森記念財団がまとめた「世界の都市総合力ランキング2019」をみておく。東京は4年連続の3位だった。総合評価として「総合力が非常に高いとしであるものの、圧倒的に強い分野はなく、極端に弱い分野もない。バランス型の都市としての様相がますます強まりつつある」と記されている(2019/11/27)。
(森記念財団)
概要
6分野・26指標グループ、70指標から分野別にランキングを作成。
既存の有力な都市比較ランキング20位以内、有力な国際競争力ランキングの競争力上位国の主要都市など、48都市を比較し2600点満点で評価したもの
評価対象の分野と細目
1 経済
①市場規模 ②市場の魅力 ③経済集積 ④人的集積 ⑤ビジネス環境 ⑥ビジネスの容易性
2 研究・開発
①研究集積 ②研究環境 ③イノベーション
3 文化・交流
①発信力 ②観光資源 ③文化施設 ④受入環境 ⑤外国人受入実績
4 居住
①就業環境 ②居住コスト ③安全・安心 ④生活良好性 ⑤生活利便性
5 環境
①持続可能性 ②大気質 ③自然環境
6 交通・アクセス
①国際ネットワーク ②航空キャパシティ ③都市内交通 ④移動の快適性
各都市の総合順位と分野別順位
①ロンドン 1669・1
経済 2位/研究・開発 2位/文化・交流 1位
居住 9位/環境 22位/交通・アクセス 2位
経営者評価 1位
グローバルエキスパート評価 1位
観光客評価 1位
居住者評価 3位
②ニューヨーク 1543・2
経済 1位/研究・開発 1位/文化・交流 2位
居住31位/環境 27位/交通・アクセス 3位
経営者評価 2位
グローバルエキスパート評価 3位
観光客評価 4位
居住者評価 12位
③東京 1422・2
経済 4位/研究・開発 3位/文化・交流 4位
居住11位/環境 23位/交通・アクセス 8位
経営者評価 5位
グローバルエキスパート評価 14位
観光客評価 3位
居住者評価 5位
④パリ 1387・7
経済21位/研究・開発 9位/文化・交流 3位
居住 1位/環境 24位/交通・アクセス 1位
経営者評価 7位
グローバルエキスパート評価 2位
観光客評価 2位
居住者評価 1位
⑤シンガポール 1262・9
経済 6位/研究・開発11位/文化・交流 5位
居住37位/環境 16位/交通・アクセス10位
経営者評価 3位
グローバルエキスパート評価 17位
観光客評価 11位
居住者評価 23位
29位 大阪 1024・5
経済35位/研究・開発11位/文化・交流19位
居住37位/環境 36位/交通・アクセス35位
経営者評価 35位
グローバルエキスパート評価 28位
観光客評価 20位
居住者評価 9位
42位 福岡 870・3
経済39位/研究・開発34位/文化・交流45位
居住25位/環境 28位/交通・アクセス40位
経営者評価 41位
グルーバルエキスパート評価 38位
観光客評価 45位
居住者評価 29位
前年との変化(分野別)
経済:上位10都市は変わらなかったが、順位に変動。
北京(3位)が東京(4位)を抜いた
シンガポール(6位)が香港(9位)を抜いた
研究・開発:2018年と同じく、ニューヨーク、ロンドン、東京がトップ3
東京は研究者数、研究開発費、学力の高さ、特許登録件数で強み。
文化・交流:ロンドンが16指標中12指標でトップ5入り。
東京のナイトライフ充実度は13位。
居住:パリが2016年以来の1位に復帰。
総労働時間の短さ、小売店舗の多さ、飲食店の多さで全都市中トップ評価。ヨーロッパの都市が上位。特に総労働時間の短さの評価が高い
環境:北欧の都市が上位。リサイクルなどはアジアの都市で10位内に。
交通・アクセス:国際アクセスハブの4都市(パリ、ロンドン、NY、上海)が上位。
東京は8位に転落(前年5位)。国際線直行便就航都市数、空港アクセス時間の短さで香港、アムステルダムが順位を上げたため。
上位陣の変動
上位の顔ぶれはこの10年ほとんど変わっていない。
東京は2010〜15年まで4位、16年にパリを上回って3位に浮上。
ロンドンは2012年にニューヨークを抜いて1位に立ち、ことしで8連覇。
一方で、凋落が著しいのはウイーン。2012〜16年まで10位で、17年14位、18年17位、19年は21位になっている。
東京について
東京について細かく見ると、環境への取りくみで6位とトップ10入りした一方、ナイトライフ充実度は13位、世界トップ大学のスコアは22位、総労働時間の短さは26位(約2000時間/年)、通勤・通学時間の短さは約38分で27位。世界のトップグループは28分前後。
経済分野では市場規模や経済集積で高い評価だが、スタートアップ環境と国際線直行便就航便数で上位4都市に大きな差。
観光客分野では買い物の魅力と食事の魅力が高評価。
居住者分野では、公共交通機関利用率が高く、公共交通機関の利便性の高さが窺われる一方で、渋滞の少なさ、タクシー運賃の安さが弱みとなっていて、車での移動に課題。
感想・まとめ
他都市の差はわかるが、埋められるものと埋められないものがあるよなあ。
参考