東京都葛飾区内の新小岩と金町を結ぶ貨物線を使って旅客を輸送する「新金線旅客化」について、2021年度の調査検討結果が報告された。10駅設置案と7駅設置案があったが、輸送人員については7駅設置案が優位となった。懸案となっている国道6号線との交差については、高架化による検討結果が示されたが、一部踏切の上部空間が確保できないという結果が出たようだ(2022/06/26)。
事業主体と事業スキーム案
運行主体 第三セクターが有力
①上下一体案
既存施設をJRから譲渡、三セクまたは葛飾区が施設を保有、管理し運行主体になる
②上下分離案
既存施設をJRから借り受け、三セクが旅客施設保有、管理し運行主体主体になる
※既存施設の譲渡料、線路使用料は未確定。検討の深度化が必要
需要予測は7駅案が優位に
需要予測の結果 7駅案が優位になった
7駅案 25260人/日(通勤目的多い)
10駅案 20656人/日(私事目的が多い)
国道6号線との平面交差と運行ダイヤ
前提条件
駅数 7駅
運行本数 ピーク時 1時間6本以上/オフピーク時 1時間4本以上
貨物列車の運行 現状通り
走行速度 ピーク時 時速27・1〜31・1キロ/オフピーク時 時速31・1キロ
国道6号線の交差部
踏切遮断時間が増えないよう、赤信号の35秒間で列車が踏切を通過する
ダイヤの検討結果
・ピーク時
信号サイクルに合わせて運行間隔を調整すると等間隔運行は困難
1時間6本以上の運行は可能
・オフピーク時
1時間4本以上の運航は可能
ダイヤ乱れ時の影響
・貨物列車が遅れた場合
金町方向の貨物列車が新小岩駅を60秒遅れて出発すると、国道6号線の信号機は貨物列車の通過に合わせて赤信号になるので、以降の旅客列車に常に60秒の遅延が生じ続ける
・旅客列車が遅れた場合
金町方向の旅客列車が新小岩駅を60秒遅れて出発すると、終端駅での列車折り返し時間の調整が必要で、遅延の収束まで約25分を要する
・道路混雑状況により道路信号サイクルが変化した場合
国道6号線の信号は感応式。交通状況により青表示の長さなどを調整している、日常的な遅延のリスクあり
→国道6号との平面交差については運行ダイヤ上の検討必要
国道6号との交差方法の検討
新金線を高架化した場合の影響範囲を確認する。
検討結果
感想・まとめ
7駅案が有力となったが、国道6号線の交差にいい方法が見つからない。
検討はつづくそうだ。
参考
令和三年度新金線旅客か調査検討 概要版