産業競争力強化法「新事業特例制度」の特例措置(いわゆるサンドボックス制度)に基づく電動キックボードシェアの実証実験が全国各地で進められている。実証実験は2021年3月に終了、次のフェーズに移行すると思われる。ここでは特例措置以前の実証実験結果について少し触れておく(2021/02/07)。
(長谷川工業)
「特例措置」に基づく実証実験について
電動キックボードは道路交通法上「原付自転車」に該当し、車両通行帯のみ走行が可能だが、産業競争力強化法の「新事業特例制度」で規制の特例が適用され、期間限定で実証実験対象区域において普通自転車専用通行帯(自転車専用レーン)の走行が可能になっている。
電動キックボードに関する「特例措置」
・貸し渡される原動機付自転車(電動キックボード)が新事業活動を実施する区域で普通自転車専用通行帯を通行可能とするもの
申請事業者と対象地域がある自治体
開始時期 2020年10月
Luup
東京都渋谷区/新宿区/世田谷区/千代田区
mobby ride
EXx
開始時期 2021年 1月
長谷川工業
千葉県千葉市
終了時期 2021年 3月(共通)
申請事業者側の狙い
電動キックボードが公道を走行する場合に、安全を確保できない場所があり車道以外の通行を可能にしたい。
具体的には電動キックボードを道路交通法上の「軽車両」としたい。また「普通自転車」と「原付」の中間のカテゴリー創設検討を要望したい。
走行可能な道路
原動機付自転車 車道のみ
軽車両 車道と路側帯
普通自転車 車道と路側帯 一定の条件のもとでは歩道通行可能
実証実験の結果について(Luup)
①電動キックボードのシェアリング利用意向(65歳以上)
・「是非+機会があれば」利用したい 88%(89%)
・検討したい 11%(5%)
②初回から乗れたか
・すぐに乗れた 86%
・数分練習で乗れた 12%
③運転免許所持者が非所持者より乗りこなせる時間が若干早かった(差は僅か)
④安全性
・自転車より安全 20%
・自転車と同等 44%
・自転車にやや劣る30%
・自転車より危険 6%
電動キックボードの導入事例やアンケート調査について(mobby ride)
参考:千葉市での実証実験について
※おそらく最後発の実証実験となっている。
実施期間 2021年2月1日~3月31日
目的 走行環境や車両保安基準など、適切な規制を検討するためのデータ収集(GPSによる)
対象者(モニター)
幕張新都心居住者、千葉みなと近隣企業勤務者(約30人)
対象地域
検証内容
機体の走行速度、その他運転状況に関する記録作成(GPSによる)
公道を最高速度20キロ未満で走行した場合の状況
走行場所による安全性、利便性の検証と課題抽出
感想・まとめ
特例措置は2021年3月で終了する。実証実験は「シェア」が対象となっているので、個人所有に対してはどうなっていくのかに少し興味がある。4月以降、次のフェーズに入ると思うので、多様なモビリティの一つとして今後に注目したい。