東京都が築地まちづくり方針(素案)を公表した(2019/01/23)。
築地市場の豊洲市場移転に伴う跡地再開発にあたって、まちづくりのガイドラインのたたき台が示された。お魚の匂いがまったくしない素案という印象。2月中旬まで「意見募集」をするようだ。
(東京都)
素案概要
場所
対象地 築地地区約23ヘクタール
(東京都)
将来像の設定
MICE機能
国際会議場が中核
国際的交流拠点
地域全体の将来像は2040年代を想定
導入機能
コア施設 展示機能を備えた一定規模の国際会議場+大規模集客・交流施設
オープンスペース 隅田川、浜離宮恩賜庭園への視界を考慮した歩行者ネットワーク、溜まり空間(多目的広場)、公園として使える空間、広場を十分に確保
※コア施設といいながら、主に環状2号線の浜離宮側に位置することになるのか。
ゾーニング
■おもてなしゾーン 展示機能を備えた国際会議場、ボールルームを備えた上質なホテル
■水辺の顔づくりゾーン 広場、緑地、レストラン
■交流促進ゾーン 庭園側の会議場と連携した大規模集客・交流施設、研究開発施設、防災機能を果たすオープンスペース
■ゲートゾーン 交通ターミナル機能(バスターミナル、地下鉄の駅前空間、秋雲ターミナル)、防災機能 ホテル、サービスアパートメント、「かちどき 橋の資料館」活用に留意
段階的整備について
①第0段階 2020年ごろ事業者募集
(東京都)
・船着場周辺を先行整備
・2020年ごろ事業者募集、中期の定期借地
②第1段階 2022年ごろの事業者募集
(東京都)
・庭園側整備
・2022年ごろ事業者募集、長期の定期借地
・歩行者ネット確保が前提
③第2段階 2020年代半ばの事業者募集
(東京都)
・中央エリアの開発+スーパー堤防整備
・2020年代半ばの事業者募集、長期の定期借地
④第3段階 時期不詳
(東京都)
・第0段階の整備エリアを再整備、長期の定期借地
交通結節機能について
(東京都)
・舟運、バス、地下鉄などのインフラからなる広域交通結節点を戦略的に形成
・地下鉄など基幹インフラ整備の具体化を図る
・舟運ネットワーク強化
・船着場との一体性、効果的活用を考え、将来の地下鉄構想との連携の可能性を見据え、交通広場など交通結節機能を晴海通り側のエリアを中心とした場所に確保
・必要に応じ、築地市場駅との一体性を考慮した交通広場などの交通結節機能を新大橋通り沿いの位置に確保。晴海通り側の交通結節機能との連携を図る
舟運
(東京都)
・東京の玄関口にふさわしい「水辺の駅」、舟運ネットワークの要
・両国、浅草、日本橋、羽田空港との積極的連携、地下鉄などとの連携
・隅田川の勝鬨橋よりのエリアに交通広場など、船着場の効果的活用を考慮した交通結節機能確保。浜離宮側にも船着場整備。
歩行者ネットワーク
(東京都)
特記事項なし。
※見ての通り。どちらかというと築地跡地と周辺のつながりがメインという印象。
地区内通行車両等交通機能確保について
(東京都)
・新大橋通り側、晴海通り側からの適切な車両アクセスの確保
・環状2号線地下部等を横断するアクセスルート確保・・・どうやるの??
・都市高速晴海線の出入り口が想定される場合は将来の土地利用と合わせて検討
感想・まとめ
これだけ読むと
TX一体整備の臨海地下鉄新線、期待しそうになる。ただ、実際に整備されるかはまちづくり素案とは関係ないと思っておいたほうがいい。構想線は存在するのだから「席は空けておきますよ」ということだろう。
地下鉄関連の整備に関しては事業着手の見通しが不透明な第0段階で着手されるとは考えにくい。第2段階(2020年代半ばごろ事業者募集)の進展を見て、第3段階(時期不詳)に反映させるという位置づけだろうか。
ゾーニングのイメージに「地下鉄の駅前空間」の場所が示されていた。地下鉄整備を踏まえた再開発なので、場所を設定しておく必要はある。比較的最近の議論では地下鉄新線は「土地代」が顕在化しない大深度地下を基本的に想定している様子。
一方で地下鉄のルートは全く決まっていないので、仮に晴海通り直下になった場合にも、ここに駅前空間を設けるという想定ということになる。
都市高速晴海線(都市計画路線)の直上で大丈夫か?
(東京都)
この素案が描く2040年、築地場外は「なんで魚売ってるの?」ということになりはしないか。
そんな感想。