東京の一極集中の要因について有識者が議論した「企業等の東京一極集中に関する懇談会」が取りまとめを公表した。なかなか解決が難しい問題だが、公表資料の中には目を引くものがあったので、全体を含めて簡単にまとめてみた。(2021/02/03)。
※図表はすべて国土交通省公表のもの
東京一極集中の要因
一極集中の要因
大学の東京偏在
企業の本社の東京集中
賃金の高さ
東京の魅力
生まれ育った地元の不便さと閉塞感
終身雇用
職務・地域を限定した採用が少ない
子供の教育
一極集中のリスク
居住地選択におけるリスク認識の低さ
▼地震リスク
▼水害リスク
企業のリスク対応の遅れ
▼BCP策定状況
変化要因となりうる要素
一極集中促進要素
人口減少による東京圏の過密度低下
・東京圏の人口は2020年がピーク
・東京圏の空き家はこの20年で倍増
東京圏の高齢者増加がケアをする若者世代を呼び寄せる可能性
▼東京圏の75歳以上人口(2015年→2050年)
・介護職員の不足
2020年度 1・1万人
2025年度 3.5万人
東京圏生まれの東京圏在住者の増加
→東京圏からの転出者は減少することが想定される
一極集中緩和要素
テレワーク進展による「仕事と職場の分離」
地方移住への関心の高まり
「豊かさ=賃金の高さ」からの意識転換
→東京都の中間層の世帯は他地域に比べ経済的に豊かとはいえない
フルタイムで働く人の可処分時間は東京は45位。
是正に向けた取り組みの方向性
企業の東京都心集中の緩和
東京都心の仕事を地方・東京郊外で行うテレワークの普及
都心直下地震等のリスク回避に向けた対応
修学・就職などに伴う若者の東京県への集中是正
地方で学び働くことができる環境整備
地方で就学できる環境整備
地方就労の希望を叶えられる環境整備
生産性の高い地方企業の創出等による魅力ある就労機会の拡大
新たな価値観・生活様式への転換
真の豊かさの実現に向けた取り組み
働き方・暮らし方における都市と地方のベストミックス実現
ライフステージに応じた地方居住が選択可能となるような環境整備
取り組みの検討における留意事項
省略
感想・まとめ
是正は困難なんだなあ、というのがより際立ってしまった印象。
「やれたらとっくにやってるでしょ?」というか。
・・・
一番「へえ」と驚きがあったのは東京の中央世帯は他地域に比べて経済的に豊かとはいえない、という部分。
・東京都の可処分所得は全世帯平均では全国3位だが、中央世帯では12位
・中央世帯の基礎支出は最も高く、可処分所得と基礎支出の差額は42位
・費用換算した都道府県別の通勤時間を差し引くと全国最下位(47位)
そういう考え方もできるかな。
参考