東京オリンピック・重量挙げの女子59キロ級で安藤美希子選手が銅メダルを獲得。安藤選手はリオデジャネイロ大会5位。日本女子としては3大会連続のメダル。今回は4位の選手との差はわずか1キロだった。一夜明けた記者会見は松葉杖姿で姿を見せ、凄まじい戦いがあったことを語ってくれた。心からの尊敬しかない(2021/07/28)
安藤美希子選手の銅メダル会見全文
(大会前、怪我や父親のこともあって苦しかったと思うが、支えになったものは)
支えになったのは、母国開催、東京オリンピックということと、ウエイトリフティング競技でメダルを取ることで、さらに競技人口が増えて次の世代につながっていってほしいという思い、あとはここまで支えてくださった方への感謝の気持ちだけではなく、形として残して伝えたいという思いが支えになったと思う。
(怪我が大きなアクシデントだったと思うが)
・・・連絡がきたが、彼女に状況を話してこういう気持ちでどうしようという話をした時に、同じ競技者として重たい重量を触ろうとする気持ちもわかるし、周りから止められてしまう気持ちもあり、その中の葛藤というのをお互いに共有して、大変だけど頑張ろうねと言ってもらえて、まずそこで気持ちが少し楽になったのと、あとは徐々に少しずつ回復していって、まともに歩けるようになり、しゃがむ角度も少しずつ深くしゃがめるようになっていった。
どうしても、ウエイトリフティングで一番座らなければいけない角度まではどうしてもいけなくて、そこは治療の先生にお願いをして一生懸命治療をしていただき。
少しずつ回復していくのは実感しているのだけれど、焦りがあって。ただ焦った結果してしまった怪我ではあったので、そこでまた同じミスをするわけには行かなかった。気持ちを抑えて一生懸命練習を重ねて。
最終的に先週の頭からやっとウエイトリフティングというものが再開できるようになって、そこで初めて少し安心できた。
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ただ、それでも先週の時点でやっと70%、80%付近までしかまだ重量としては扱えていなくて、それもかなり膝が痛い状態だったので。
安心はできたんだけど、本当に間に合うんだろうかという気持ちもあり、ただ、最終的には無理矢理にでもやらないといけないというのはコーチ、監督を確認をしあっていたので、いかに本番になるべく痛みを軽減しながら、ただ本番用の練習もしなければいけないという微妙な極限の状態の境目のところを見極めるのが本当に難しかったんですけれど。
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最後は限界突破してしまった結果、こういった形になってしまったんですけど、結果メダルが取れてとりあえずは良かったかなと思います。
(チャットから:他の競技にないウエイトリフティングの魅力は)
魅力というのは、陸上、水泳という数字で現れる競技と基本的には同じで、努力した分、数字に現れるっていう、そこに面白さもあるんですけど、やはり、単純でとてもシンプルで、ただ物を頭の上に持ち上げる。重たければ勝ち、という本当にわかりやすい競技だというのが一番魅力なんじゃないかなと思います。
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たくさんの方にサポートしていただけてメダルという形が残ったのかなと思っています。
ありがとうございます。
(ジャークの3回目、成功しなければメダルはないというプレッシャーの中どういう気持ちで臨んだか)
120キロという重量自体は、私が挙げられる重量としてはかなり低い重量に入る。本来であればミスをすること自体が恥ずかしいレベルなんですけど、今のこの状況で120キロというのは私にとってはすごく厳しい状態で、練習の中でも120キロというのは一度も直前の練習では成功できていなかった。
心理的に不安もある中で、自分が元気だった時にはできていた当たり前の重量であるから、できて当たり前という気持ちと、成功することでメダルを取れる、あとはこれを終われば足の痛みから解放されるという、この3つでどうにかあげたというところですね。
(インタビューでお父さんにメダルをかけてあげたいといっていたが、昨日電話でお話はされたか)
父がいるのは施設なので、直接電話はしていない。
選手村を出てから母と一緒に施設に行って、直接会おうとは思っている。
父にもかけてあげたいが、母にも姉にもかけてあげて一緒に喜んで欲しいなと思います。
感想・まとめ
記者会見で凄まじい戦いの内幕を語ってくれた安藤選手、
心から尊敬します。
銅メダルおめでとうございます。