域など、公共交通を都営バスに頼る地域にとっては中長期的に厳しい時代がそこまできているという認識。月島地域では晴海フラッグを含む晴海全域や勝どき5、6丁目、豊海町などが該当か。
乗務員不足が理由ということで、23区といえども多くの地域で路線廃止、減便が相次いでもおかしくはない。
資料で特に目を引いたのは「新たな交通手段」や「鉄道新線開業」と絡めた内容があったこと。「新線開業に伴い需要は減少することが予想される」という表記もあったので、東京BRT沿線、南北線分岐線、有楽町線分岐線のカバーエリアが減便の重要なターゲットとなる可能性は高い。
乗務員採用にあたって、退職者を100%補充することを目標とした採用活動にはならないのかもしれない。
今後、中長期にわたりダイヤ改正は減便が基本となり、増便ダイヤ改正は少なくなるように思う。