東京都が2022年11月17日、国の予算編成に対する要求提案を公表した。注目は「都市鉄道ネットワーク等の強化」の項目。
国土交通省の交通政策審議会答申371号で切り分けられた「東京8号線(有楽町線分岐線)延伸」、「品川地下鉄(南北線分岐線)延伸」、「臨海地下鉄新線」の3路線が具体的要求の中で別項目になっていることに気がついた。
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かつての「優先6路線」の枠組みが消え、別枠3路線のうち、臨海地下鉄新線以外の東京8号線と品川地下鉄が事業化の運びとなっていることから、先日の臨海地下鉄新線推進大会で「都内の新線計画で1位のところにきた」(吉田副区長)という発言は真実味を増していると思う(2022/11/17)。
概要(現状・課題)
・東京圏の今後の都市鉄道のありかたは2016年4月の交通政策審議会答申198号で示された
・答申に示された路線実現には、事業主体や収支採算性、技術的課題等への対応必要
・東京都は具体化に向けて事業スキームの検討開始
・2018年4月 「鉄道新線建設等準備基金」設立
・2021年7月 交通政策審議会答申371号
地下鉄3路線(東京8号線、品川地下鉄、臨海地下鉄新線)の事業化に向けた課題解決につながる内容が示された
・2022年4月 各路線の取り組みの方向性を示した
地下鉄3路線(東京8号線、品川地下鉄、臨海地下鉄新線)等について
2021年9月
国が加わって事業計画検討会。計画策定に向けた検討進む(臨海地下鉄新線)
2022年度
都市計画手続き等実施(東京8号線、品川地下鉄)
具体的要求内容(地下鉄3路線関連中心に)
答申において「事業化に向けて検討などを進めるべき」とされた路線の整備促進
・答申198号、371号で「事業化に向けて検討などを進めるべき」とされた路線等の整備に向け、事業スキームを早期に構築し補助制度の積極的活用、拡充、財源確保など必要な措置をとること
答申371号に位置付けられた路線への確実な支援
・答申371号に位置付けられた東京8号線延伸、品川地下鉄については財源確保、臨海地下鉄については事業計画策定に向けた協力など必要な措置をとること
新しい鉄道整備の仕組みづくりの検討などの措置
・整備効果が見込まれるものの、収支採算性に課題があるとされたJR中央線の三鷹・立川間の複々線化などの路線について新たな整備の仕組みづくりを検討するなど必要な措置をとること
参考 2021年度の具体的要求内容
・いわゆる「6路線」の整備促進
・都心部・臨海地域地下鉄構想と都心部・品川地下鉄構想」の事業スキーム早期構築支援
感想・まとめ
去年はあまり見ていなかったが、
東京都の具体的要求が変わったのは2022年度分から。
2021年度分までの構成は
①優先6路線の整備促進
②品川地下鉄構想、臨海地域地下鉄新線構想の事業スキーム構築支援
2022年度分からの構成は
①198号と371号答申対象路線の整備促進
②371号答申対象の東京8号線、品川地下鉄、臨海地下鉄の確実な支援
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①は以前の「優先6路線」の枠組みを消したものと考えられる。
その上で答申371号で地下鉄3路線が別枠とされ、うち2路線が事業化の運びとなっているという意味で、先日の地下鉄新線推進大会で「東京都の中で1位に格上げされた」という発言は重みがある。
吉田副区長
・今回は進捗について話すことはしない
・臨海地下鉄新線は東京都にいろいろある新線の計画レベルで第1位のところに来た ・新型コロナで鉄道事業者はダメージを受けていて、新線に手をかけようという力が薄れている。
・近々おおよその新線のルート、位置が発表される。
#1443 新線ルート、駅位置は年内公表 第5回都心・臨海地下鉄新線推進大会 - どらったら!!
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すぐに事業化ということはないだろうが、近く見込まれる東京都の発表内容次第では、ルートや駅位置も定まらない構想の段階をいよいよ終えそうな気がする。