築地市場跡地の再開発事業予定者の提案について、東京都が内容を公表した。審査委員からの意見付与があったといい、中には建物配置の変更を求めるものもあったようだ。今後、提案をさらにブラッシュアップし、2024年度中に内容を固めていくことになりそうだ。細かく指摘の内容を見ていく(2024/04/20)。
築地市場跡地再開発、最優秀提案者の提案ポイント
・広場と水辺空間 東京のウオーターフロントの新たな顔
・舟運、空飛ぶクルマ、地下鉄新駅の「陸海空」
交通広場整備
舟運利便施設整備
ヘリポート・空飛ぶクルマのポートを整備
・大規模集客、交流施設とMICE施設
収容人数約5万人/各種スポーツ大会・コンサート・大規模展示会
屋上〜浜離宮を見渡せるスポット
1200人規模のボールルーム(シアターホール)
エリア内で数万人規模のイベントに対応
東京ビッグサイトと東京国際フォーラムの中間に総合MICE機能
・食と文化芸術、フードホールとシアターホール
「築地クリナリーセンター」創設
プロムナード両側に店舗を連続的に配置
施設配置
①大規模集客・交流施設
②③ホテル棟
④レジデンス棟
⑤オフィス・レジデンス棟
⑥ライフサイエンス・商業複合棟
⑦オフィス棟
⑧舟運・シアターホール複合棟
⑨MICE・ホテル・レジデンス棟
今後の予定(提案であって決定ではないことに注意が必要)
2024年度末 東京都と事業者などによる基本協定締結
2025年度 先行賑わい施設着工
2026年度末 定期借地権設定契約の締結
2032年度 第1期建築工事の完了
2038年度 第2期建築工事の完了
審査結果
A,Bの2グループから意欲的な提案がなされた。
全ての審査委員がBグループを最優秀提案者とした
Aグループは参加資格要件、基本的な条件を一部満たさず失格が相当とした
事業期間と提案数
事業期間 基本協定締結日から本設整備における定期借地権設定契約の期間満了日まで
貸付期間 70年間+建設期間+除却期間
提案数 2
最優秀グループ→Bグループ(最優秀応募者)
提案貸付料 4497円(1㎡当たり月額)
※194679・11㎡を乗じると、月額約8億7500万円
施設・まちづくりの計画・技術的評価の指摘
※特に評点が低かったのが全体コンセプト(!)と「新しい文化の拠点」の項目で配点の半分にも届いていなかった。
(以下、課題等)
・「未来への飛翔」「ONE PARK×ONE TOWN」はコンセプトとして伝わりにくい
・広域交通結節点の形成等に関しては意欲的な提案。待ち時間を豊かに過ごせる空間形成が望まれる
・定期船、不定期船の運航ルートを具体的に提案。高い実現性が期待できる
・舟運と自転車を組み合わせる取り組み、舟運利便施設とシアターホールの一体整備を評価
・5つのプロムナードを整備。人工地盤で歩車分離。地区内は自動運転車と中速モビリティで繋ぐ。
・築地川沿いはホテル・住宅利用者に立ち入りを限定。都民が訪れたくなる機能や空間になっていない印象。人々の回遊を促す仕掛けが必要
・築地ならではの新たな文化を生み醸成する発想が足りない
・フードホール、クリナリーセンター、シアターホールの提案は築地の特性を加味し、より独創的になるよう検討する必要あり
・都民が気軽に訪れ、世界に対しても発信できる二面性が欲しい
・大規模集客・交流施設(コア施設)は東京の新たな強みにするためには施設としてのブランディングが重要で、都民が親しめる施設とする視点が必要
・魅力的イベントをどのように誘致して世界から人を引き寄せるか、運営も含め活用計画の深度化が必要
・文化発信施設としてシアターホールがあるが、具体的取り組みの提案はない。
・隅田川沿いに水辺に開かれた広場空間を整備するとしているが、建物低層部の計画が優先されている。水辺への開放性等が阻害されているなど課題がある。計画に工夫が必要
・大規模集客施設の屋根の一部が緊急輸送道路の環状第二号線に重なっている。災害時の安全性について検討が必要
・大規模イベント開催時などの歩行者の交通処理、安全確保について十分な検討・調整が必要
・景観については、隅田川沿いの高層棟もふくむ検討の必要がある
・浜離宮からの見え方についても検討が必要
・「時代の最先端モデル」については検討が必要
・食やスポーツなど文化的な活動は専門的見地からの検討が不足している印象
・ホテル、大規模集客施設、交流施設も含めた賃料は、事業安定継続へ工夫した設定必要
失格グループ→Aグループ
計画概要
全体コンセプト「東京エンタテインメントコンプレックス」
eスポーツ、コスプレ世界大会等を開催する約4・5万人収容の多目的ドーム
大小300店舗のアニメ、漫画、ゲーム関連のショッピングドーム、劇場の導入
失格の理由
参加資格要件に関し、資格についての要件を満たす構成員が含まれていないことが確認された。広域交通結節点の形成、会議・催し等の機能、環境への配慮について基本的な条件を満たしていないことが確認された
感想・まとめ
2グループ応募で片方が失格したので、実質「信任投票」みたいな審査になったようだ。
結果として最優秀とされたBグループも課題山積。広く都民に開放された場所となるように建物配置の見直しなども求められている。内容自体もかなり変わってくるのではないかという気がする。
・・・
あと、あの建物配置でこの動線(↓)は可能なのだろうかね。地下鉄新線開業までは人を引き込む力が弱いので、東京BRTの銀座・東京ルートを含めてなんとかしないとね。交通計画が気になるところ。
#591★速報★都心・臨海地下鉄新線と都市高速晴海線を一体整備 中央区の築地交通拠点化構想 - どらったら!!