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東京都中央区、江東区の臨海部を中心としたメモ。独自の情報を除いては、報道ベースではなく、発表主体の情報をベースに書くことを基本にしています。最近はゲリラ的な花火大会情報も提供。

#1164 「明るすぎや不快な夜間照明は晒すかもよ」 中央区光害防止指導要綱の内容

 中央区議会議員が晴海地区のタワーマンションのティアラが空に向けて光を放射する写真を添付したツイートに合わせて「中央区光害防止指導要綱」が制定されたことを告知、プチ炎上状態になった。で、光害ってなんやねんと思い調べてみた。

 要綱は健康被害、生活環境被害の抑制が狙いで、施行は6月1日。「繁華街」を対象としたもので「住宅地」を対象としたものにはなっていないようだ。ただ、中央区では光害に対し健康が絡んだ「苦情」も見られる点には注意が必要だと思う(2022/02/22)。

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光害対策ガイドライン環境省

中央区光害防止指導要綱の概要

別の中央区議が要綱の内容を公表していたので大まかにまとめてみた。

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中央区光害防止指導要綱概要

参考:

高橋元気(中央区議会議員) on Twitter: "中央区光害防止指導要綱を確認しました。

要綱骨子

対象地域は中央区でも繁華街地域(推定)

対象となる照明は「屋外を照射するすべての照明」

目的は「区民等の健康、生活環境に関係する被害防止」

中央区ができることは「指導と助言」。従わない場合、名前を晒すよという内容

要綱における光害の基準は?

「2 定義」の部分に基準として、去年改定されたばかりの「光害対策ガイドライン環境省)があるので、内容について確認しておく。

光害対策ガイドライン環境省)〜2021年3月改定

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光害対策ガイドライン環境省

 2006年の改訂後、LED照明の普及など光環境の変化や、国際照明委員会(CIE)による「屋外照明による障害光規制ガイド」の発行などを踏まえ、2021年3月改定された。

光害の定義

良好な「照明環境」の形成が漏れ光により阻害されている状況、またはそれによる悪影響を光害と定義。狭義には障害光による悪影響を指す

人間の諸活動への影響

 道路・街路などの屋外照明光が住居内へ強く射し込むと、居住者の安眠、プライバ シーなどに悪い影響を及ぼす恐れ

歩行者への影響

 街路灯などの選定・設置が不適切である場合、必要な照度が得られないばかりで なく、歩行者に不快なグレア(まぶしさ)を感じさせる可能性がある。また防犯上 の安全性を損なう可能性

交通機関への影響

 自動車 道路周辺施設の照明が自動車の運転者に影響を及ぼし、交通安全に支障を生ず る可能性

 船舶・航空機 都市灯火や港湾施設照明が海上灯火や航路標識の視認性に悪影響を与えるケースが考えられる

照明環境

 目指すべき良好な光環境は地域に応じて異なるため4段階に分類。繁華街は「照明環境Ⅳ」、都市部住宅地は「照明環境Ⅲ」に該当。中央区はいずれかに該当するだろう

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光害対策ガイドライン環境省

良好な光環境の条件

※照明環境=光環境類型と考えて良さそう。

①配光

 照明器具から放射される光の各方向への光度の分布。配光が適切に制御 されていない場合に、漏れ光や侵入光が発生する。

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光害対策ガイドライン環境省

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光害対策ガイドライン環境省

②上方光束比

 上方光束=照明器具の光束のうち水平より上方へ向かう光束の割合

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光害対策ガイドライン環境省

上方光束については、都市住宅地で5%、繁華街で15%が最大許容値。

・・・

 特に上方光束については「特殊な状況・目的以外では人々 の生活の利便性の向上に寄与しない。省エネルギーの観点からも、上方光束は光環境類型によ らず、できる限りゼロに近づけることが望ましい」と明記されている。

③輝度

 眩しさによる不快感が不快グレア。不快グレアは、視野に高輝度の光が入ったり、視野内に過度な輝度対比が生じたりする場合に、まぶしさを不快に感じることで引き起こされる。いずれも視野内に高輝度の光が入らな いようにする、また、視野内の輝度分布をなるべく均一にすることで抑制できる

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光害対策ガイドライン環境省

④光色

 省略

「やすらぎ」の照明環境 Ⅲ

(照明環境の達成イメージ) 都市部住宅地などで、道路・街路灯を中心とした屋外照明が多く、また屋外広告物もある程度設置されている地域において、より漏れ光、障害光の発生度合の 少ない照明機器の整備がなされ、適切な屋外広告物などの設定がなされる状況。

(この類型が適用される場所のイメージ)

・地方都市

・大都市周辺市町村

・都市部住宅地

(推奨対策)

・設備更新の際に、積極的な照明システムの見直し

・星空観測スポットの設定、整備

検討すべき対策

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光害対策ガイドライン環境省

ⅰ すべての照明の目的を明確にすること

ⅱ 必要な範囲のみ照射すること

ⅲ 必要な時にのみ点灯すること

ⅳ 必要以上の明るさにしないこと

ⅴ なるべく低い相関色温度の照明器具を使うこと

感想・まとめ

 ライトアップしてほしいとか、照明をつけてほしいと言った要望がある一方で、生活を営む人からの光害に関する苦情も中央区に寄せられている。今回の議員ツイートに関しては、当該議員のところに、比較的長期間にわたって光害対策の要望が繰り返し寄せられていたのではないかと推察する。

 次に要綱について。今回はブレーキをかける際の根拠ができたということ。「明るすぎや不快な夜間照明は晒すかもよ」という内容。

 中央区要綱記載の25000カンデラ、25ルクス、GR50といった数値を見ると、要綱はあくまで繁華街(照明環境Ⅳ)での光害抑制を目的にしたものとみることができる。

 もっとも、環境省ガイドラインは環境を問わず「必要以上の明るさにしないこと」を求めている。中央区要綱はこれに沿った内容。あと屋外照明は空を照らすことに関してはかなり厳しいルール(上方光束)がある。

参考:東京都、高層マンション建設での夜間照明に関する事前協議を義務化(2019年)

 東京都は2019年、「良好な夜間景観形成のための建築計画の手引き」の中で、大型ビルや高層マンションを新たに建設する業者に対し、夜間照明に関する都との事前協議を義務化している。

 これは夜間照明の規制というより夜間景観誘導にあたっての留意事項をまとめたもの。「必要以上に明るくしないこと」といった内容ではないようだ。

 中央区要綱とはぶつかる気がするが、地域におけるガイドラインがある場合は地域のガイドラインに従うという位置付けと明記されているので、中央区の要綱が優先することになるだろう。

www.metro.tokyo.lg.jp

・・・

 住宅地における光害防止はもっと注目されていいと思っている。夜間の良質な景観形成と光害防止、うまく両立させられればいいと思うのだけどね。

参考 中央区に寄せられた「光害」関連の指摘(右:指摘/左:区回答)

 なお、中央区内の以下に示す地域では「光害」に関する指摘が出ている。注意しておきたい。

①湊

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中央区

②晴海(2件)

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中央区

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中央区

参考

www.env.go.jp