中央区が2021年度に実施した臨海地下鉄新線に関する調査報告書が公表されている。東京都が発表した事業計画案と直接の関係はないことに注意が必要。主な内容は需要予測等の検討。新銀座〜新国際展示場間をベースに、つくばエクスプレスのみ接続、りんかい線のみ接続、全線接続の4ケースで試算を行い、いずれも事業採算性あり、社会的意義ありとなった。いずれも建設期間は5年となっている(2022/12/12)。
- 4つの検討ケース
- ケース1〜ケース4共通
- ケース1 新銀座〜新国際展示場
- ケース2 秋葉原〜新国際展示場
- ケース3 新銀座〜新国際展示場(りんかい線接続)
- ケース4 秋葉原〜新国際展示場(りんかい線接続)
- 中央区検討結果のまとめ
- 今後の展望
- 参考 東京都事業計画案との比較
- 感想・まとめ
- 参考
4つの検討ケース
ケース1〜ケース4共通
予測年次 2030年:試算上の仮置きしたパラメーター。予測年次は2040年でも大きな差はないようだ。
建設期間 5年
ケース1 新銀座〜新国際展示場
距離 4・8キロ
所要時間 7・5分
運行本数 ピーク時 15本/時
概算事業費 2790億円
需要予測
輸送人員 157・9千人/日
輸送人キロ 457・8千人キロ/日
輸送密度 99・1千人キロ/km日
収支採算性
累積資金黒字転換年次 16年
費用便益分析
費用便益費(B/C)計算期間30年 1・4
ケース2 秋葉原〜新国際展示場
距離 8・6キロ
所要時間 12・3分
運行本数 ピーク時 15本/時
概算事業費 3430億円
需要予測
輸送人員 425・5千人/日
輸送人キロ 1566・6千人キロ/日
輸送密度 182・2千人キロ/km日
収支採算性
累積資金黒字転換年次 11年
費用便益分析
費用便益費(B/C)計算期間30年 2・3
ケース3 新銀座〜新国際展示場(りんかい線接続)
距離 5・4キロ
所要時間 8・8分
運行本数 ピーク時 17本/時
概算事業費 3280億円
需要予測
輸送人員 175・5千人/日
輸送人キロ 561・2千人キロ/日
輸送密度 103・9千人キロ/km日
収支採算性
累積資金黒字転換年次 17年
費用便益分析
費用便益費(B/C)計算期間30年 1・3
ケース4 秋葉原〜新国際展示場(りんかい線接続)
距離 9・2キロ
所要時間 13・6分
運行本数 ピーク時 17本/時
概算事業費 3870億円
需要予測
輸送人員 456・6千人/日
輸送人キロ 1778・6千人キロ/日
輸送密度 193・3千人キロ/km日
収支採算性
累積資金黒字転換年次 11年
費用便益分析
費用便益費(B/C)計算期間30年 2・1
中央区検討結果のまとめ
・収支採算性は全てのケースで事業として成立可能な目安である30年以内の累積資金黒字転換→事業採算性が見込まれるプロジェクト
・費用便益費についても全てのケースで1を超える。社会的意義のあるプロジェクト
・TXとの接続により事業性が向上することを確認。
・臨海線と直通させた場合も社会的意義があると確認。
今後の展望
・機運情勢を図る
・鉄道事業を取り巻く環境は変化。多額の事業費が必要な新線建設は容易ではない
・中央区としては鉄道事業者の負担軽減のため、沿線開発と連携した駅づくりなどが行えるよう、国や都、事業者などと連携して取り組んでいく
参考 東京都事業計画案との比較
整備区間 | キロ数 | 所要時間(分) | 駅数 | 事業費(億円) | |
中央区ケース1 | 新銀座〜新国際展示場 | 4.8 | 7.5 | 6 |
2690 →2790 |
中央区ケース2 | 秋葉原〜新国際展示場 | 8.6 | 12.3 | 7 |
3310 →3430 |
事業計画案 | 東京〜有明・東京ビッグサイト | 6.1 | 10 | 7 | 4200~5100 |
2020年度中央区調査結果と2022年11月の東京都事業計画案
※青字は2021年度再計算。2020年調査との比較ではケース1で+100億円/ケース2で+120億円
感想・まとめ
中央区の試算はピーク時3〜4分に1本程度の運行を想定。費用便益比B/Cは東京都の事業計画案に比べ、かなり甘め。東京駅接続なしに1・4ってどうなんだろう。
東京都と国の掌の上にあるいまとなっては参考程度かな。
参考