森記念財団がまとめた「世界の都市総合力ランキング2023」をみておく。東京は8年連続の3位だったが、オリンピックを控える4位パリとの差は2022年に続いて僅差。(2023/11/10)。
概要
6分野・26指標グループ、70指標から分野別にランキングを作成。
既存の有力な都市比較ランキング20位以内、有力な国際競争力ランキングの競争力上位国の主要都市など、48都市を比較し2600点満点で評価したもの
評価対象の分野と細目
1 経済
①市場規模 ②市場の魅力 ③経済集積 ④人的集積 ⑤ビジネス環境 ⑥ビジネスの容易性
2 研究・開発
①研究集積 ②研究環境 ③イノベーション
3 文化・交流
①発信力 ②観光資源 ③文化施設 ④受入環境 ⑤外国人受入実績
4 居住
①就業環境 ②居住コスト ③安全・安心 ④生活良好性 ⑤生活利便性
5 環境
①持続可能性 ②大気質 ③自然環境
6 交通・アクセス
①国際ネットワーク ②航空キャパシティ ③都市内交通 ④移動の快適性
各都市の総合順位と分野別順位
①ロンドン 1646・7(前年1592・4、1位)
経済 2位/研究・開発 2位/文化・交流 1位
居住 9位/環境 11位/交通・アクセス 4位
経営者評価 1位
高度人材評価 1位
観光客評価 1位
居住者評価 11位
総合ランキング1位のロンドンは、3年ぶりに総合スコアが上昇した。ロンドンの強みをけん引するのが文化的魅力と国際航空ネットワークの強さであり、文化・交流分野では1位、交通・アクセス分野は4位を獲得している。その他の分野においても高い順位を維持しており、
最も低い環境分野でも11位と、バランスのとれた総合力の高さが強みである
②ニューヨーク 1505・9(前年1482・9、2位)
経済 1位/研究・開発 1位/文化・交流 2位
居住 38位/環境 28位/交通・アクセス 3位
経営者評価 2位
高度人材評価 2位
観光客評価 6位
居住者評価 31位
ニューヨークは、総合ランキングのスコアにおいてロンドンに引き離される結果となった。経済分野と研究・開発分野では例年同様1位を獲得しているものの、環境分野は28位まで順位を落とし、さらに6分野の中で最も低い38位の居住分野においても、順位の上昇はみられなかった。このように、強い分野と弱い分野の差が大きい点がニューヨークの特徴である
③東京 1375・8(前年1367・2、3位)
経済 10位/研究・開発 4位/文化・交流 5位
居住 3位/環境 16位/交通・アクセス 8位
経営者評価 12位
高度人材評価 17位
観光客評価 2位
居住者評価 5位
④パリ 1363・7(前年1356・9、4位)
経済 16位/研究・開発 9位/文化・交流 3位
居住 1位/環境 27位/交通・アクセス 5位
経営者評価 7位
高度人材評価 3位
観光客評価 3位
居住者評価 6位
⑤シンガポール 1264・7(前年1233・8、5位)
経済 4位/研究・開発 11位/文化・交流 9位
居住 35位/環境 12位/交通・アクセス 7位
経営者評価 3位
高度人材評価 4位
観光客評価 10位
居住者評価 13位
37位 大阪 947・8(前年947・3、37位)
経済 38位/研究・開発 18位/文化・交流 25位
居住 12位/環境 41位/交通・アクセス 37位
経営者評価 38位
高度人材評価 35位
観光客評価 31位
居住者評価 16位
42位 福岡 844・8(前年871・9、42位)
経済 42位/研究・開発 32位/文化・交流 47位
居住 23位/環境 20位/交通・アクセス 32位
経営者評価 41位
高度人材評価 39位
観光客評価 43位
居住者評価 28位
東京について
東京は総合ランキング3位を維持した。GPCI- 2022において4位のパリに僅差にまで詰められていた東京だが、今年は『居住コスト』の評価を高めたことで居住分野でトップ3に入り、さらに文化・交流分野においてもスコアを伸ばしたことで、わずかな差で3位の座を維持した。しかし、経済分野では10位に落ちるなど、成長と後退が分野によって明確に分かれた。
感想・まとめ
東京は環境、居住、交通アクセスでランクアップ。
一方、高度人材評価や経済分野では凋落傾向が続く。
的確に日本の国力を反映したランキングに見えるなあ。
世界都市総合ランキングは面白い。
それにしてもロンドン、圧倒的じゃないか・
参考 リンク等