東京ガスが2022年7月21日、ガス料金の改定を発表した。具体的には「原料費調整制度の調整上限の変更」というもの。原料費調整制度は変動する原料費に合わせてガス料金を調整する制度。調整できる幅があるのだが、昨今のエネルギー価格上昇から従来の上限を超えたため新たな上限を設定するという内容だった。
上限の設定を変更したからといって必ずしも値上げになるわけではないが、原料価格が新たな上限を超え続けた場合、東京地区では月に30㎥使用する標準的なケースで毎月300円、6カ月で1800円程度の値上げとなる可能性があるようだ(2022/07/21)。
※本エントリは東京地区の話としてまとめた、対象は840万件(NHK)。
原料費調整制度の調整上限の変更について
現在の上限:東京地区 91600円/トン
2023年3月以降は156200円/トンとなる。
これが、ガス料金にどう影響してくるのだろうか。
原料費調整制度(係数は東京地区の場合)
原料価格の算定期間とガス料金への反映時期
貿易統計に基づく3ヶ月間の平均減量価格と基準となる原料価格を比較し、変動分について、算定期の最終月の3ヶ月後の検針分に反映する
例)1〜3月の原料価格の平均がガス料金に反映されるのは6月分
ガス料金の算定方法
ガス料金=①基本料金+②従量料金
①基本料金
②従量料金 単位料金×ガス使用量
単位料金=基準単位料金±減量価格変動による調整額
調整額の算定方法
平均原料価格を算定
東京地区の場合
平均原料価格=LNG平均価格(円/トン)×94・79%
+LPG平均価格(円/トン)× 5・46%
平均原料価格の変動額を算定
原料1トンあたりの平均価格を算出する。調整上限を超えた場合は平均価格を調整上限の値で算定。
調整上限 91600円(調整上限は10月以降156200円になる)
基準平均原料価格 57250円
調整額を算定
原料価格の変動幅100円につき単位料金を1㎥あたり0・081円調整する
0・081円×原料価格変動額の1%×(1+消費税率)
単位料金(1㎥あたりの単価)に反映
基準単位料金±調整額(地区別に異なる)
参考 平均原料価格が調整上限を超えて推移した場合の料金試算
基本料金1056円/月、30㎥/月使用のケースで、平均原料価格上限超過で推移した場合の月額料金をグラフ化するとこんな感じになった。間違えていたらごめんなさい。読売新聞は2023年3月に7613円としていたので、おおむね合っているのだろう。
感想・まとめ
調整上限の引き上げということは、平均原料価格が上がってしまうと、それがダイレクトにガス料金に反映される範囲が広がるということになる。
基本料金が1056円として平均原料価格が上限を超え続けた場合、10月以降、半年かけて1㎥あたり160円だった料金が220円程度に上がる計算。結構大きい。
ウクライナ情勢次第の部分も大きいが、これ以上、原料費が上がらないことを祈ろう。