江東区城東地区(右上の緑部分)で検討された新たなデマンドバスなどの交通手段の調査研究の結果、「城東地区は交通不便区域とはいえない」として「将来、交通環境が変化した場合」に新たな交通手段の活用を検討するという結果が公表された。城東地区へのコミュニティバスの導入は2021年9月に否定されたことを受けた内容で、デマンド系交通手段の導入も事実上否定された形となった(2023/03/23)。
- ①城東地区へのコミュニティバス導入はなし 2021年9月
- ②庁内委の結果を受けて「定時定路線ではない交通手段」の調査研究実施
- 結論 導入否定(時期尚早)=2023年3月
- 参考 江東区コミュニティバス「しおかぜ」の黒字化は困難
- 感想・まとめ
- 参考
①城東地区へのコミュニティバス導入はなし 2021年9月
江東区議会への陳情をきっかけに、城東地区にコミュニティバスを走らせるかどうかに絞って検討され、2021年9月に報告書「城東地区における公共交通のあり方について」がまとめられた。コミュニティバスの導入は行われないことになった。
・一部のニーズはあるが、暮らしの足を新たに確保する必要性は高くない
・道路幅員がせまく、バスの運行に支障がある路線が多い
・都営バスとの競合を避けるルート設定が困難
・採算性が低く、多大な財政負担が見込まれる
→導入はしないものとする。地区内の交通手段としては別の方法を検討すべき
②庁内委の結果を受けて「定時定路線ではない交通手段」の調査研究実施
高齢者や子育て中の保護者など、移動支援が必要な区民について、定時定路線のコミュニティバスではない、利用ニーズに合わせたデマンド交通等について調査研究を実施
結論 導入否定(時期尚早)=2023年3月
・城東地域は交通不便地域とはいえない
・新たな交通手段導入は現在の公共交通利便性阻害の恐れ
→導入は時期尚早
1 デマンド交通など新たな交通手段が採用されている地域はあるが、既存の公共交通、路線バス廃止路線の代替手段として使われるケースが多い
2 地方・郊外と都心部では環境が異なる。新たな交通手段導入は、現在の公共交通の利便性を損なう可能性がある
3 城東地域は場所によっては都営バス便が他地域より少ない場所はあるが、他自治体との比較で交通空白地域は小さく、交通不便地域とまではいえない
→将来、交通環境が変化した場合に調査結果を活かし、新たな交通手段の活用を検討する
参考 江東区コミュニティバス「しおかぜ」の黒字化は困難
2019年度 運行開始以来、年間乗客数が最大
・1日平均 221・3人
・江東区負担額 1121・5万円/年
・運行経費の黒字化には1日平均528人が必要
・15年以上運行してきて沿線人口増により乗客が増えたとみられるが、今後爆発的に乗客が増える要因はみあたらない
→黒字化は困難
感想・まとめ
コミュティバスを走らせる大きな理由の一つに、地図上の交通不便地域を減らすというものがあると思う。そのために多少の赤字には目を瞑ると。
赤字を出すことが確定的な公共交通を新設するのはただでさえハードルが非常に高いのに、城東地区の当該エリアは「交通不便地域とはいえない」と定義づけられてしまった。今回の報告書の最大のポイントは結局「交通不便地域とはいえない」ということであって、これを覆せないと新たな交通手段導入は難しいだろう。
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中央区の江戸バスの再編は利便性を向上させるチャンスで、計画されている乗り継ぎ・乗り換え利便性の向上がどの程度、利用客の増加につながるか注目したい。