東京ガスが原料費調整制度の上限料金引き上げ(実質値上げ)を発表したばかりだが、今度は東北電力が主に家庭向きの電気料金プランである「低圧自由料金」の改定を発表した。具体的には「燃料費調整制度にかかるご契約条件の見直し」というもの。適用は2022年12月分から。
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燃料費調整制度は変動する燃料費に合わせて電気料金を調整する制度で、上限を超える部分は利用者が負担しなくて良い仕組みとなっている。今回の発表は昨今のエネルギー価格上昇から従来の上限を超え続けているため、この仕組みを撤廃するという内容。上限を超えていた部分が利用者負担となるため、当該地域では今後、月額数千円程度の電気料金の値上げが見込まれる(2022/08/01)。
電気料金の計算式
電気料金は基本料金と燃料費調整のかかった電力量料金、それにわずかな再エネ関連料金を足したもの。
電気料金=基本料金+電力量料金+再エネ発電促進賦課金
電力量料金
=電力量料金単価×1ヶ月の使用電力量
±燃料費調整単価×1ヶ月の使用電力量
再エネ発電促進付加金
再エネ発電促進付加金単価×1ヶ月の使用電力量
燃料費調整制度
3ヶ月間の平均燃料価格に基づき、2ヶ月後の燃料費調整単価を算定、毎月適用する
燃料費調整額の算定方法
燃料費調整単価=(A-B)×C÷1000円/kl
A:3ヶ月間の平均燃料価格
B:基準燃料価格(31400円/kl)
C:基準単価(低圧) 0.221円/kwh
A:平均燃料価格を算定
平均原料価格=原油平均価格(円/トン)×0・1152
+LNG平均価格(円/トン)×0・2714
+平均石炭価格(円/トン) ×0・7386
※Aには現在、上限価格(47100円/kl=Bの1・5倍)が設定されている
B:基準燃料価格 31400円/kl
料金設定の前提となる原油、LNG、石炭の貿易統計価格の加重平均値(2012年10月〜12月の平均の貿易統計価格の加重平均値:31400円/kl)
C:基準単価
平均燃料価格の実績が1キロリットル当たり1000円変動した場合の電力量1kwhあたりの変動額 低圧供給では0・221円/kwh
対象となる料金プラン
燃料費調整制度の調整上限の撤廃(今回発表)
現在の上限: 47100円/kl(上限は基準燃料価格の1・5倍)
2022年12月以降は青天井(上限撤廃)となる。
※2022年6月分から上限を突破しつづけている。
参考 試算してみた
基本料金が変わらないとして、試算対象月が2022年9月、使用電力量500、700、1000kwhの時の燃料費調整額の影響を調べると
1ヶ月当たりの燃料費調整額は2100〜4200円のプラスとなる。
500kwh +2100円(1735→3835円)
700kwh +2900円(2429→5369円)
1000kwh +4200円(3470→7670円)
感想・まとめ
平均燃料価格に一番大きな影響を与えるのが石炭価格だというのは知らなかった。
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北海道電力、中部電力や四国電力の一部でも調整上限の撤廃や撤廃発表が続いている。
上限価格までは利用者負担だが超えた部分については電力会社が負担していた。
これが撤廃されるわけなので、調整額は今後青天井になる。
東京電力管内の話ではないとはいえ、全ての電力会社で上限価格をこえたという話も聞いているので、同様の上限撤廃は時間の問題かもしれない。