中央区の路地を縫うように走るコミュニティバス「江戸バス」。導入に至る経緯をまとめ、東京2020大会後の「HARUMI FLAG」のまち開きに前後して実施される見通しのルート改変まで、わずかな情報を手掛かりに考えてみた(2019/12/11)。
(中央区)
- 江戸バス導入まで
- 運行ルート素案(2008年7月)
- 運行ルート基本計画案(2008年10月)
- 運行ルート実施計画(2009年2月)
- 基本計画案からの改善
- 運行開始(2009年11月)
- 「HARUMI FLAG」まち開き後の想定ルートを考える
- 感想・まとめ
- 参考
江戸バス導入まで
6つの基本方針
①施設へのアクセス利便性充実
②区内交通不便エリアを連絡し既存公共交通と連結
③高齢者、区外来訪者の移動利便性
④高齢者の健康維持、地域コミュニティ活性化、商業観光振興
⑤区民の愛着
⑥スクールバス機能
ルートの方向性を決める7つの着眼点
①区内主要施設へのアクセス向上
②高齢者・児童らの移動支援
③通勤・通学の移動支援
④既存公共交通との連携
⑤来街者の利便性
⑥ミニバス利用により、比較的狭隘な道路もルートに
⑦定時性
経路の方向性(運行経路イメージ)
①スクールバス特認校分布エリア(スクールバス機能確保)
②人形町・浜町エリア(公益公共施設へのアクセス性向上)
④月島・晴海エリア(公益公共施設へのアクセス性向上)
○観光・商業施設へのアクセス性向上
→区道走行による混雑回避、時間調整機能を組み込定時性確保、乗り換えポイント設置による速達性向上
運行経路具体案
(中央区)
①浜町敬老館の直近を通るためにできる限り狭隘な道路を運行
②できる限り特認校3校(※当時:常盤小、阪本小、城東小)の直近を運行
③高齢者・子供、就業・通学者の多い新川地区を運行
④高齢者と区内の主要な医療施設である聖路加国際病院の直近を運行
⑤時間調整機能を組み込むため、中央区役所をターミナルとした運行経路に
⑥環状2号線の建設予定地、再開発による居住人口増加を考慮した運行形態とする
運行ルート素案(2008年7月)
(中央区)
運行概要(素案段階)
運賃 未定
ルート 17キロ
所要時間 100分/周(90分+調整10分)
運行間隔 20分
バス台数 5台(+予備1台)
運行時間帯 7時〜20時
バス停数・間隔 約400m、40箇所
運行ルート基本計画案(2008年10月)
(中央区)
運行概要(基本計画案段階)
・運賃 未定(100円と200円で収支検討)
北循環
ルート 9・5キロ
所要時間 60分/周(55分+調整5分)
運行間隔 20分
バス台数 3台
運行時間帯 8時〜21時
バス停数・間隔 約400m、約23箇所
南循環
ルート 9・6キロ
所要時間 60分/周(55分+調整5分)
運行間隔 20分
バス台数 3台
運行時間帯 8時〜21時
バス停数・間隔 約400m、23箇所
南北循環
ルート 19・1キロ
所要時間 約110分/周
運行間隔 特定便
運行時間帯 7時〜8時ほか
素案との相違(南循環)
(中央区)
運行ルート実施計画(2009年2月)
(中央区)
・運行時間 平日 7時〜19時台 休日 8時〜19時台
・運行間隔 20分間隔程度
・運行系統 南北2系統(南北循環廃止、スクールバスは単独運行)
・車両選定案 日野自動車 ポンチョ(定員36)
・運行台数 8台
・運賃 100円
・バス停数 49基
北循環
ルート 8・9キロ
所要時間 60分/周
運行間隔 20分程度
バス台数 3台
バス停数・間隔 約356m、24箇所
南循環
ルート 10・0キロ
所要時間 70分/周
運行間隔 20分程度
バス台数 3台
バス停数・間隔 約385m、25箇所
基本計画案からの改善
(中央区)
・既存のバス路線への影響が最小になるような運行計画の要望(バス協会)
運行開始(2009年11月)
(中央区)=2019年11月の運行ルート
「HARUMI FLAG」まち開き後の想定ルートを考える
現在の運行ルートのうち、南循環を拡大したもの
(中央区)
2009年2月の実施計画案には「環状2号線開通に伴う経路変更」が示されていたが、2020年オリンピック大会の東京招致が成功した2013年9月から4年半も前のことで、五輪選手村のことは想定していない。
(中央区)
最近、江戸バスルのート見直しにあたり、確認できたのは2点。
・晴海フラッグ入居(2023年3月以降)を意識
・晴海4丁目の新設公共交通施設へのアクセスを考慮する
そうすると、「晴海特別出張所前」と「晴海5丁目マルチモビリティステーション」は確定に近い。学校からの帰宅時に江戸バスを使う児童もわりと多いので、晴海小中学校前も確度は高そう。Uターンを避けるルート設定も条件と考えることができる。
そこで、環状2号線を使うルートと使わないルートを考えてみた。
想定ルート①=環状2号を使う
(中の人作成)
・環状2号線を使うルートにすることで、晴海通りの「晴海3」など水色ルート部分の停留所廃止。
想定ルート②=環状2号を使わない
(中の人作成)
・想定の2ルートのいずれも「晴海3」は廃止。
参考:以前、根拠なしに適当に考えたルート
どらったら! on Twitter: "【江戸バス】延伸イメージ、更新するか。… "
感想・まとめ
江戸バスは当初ルート1本で導入が検討され、基本計画案で北循環、南循環、南北循環の3ルートとなり、最終的に南北循環がスクールバスとして独立し、今の北循環と南循環になった。
江戸バスの南循環ルートは中央区庁舎更新の話が大きく影響するが、エントリを書いている時点で方針は固まっていないようだ。南循環のルートが抜本的に見直されるかどうかはわからないが、晴海地区のみ変更があるという仮定のもとで、東京2020大会後のルートを考えてみた。
晴海3丁目エリアは「パークタワー勝どき」の人道橋が開通し、交通環境が改善するので、南循環ルートをここに通す意味合いがやや薄れるのではないか。
(三井不動産)
環状2号線を使うルートが有力かな。