気になる「都心部・臨海地域地下鉄構想」の最近の状況について。時間が経つにつれて事業化のハードルは上がっている印象(2020/08/21)。
東京8号線延伸に劣後することが確定的に
この1年の動きの中で大きかったのは、臨海地域地下鉄構想が動き出すとしても東京8号線延伸の事業化実現後になることが確定的になっていることだろう。
中央区が「東京8号線延伸優先」を容認
最近の中央区の立場は「東京8号線優先」を容認した形になっている。
・東京都は江東区に「東京8号線の問題に基本的にはめどをつける」と話をして市場の移転を実施したが、都と江東区の約束が履行されていない。
・この状況で中央区が江東区にいっても「東京8号線が先」となることがはっきりしている。そういう状況をさらに混乱させるつもりはない。
・ただ国や東京都、交通機関運営会社との連携などやれることはある。
沿線の生産年齢人口は2030年がピーク
臨海地下鉄(常磐新線一体整備)の沿線11自治体の人口を見た場合、総人口は2040年ごろ、鉄道利用の主な層になる生産年齢人口は2030年ごろをピークに急速な減少局面に入る。これは実現に向けたマイナス要素。
(中の人作成)
※沿線自治体=東京都中央、千代田、台東、足立区/埼玉県三郷市、八潮市/千葉県柏市、流山市/茨城県守谷市、つくばみらい市、つくば市
その他の条件
・TXとの一体整備は必須。臨海部の先行単独整備は無理(費用便益費B/C=0・7にとどまる)。
・純現在価値も単独整備ではマイナス400億円前後
・コロナ禍直撃でTXの経営にもダメージ
もマイナス要素。プラス要素は現状では思いつかない。
参考:B/C 費用便益費=0・87で中止即断のケース(千葉都市モノレール延伸)
千葉市長は費用便益比0・87で中止決断。
臨海地域地下鉄構想は単独整備だと0・7。
前に進めるのは簡単ではない。
私の役割果たした モノレール延伸中止で千葉市長:日本経済新聞 https://t.co/ZVDm0M82qJ— どらったら! (@Chuoinfom) 2019年9月4日
感想・まとめ
政治判断が働くようなことがあれば話は別だけど、客観情勢としてはそういう状況にはないと思う。このままだと、実現は困難だが交通政策審議会答申に盛り込まれなかった他の構想路線より実現可能性が高い、という意味で価値がある路線、ということになりそう。
あと、新型コロナね。マイナスの影響がどれだけ大きくなるのかまったく読めない。
参考
特になし。