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#705 日本の気候変動2020をみる

気象庁が日本の気候変動に関する2020年版の報告書を公表したので、内容を簡単に見ておく(2020/12/13)。

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気象庁

概要

1 温室効果ガスの大気中濃度は増加を継続している

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気象庁

 二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素濃度は過去80万年間で例のない水準

 過去100年間の濃度の平均増加率は過去22000年間に例のない速さ

2 平均気温上昇と極端な高温の頻度が増加している

 2015〜19年の世界平均気温は工業化以前の水準より1・1度高い

 日本の年平均気温上昇は世界平均より早く進行している

3 今後も平均気温上昇と極端な高温の頻度増加が見込まれる

 いずれの温室効果ガス排出シナリオにおいても日本の年平均気温は上昇。緯度が高いほど上昇が大きい

4度上昇シナリオ(RCP8・5)

 年平均気温 4・5度±0.6度上昇

 猛暑日日数 19.1日±5・2日増加

 熱帯夜日数 40・6日±6・7日増加

 冬日日数  46・8日±6・9日減少

4 日本国内の大雨/短時間強雨の発生頻度が増加している

1901年〜1930年と1990年〜2020年の比較で

 日降水量100ミリ以上の日数は1・4倍

 日降水量200ミリ以上の日数は1・7倍

1976年〜1985年と2010年〜2019年の比較で

 1時間降水量50ミリ以上の年間発生日数 1・4倍

 1時間降水量80ミリ以上の年間発生日数 1・7倍

雨の降る日は有意に減少

日本の年降水量、季節降水量に長期的な変化傾向は見られない

5 今後も雨の振り方が極端になる傾向が続くと予想される

4度上昇シナリオ(RCP8・5) 21世紀末の雨の振り方の変化

日降水量200ミリ以上の年間日数 約2・3倍

1時間降水量50ミリ以上の短時間強雨の頻度 約2・3倍

年最大日降水量の変化 約27%(約33ミリ)増加

日降水量が1ミリ未満の日の年間日数 約8・2日増加

初夏の梅雨前線による降水帯は強まり、現在よりも南に位置すると予測(偏西風が現在より南寄りになる)

6 日本国内の積雪、大雪は減少傾向にある

日本海側の各地域では年最深積雪が有意に減少

日本海側の各地域では大雪の頻度も有意に減少

7 降雪・積雪は減少するが大雪のリスクは残る

8 台風発生数、日本への接近数・上陸数、強度に長期的変化傾向は見られない

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気象庁

日本付近の台風は強度が最大となる緯度が北に移動している

9 日本の南海上で猛烈な台風の存在頻度が増すと予想される

日本付近の台風の強度は強まると予測

 地球温暖化に伴い、台風のエネルギー源である大気中の水蒸気量が増すためと考えられる

世界全体では個々の熱帯定期あるの雨と風は強まると予測

10 冬季は暖冬型、夏季は日本付近で南西の風を強めるような気圧配置に近づく傾向が近年見られる

冬季 日本の南東で気圧が上昇(暖冬で見られる特徴)

夏季 日本の南で気圧上昇、北で低下の傾向

11 冬型、夏型の気圧配置の特徴は現在より弱まる傾向

冬型の季節風は弱まると予測

 北日本を除く地域では西高東低の気圧配置が弱まり、北寄りの季節風が弱まる

 北日本では西寄りの季節風が現在より強まると解釈可能

夏季の太平洋高気圧の北への張り出しは弱まると予測

 日本付近は西寄りの風が強まると解釈可能

12 日本近海の平均海面水温は世界平均の2倍を超える割合で上昇

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気象庁)=日本近海の海域平均海面水温(20世紀末からの偏差)

2019年の世界全体の年平均海面水温平年差

 +0・33度(1981年〜2010年の平均値からの差)

世界全体の1891年から2019年の上昇率

 100年あたり+0・55度

日本近海の2019年までの上昇率

 100年あたり+1・14度

→一般に大陸に近い海域は温まりやすい陸地や黒潮など暖流の影響を受けやすいと考えられる

13 日本近海の平均海面水温は今後も世界平均よりも大きな割合で上昇と予測

4度上昇シナリオ(RCP8・5) 21世紀末の平均海面水温

世界 20世紀末と比べほぼ確実に上昇

日本近海 20世紀末と比べ約3・6度上昇

14 日本沿岸の平均海面水位は1980年以降上昇傾向にある

世界平均海面水位は過去100年で15センチ上昇

日本沿岸では一貫した上昇傾向は見られない

日本沿岸では顕著な長期変動と1980年以降の上昇傾向が見られる

15 日本沿岸の平均海面水位は上昇すると予測

4度上昇シナリオ(RCP8・5)  21世紀末の平均海面水位

世界 20世紀末と比べ 約70センチ上昇を予測

日本沿岸 世界と同程度と予測

平均海面水位の上昇により浸水災害が増加すると予測される

16 オホーツク海の海氷面積は減少している

10年あたり約6・1万平方キロ減少

 北海道沿岸で1980年代後半以降、流氷量の減少が著しい

17 オホーツク海の海氷面積は今後も減少すると予測

4度上昇シナリオ(RCP8・5) 21世紀末の海氷面積 

 オホーツク海 20世紀末と比べ 70%±22%減少する

18 日本の高潮発生数と大きさに長期的変化傾向は見られない

19 高潮のリスクは増大すると予測される

東京湾、大阪湾、伊勢湾の最大潮位偏差は大きくなると予測される

日本沿岸では平均波高は減少するが、極端な高波の波高は多くの海域で高くなると予測

20 黒潮の流量に長期的変化傾向は見られない

21 黒潮の流量や黒潮続流の緯度に有意な変化は生じないと予測される

22 北西太平洋、日本沿岸域とも世界平均と同程度に酸性化が進行している

 世界 pHは10年あたり0・02の速度で低下

 日本 pHは10年あたり 夏季0・014/冬季0・024の速度で低下

 2020年ではpH8・0〜8・1(1985年には8・07〜8・17)だった。

23 日本南方の北西太平洋で酸性化が進行すると予測される

感想・まとめ

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自然災害に関する最新の留意事項として、毎年確認しておくことには意味がある。

参考

www.jma.go.jp

日本の気候変動2020 気象庁(2020年12月)