東京8号線延伸(豊洲〜住吉)の最近の検討状況についてまとめておく。2020年以降、国と東京都、東京メトロの3者による技術的検討が勉強会という形で進められている。第6回の勉強会は2021年3月に開催された。新型コロナによる需要減少を踏まえた検討が必要であること、東陽町駅の工事が特に難しいこと、そして周辺のまちづくりを巻き込んだ検討が必要なことが浮上している(2021/04/10)。
(江東区)
2020年以降、これまでに6回、国土交通省と東京都、東京メトロの三者による「東京8号線延伸」に関する勉強会が開かれている。第4回の勉強会からは、難工事が予想される東陽町駅の具体的な工事方法(技術的な実現可能性の検討)に入っている。 東京メトロの事業者としての専門的知見を活用し、既存調査を踏まえた技術的観点からの課題抽出と、駅構造などの検討の深度化、事業費の精査を実施する ・難工事が予想される東陽町駅について、駅改良の具体的課題の抽出の必要性を確認。検討を深める ・新型コロナの感染拡大で外出自粛。鉄道利用者が大幅に減少し影響継続。当面は影響が続くと予想され、駅施設の構造・規模、運行計画の検証などについて、影響を注視しながら検討を進めることを再度確認 ・難工事が予想される東陽町駅の改良で、埋設物の制約条件、乗り換え動線を踏まえた駅施設計画を検討。 ・新型コロナによる鉄道利用者の大幅減少による影響が継続。収束が見通せない。駅施設の構造・規模、運行計画の検証などについて、影響を注視しながら検討を進めることを再度確認 ・難工事が予想される東陽町駅の改良などについて、既設地下鉄直下に新たな構造物を設けるにあたってアンダーピニングが必要と確認。施工方法や施工上の課題を検討 ・新型コロナによる鉄道利用者の大幅減少による影響が継続。収束が見通せない。駅施設の構造・規模、運行計画の検証などについて、影響を注視しながら検討を進めることを再度確認 ※第7回以降は未定。 第4回以降、議論の焦点は東陽町駅で予想される難工事に移っている。 (江東区) ・埋設物などを踏まえると、東西線東陽町駅のホーム階の拡幅は困難と確認 ・西改札利用者と乗り換え利用者の交錯させないようにするためには、東西線ホーム直下に乗換通路を新設し、既設の構造物を重層化して利用者動線を分散させることが効果的と確認 (江東区) 東西線ホーム(B2F) 乗換通路(B3F、新設) 8号線ホーム(B4F、新設) ・新たな昇降施設が必要だが、東西線ホームの拡幅が困難なため昇降施設配置は事業実施段階での周辺のまちづくりなども踏まえて更なる検討が必要 (江東区) ・既設線の支持を受け変えるアンダーピニング工事が必要 ・乗換通路の整備にあたっては8号線側から掘り進めることが必要 ・特に難工事が予想される。事業実施段階において既設構造物の保全、列車の安全走行を確保した施工方法のさらなる検討が必要 検討の深度化は着実に進んでいる。ただ、課題も明らかになってきた。 周辺のまちづくりを巻き込まないと実現が難しいというニュアンスが出てきたのと、工事が極めて難しいことが浮上してきたことで、実現可能性そのものや総事業費も影響を受けそう。 また、費用便益比は交通政策審議会答申と2019年の江東区調査が引用されていたが、いずれも「コロナ前」。コロナの影響を考慮した再計算が必要だろう。 東京メトロの経営環境が大きく変わってしまったことも重要なポイントだ。 東京メトロは2021年度の事業計画の中で次のように記している。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、当社の経営環境は大きく変化しており、今後の経営の見通しが不透明な状況であることから、コロナ後の輸送サービスを考慮しつつ、安全の確保を前提に設備投資全般の抜本的な見直しを行う・・・ 只事ではないことが容易に想像できる。四半期単位で約2億人分、年間8億人分の輸送需要が減少している計算。インバウンドが回復しても容易に補えるものでは無いだろう。 (中の人作成)=四半期報告書より JR東日本がコロナで減った利用者は、将来的にコロナ前の85%までしか戻らないとしているのも理解できる。メトロは70%までしか戻っていないし。 ・・・ そして、臨海地域地下鉄構想は東京8号線の向こう側にある。 国の「勉強会」について
目的
第4回(2020年9月)
第5回(2020年11月)
第6回(2021年3月)
本線部分の建設計画概要(第6回まで)
東陽町駅の改良イメージ
工事のイメージ
感想・まとめ
東京メトロの経営環境が激変
輸送人員の推移
参考