東京メトロ有楽町線分岐線(東京8号線延伸)の技術的検討に関する勉強会が2020年1月から2023年3月27日まで8回行われ、検討結果が2023年3月27日付の資料で公表された。勉強会は検討結果がまとまったことで終了した。勉強会終了前に施工が認められていて、課題を残したまま終了している(2023/04/07)。
検討内容
東京メトロ有楽町線分岐線について、既存調査を踏まえた技術的観点からの課題抽出と駅構造等のハードスペックの検討の深度化を行う
有楽町線の分岐線の概要
・有楽町線分岐線、豊洲駅から分岐、東陽町駅、住吉駅で既存路線と接続
・広域的地下鉄ネットワークを形成
・国際競争力強化の拠点である臨海副都心部と都区部東部の観光拠点等のアクセス利便性向上
・東西線混雑緩和
・沿線における地域の活力、魅力向上
技術的検討項目
①本線部の施工等
・ルート上に護岸や橋の基礎などの支障部が多数存在。支障部における技術的施工方法等を検討
・ルートが浸水区域内のため、出入り口での浸水対策を検討する
・橋梁の基礎杭が支障する場合はアンダーピニングや橋梁の掛け替えで基礎杭撤去、本線の施工空間を確保
・浸水対策は駅出入り口で止水版、防水扉など、災害時に安全が確保できるよう駅施設の設計、設備の配置等を行う
②豊洲駅の改良
・朝夕ラッシュ時に混雑
・豊洲駅周辺のさらなる開発や有楽町線の分岐線の影響を踏まえ、必要となる駅施設の改良を検討する
・豊洲駅では周辺開発が進み、駅利用者が増加。今後も増加傾向は変わらないと見込まれ、恒久的な対策が必要
・豊洲駅に新木場方面行きホームを1面増設。エレベーター、エスカレーターの増設
→ラッシュ時の駅ホーム上の混雑緩和、バリアフリー設備の充実で利用者利便性向上
③東陽町駅の構造
・東陽町駅は現在の東京メトロ東西線の下に新たに駅空間を構築する必要がある
・施工には東西線の運行、地下埋設物などで制約を受ける可能性。難工事が想定される
・乗り換え流動分散、東西線ホームの混雑緩和対策を行う(①②)
・既設線受け変えのアンダーピニングが必要
④住吉駅の構造
・有楽町線分岐線の導入空間がすでに整備されている。乗り換え需要に対応した混雑緩和対策、有楽町線分岐線との接続方法を検討
8号線は地下3、4階から交互発着の予定。地下3階の半蔵門線から地下4階の8号線への乗り換え移動が増加することが想定される。地下3階と4階を結ぶ昇降施設増設が必要
現状で利用者が多い猿江改札について、将来の需要に対応した改札機の増設検討が必要
・本線接続の施工方法では既設構造物に影響を与えないような防護方法として、既設構造物と新設構造物の空間の変位抑制仮土留めなどの対応検
・今後、現地調査の深度化を図り、適切な防護方法を検討する
⑤運行計画
・現時点の想定はピーク時12本/時、オフピーク時8本/時、一部列車は和光市方面に直通運転
感想・まとめ
課題は一応全てクリアされたのかと思ったが、赤字で示した通り、課題が残された内容だった。
大江戸線勝どき駅の大規模改良工事の工期の長さと、有楽町線分岐部(東京8号線延伸部)の支障物の多さを見ると、遅延なく開業に漕ぎつけるのは余程の幸運がないと難しいのではないかな。
勝どき駅の時も想定外の支障物が出てきて半年遅れるなんていうのは結構みてきた気がする。
どの程度遅れるか。あるいは幸運に恵まれるか。