東京圏のマンション価格の上昇傾向はかれこれ10年以上続いている。不動産データサービスを展開する東京カンテイが2025年7月31日に発表したレポートに、首都圏での新築マンション購入に必要な目安年収がこの10年間でどのように変化したか、という興味深いものがあった。東京臨海部とその周辺に絞って確認してみたが、5年前ぐらいが新築マンション購入が現実的だった最後の時期かもしれない(2025/09/11)。
レポートの概要
東京近郊圏の鉄道路線図に、目安世帯年収を色分けしてマッピングしたもの。
用語
○新築マンションが購入可能な目安世帯年収
新築マンション(70㎡換算)を住宅ローン利用者が実際に物件を購入した時の年収倍率で割った数値。
年収倍率8倍のエリアで70㎡換算1億円の物件を購入した場合の目安年収は1250万円となる。金融機関が審査する際の一般的な目安は最大8・5倍程度らしい。6〜7倍程度が適正とされているそうだ。
○本レポートにおける年収倍率
住宅の購入価格が年収の何倍に当たるかを示す指標。住宅金融支援機構のフラット35利用者調査の年収倍率の中央値を使用。各物件の所在地(都道府県)に応じて該当する年収倍率を適用している。
東京都(2024年)は7・8倍となっていた。
リンク:フラット35利用者調査 | 住宅ローン関連調査 | 調査・研究 | 私たちについて | 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
目安世帯年収:2024年の状況
2000万円以上 月島、人形町
1500万円以上 勝どき、門前仲町
1000万円以上 東陽町、南砂町
山手線内には1500万円以上のエリアしかなく、23区内に広げても1000万円未満の場所はほぼなくなっている。
目安世帯年収:2019年の状況
1000万円以上 月島、豊洲、国際展示場、八丁堀、水天宮前、門前仲町、清澄白河
800万円以上 有明テニスの森、勝どき、東陽町
600万円以上 南砂町、西葛西
600万円未満 葛西
山手線と大江戸線、東西線に囲まれたエリアは1000万円以上、その外側が800万円以上。東西線沿線は東陽町以東であれば1000万円未満となっていた。この辺りの時期が背伸びすれば購入に手が届いたかもしれない最後の時期(今のところ)となっている気がする。
目安世帯年収:2014年の状況
1000万円以上 築地、新富町、勝どき
800万円以上 月島、豊洲、八丁堀、東京テレポート、茅場町、水天宮前、木場
600万円以上 辰巳、清澄白河、住吉、東陽町〜行徳の東西線各駅
現状に比べればとても目に優しい。有楽町線、日比谷線の築地、新富町、勝どきでは1000万円以上だが、東西線沿線は東陽町以東は600万円以上、有楽町線でも辰巳は600万円以上と現実的な価格の範囲に収まっていた。
感想・まとめ
この5年間で、新築マンションを購入する目安の年収は一気に上がってしまった。東京都臨海部に限ると、2019年ぐらいまでは頑張れば手が届くような物件があったのかもしれないが、今はないね。2024年に至っては、価格が上がりすぎてプロットできる駅の数が極端に少なくなっていた。
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このレポートは東京近郊一帯について目安世帯年収をマップにしているので、どれだけマンション価格があがってしまったのかより実感できると思う。
住宅金融公庫の示す年収倍率は東京都で7・8倍となっていたが、これは今回対象としたエリアには当てはまらない気がする。感覚的には20倍ぐらいではないのかな。知らんけど。
その点は注意。