江東5区(墨田区、足立区、江東区、葛飾区、江戸川区)の大規模水害の際の広域避難計画がまとめられている。計画で触れられている「広域避難勧告」と「域内垂直避難指示(緊急)」についてまとめておく(2019/10/20)。
(広域避難計画)
広域避難計画について
対象とする水害
(広域避難計画)
・今まで経験したことがないような巨大台風接近、上陸に伴う高潮発生
・台風や前線の活動により荒川、利根川(江戸川)流域の大量降雨が続くことによる大規模洪水
など
高潮浸水想定台風
移動速度 時速73キロ(伊勢湾台風並み)
想定される水位、風、雨量変化はキティ台風
洪水浸水想定降雨
想定最大規模降雨による洪水
想定される水位、風、雨量変化はカスリーン台風
(江東5区大規模水害ハザードマップ)
想定される事態
・堤防、放水路、排水機場、ダム整備により浸水被害発生の確率は減少。
・浸水が発生した場合、最大浸水深は10メートルに
・江東5区は河川に囲まれていて、避難で人が集中する橋や駅は混雑
・巨大台風の接近に伴う風雨により、電車のダイヤが乱れたり運休となり避難困難になる可能性。
・垂直避難者が多いほど、行政が避難者の居所の把握が困難で、その後の救出活動に時間を要する。全員は救助しきれない。
・2週間を超える長期湛水が想定され、垂直避難や域外避難にリスク
→下水が止まりトイレが使えなくなる/水道が止まり飲料水がなくなる/停電
広域避難が必要とされる地域・対象者
・犠牲者ゼロの達成には江東5区外への広域避難が基本
・広域避難対象地域は高潮、荒川+江戸川洪水による想定最大規模の浸水想定区域
・高潮、洪水それぞれの浸水想定区域内の全ての住民が広域避難対象
・荒川と江戸川の流域は隣接。ほぼ同時に水位が上昇する可能性。
→浸水想定区域は江東5区ほぼ全域。江東5区262万人のうち、床上浸水となる想定区域ない人口は高潮が211万人、洪水が233万人。合わせて249万人。浸水割合9割超
広域避難勧告・域内垂直避難指示(緊急)等の発令
発令基準が表になっている。
(広域避難計画)
広域避難勧告発令条件
・気象庁が930ヘクトパスカル以下の台風が概ね24時間以内に東京湾から神奈川県を含む地域に到達すると予測し、高潮特別警報を発表する可能性に関する記者会見を行う場合
・江東5区に高潮注意報が発表され、堤防の天端高をこえる最高潮位が予測されている場合
・気象庁と荒川下流河川事務所が洪水関連情報として荒川流域(岩淵地点上流域)で3日間積算流域平均雨量(2日間降雨実績+24時間降水量予測)が概ね600ミリを超える可能性があり、江東5区に情報提供があった場合
・江東5区の区長判断
域内垂直避難指示(緊急)発令条件
・広域避難勧告の状態で高潮警報または高潮特別警報が出た場合
・荒川下流河川事務所から氾濫危険水位(A.P.+7・70メートル)に達し、さらなる水位上昇が見込まれることが通知された場合
・江東5区の区長判断
避難行動および避難場所
・浸水想定区域内住民は自主的広域避難を推奨
・自主的広域避難をする住民はどの地域、どのような施設に避難するか自ら判断
・広域避難勧告の対象
床上浸水想定区域内部の住民
浸水想定はないが周囲が水没し孤立する地域の住民
・浸水のおそれがなくなった段階で、浸水していない地区の住民は安全確認の上速やかに帰宅する。帰宅困難住民は江東5区避難施設に誘導
・域外垂直避難指示(緊急)が発令された場合は、広域避難を中止し、想定される浸水深より高い近くの建物に垂直避難を実施
避難手段
・広域避難勧告後は電車、徒歩による広域避難を推奨する
→自動車による避難は渋滞を生み、避難が間に合わない恐れ
・電車、徒歩による移動が困難な避難行動要支援者(長距離の徒歩移動不可、混雑する電車による移動困難)とその付き添いは自動車も可
感想・まとめ
被災した方にはお見舞いを申し上げます。
個人的には、身近に被災者はいなさそうな状況。
そんな中で、台風19号で個人的に一番気になったのは避難の話。
避難勧告が出た時には、公共交通機関がほぼ使えないような状態ではなかったかな。検証はしていないけど。
今回は発令されなかった訳だが、この広域避難計画、いろいろと見直ししなきゃいけないんだろうなあ。
参考