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東京都中央区、江東区の臨海部を中心としたメモ。独自の情報を除いては、報道ベースではなく、発表主体の情報をベースに書くことを基本にしています。最近はゲリラ的な花火大会情報も提供。

#593 新金貨物線旅客化の調査状況について 2020年3月

葛飾区の「新金貨物線旅客化」の検討状況について。2019年度に技術的課題に関する検討が実施されたようだ。踏切と幹線道路の平面交差が主な検討項目だった(2020/08/26)。

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新金貨物線旅客化とは

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総武線小岩駅常磐線金町駅を結ぶ、中川と新中川に沿って南北に敷いた8・9kmの単線電化路線。葛飾区が検討する「新金線旅客化」はJR貨物が利用するこの区間に低床型の車両を走らせようという構想。 

#111 葛飾区検討の「JR新金貨物線」の旅客化① 単独の項目で調査費1200万円計上 - dorattara! Season4

検討内容

踏切での旅客列車通過時の技術的課題を検討する。

①旅客化での法的位置付けについて=鉄道事業法

②国道6号の新宿新道踏切において平面交差で旅客列車を通過させる方法

③それ以外の踏切での旅客列車通過による道路交通への影響

法的位置付け

 既存の貨物列車の運行と同じ鉄道事業法に基づくものとした

踏切 について

新金貨物線の踏切は15カ所。

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旅客列車の踏切通過の方法(国道6号:新宿新道踏切)

踏切の手前で列車を停止させ、国道6号の道路信号の赤信号に合わせて踏切を遮断。車の流れが止まっている間に通行させる。

※新宿新道踏切には信号機が設置されていて、青信号時に車両は一時停止しないで通行可能。遮断機あり。

国道6号の信号サイクル

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旅客運行想定時間帯(06−23)の信号サイクル

・140秒(赤信号35秒)

・150秒(赤信号36秒)

→35秒以内に旅客列車の通過が可能であれば現在の自動車交通に影響はない

課題

 国道6号の道路信号による平面交差は貨物列車と旅客列車の2つの異なる保安システムの連動が必要になる。技術面をさらに検証する必要がある

 道路信号に合わせて旅客列車を制御、交差させる方法は鉄道事業法では事例がない。鉄道営業法の技術基準との整合性、踏切における安全確保などの詳細な検討が必要

 

旅客列車の踏切通過の方法(国道6号以外の踏切)

貨物列車と同様。踏切遮断機で道路交通を遮断後、通過させる。

対象箇所

新宿新道踏切以外の14箇所。現場よりも踏切の遮断時間は増加。

今回の検討は交通への影響が大きいと考えられる3カ所に限定して実施した。

1時間当たりの踏切遮断時間 12回(旅客列車ピーク時間帯の運行/両方向)

1回当たりの平均遮断時間 45秒(国交省令の解釈基準などに基づく)→540秒(1時間あたり)

都市計画道路の将来交通量から踏切遮断時間が増加した時の踏切1分当たりの通過台数を算出し、交通渋滞が発生しない通過台数の理論値(15台/分)と比較。

→3カ所いずれも踏切遮断時間の増加による通過台数が理論値を下回ったので、旅客かによる渋滞は発生しないと考えられる

今後の取り組み:段階的整備で京成高砂との乗り換えも想定

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段階的整備の検討となるようだ。

第1整備検討区間 国道6号より南の区間(先行整備)

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区間内の(仮称)新小岩駅〜(仮称)高砂駅を先行整備

 (仮称)高砂駅京成高砂駅の乗り換え利便性の向上検討

第2整備検討区間 国道6号以北

特に記述なし

そのほか

 モノレール、ゴムタイヤ式ガイドウェイシステムなどの「新交通システム」導入なども検討する

 国道6号の交差方式の検討を進める

感想・まとめ

技術的検討を深めた結果、法律改正が必要になるかもしれないということになると、実現に向けたハードルが上がったということになると思う。

事業採算性の検討は今回も行われていない。形だけでもそれをしないとどこかで先に進めなくなる部分は出てくる。それが出てこないということが、いまの状況を示しているのだろうと思う。

・・・

それでも検討項目が具体化されてくれば打つ手は考えることができるので、「ゴールは遠のいた」としても「前へは進んでいる」んじゃないかな。

検討過程はみていて面白い。

今後の調査進展に期待したい。

参考

令和元年度 新金貨物線旅客化に向けた調査検討 概要版(2020年3月)