国土交通省の交通政策審議会陸上交通分科会の鉄道部会で、東京8号線を含む東京圏の地下鉄ネットワークのあり方について話し合われているが、2021年7月8日に第5回小委員会が開催される。去る2021年5月11日に行われた第4回の小委員会ではこれまでの議論の整理について質疑があったようだ(2021/06/15)。
小委員会はどんな会議か?→メトロ株をどう売るか検討する委員会
法に規定される国が保有する東京メトロ株式の売却益の復興債償還への充当期限が2027年度末に設定されたので株式の売り方を検討する必要がある。
売り方の検討にあたって、東京メトロが果たすべき役割及びその役割を踏まえた株式売却のあり方について議論する必要がある。
→今後の地下鉄ネットワークのあり方について議論した上で売り方について検討を行う。
また、議論の中で
・東京メトロに関するこれまでの閣議決定等との関係性から、東京圏における地下鉄ネットワークについて今日的視点から検証する、
※東京メトロ株式の売り方検討委員会。
委員の意見(第4回委員会)の概要
・次回(第5回)は答申素案を議論
・委員会では8号線延伸、品川地下鉄構想、臨海地下鉄構想が議論の対象であることを明確にすべき
・答申の参考資料作成の際は、品川地下鉄構想、臨海地下鉄構想の周辺開発状況を盛り込むべき
・臨海部は人と投資だけでなく企業を呼び込むエリアであることに留意すべき
・東京メトロの株式価値が減損しないよう予見できることはオープンにするべき
・財源確保に影響を与えないことが大事。将来世代に負担を先送りしないように進めることが重要
・公的機関が株式を保有する期間に東京メトロが多角的事業運営の体制を整え、マネジメントやガバナンスの力を向上させる期間として有効に生かすことが望まれる
・2つの主体が持っている株式を同時に売却することは重要
これまでの議論の宿題事項
ポストコロナ社会における地下鉄整備のあり方について
・要するに新型コロナの影響を踏まえた地下鉄整備のあり方は検討しておきましょう、ということ。
参考:東京メトロのスタンス(2021年2月)
新線についての東京メトロスタンスは有価証券報告書に記載のとおりであり、完全民営化を目指していることもあるため、今日的視点で協力を求められるとしても、経営の健全性を崩さないような助成スキームや財源の確保が前提(第2回小委員会)
=条件付き受け入れとも取れる。
感想・まとめ
第4回の議論はあまり目を引くものはなかった。第5回は答申素案を議論する予定とされていたが、すっとばされて一気に答申案が議論されるようだ。これまでの宿題事項がどんな形でクリアされるのか。一つの節目になりそう。