本物の新型コロナウイルスを使って、空中に浮遊するウイルスに対するマスクの防御効果を調べた研究結果が東京大学から発表された。実際に感染性を持ったウイルス飛沫やエアロゾルに対するマスクの効果はわかっていなかったそうだ。マスクのみではウイルスの吸い込みを完全に防ぐことはできないことなど、これまでに知られていた内容が改めて確認されたという印象(2020/10/22)。
概要
マスクの性能評価は、ラテックスビーズや塩化ナトリウムを試験粒子として捕集効率が評価されている。感染性をもったウイルス飛沫、エアロゾルに対するマスクの防御効果は不明だった
→実際に新型コロナウイルスを使って空気伝播シミュレーションを実施した。
①吐き出す側(未着用)と吸い込む側(未着用)の場合、距離可変
(東京大学)
・マネキンの距離が離れるに従って、吸い込み量は減少
・1m離れてもウイルスは吸い込まれる
②吐き出す側(未着用)と吸い込む側(着用)の場合、距離50センチ
(東京大学)
・マスクなしを100とした場合、マスク着用である程度の防御効果があった
・布マスクの着用で未着用と比べ吸い込み量が60−80%に減った
・N95マスクでは10−20%に減った
・N95マスクでも一定量のウイルスは通り抜ける
③吐き出す側(着用)と吸い込む側(未着用)の場合、距離50センチ
(東京大学)
・吐き出す側にマスク装着させるとウイルスの吸い込み量は大幅に減る
・吐き出す側に布マスクか外科用マスク、吸い込む側に各種マスクで相乗効果。
④吐き出す側(布マスク着用)と吸い込む側(着用)の場合、距離50センチ
(論文より)=末尾「参考」参照
・吸い込む側が布マスクだと吸い込み量は40%程度に減る
・同様に外科マスクだと30%、N95FITで5−10%程度に減少
・吐き出す側がサージカルマスク着用でも似たような傾向
感想・まとめ
この研究は医療従事者の感染防御に関するもののようだ。
吐き出す側のマスク着用は大きな効果があるというのは、これまでも公表されていた話だけど、実際に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を使っているというのがポイントだろう。
吸い込む側もマスク着用は重要だということを示す結果になっている。