都心部・臨海地域地下鉄構想を推進するための地元の集まり「都心・臨海地下鉄新線推進大会」が2019年11月15日、中央区役所で開かれたので参加してみた。去年に続き、今回は2回目。推進大会なので「実現に向けてがんばろー」は当たり前。その辺を除いた部分から感じたことは・・・(2019/11/15)。
(中央区)
推進大会の様子
参加者は、丸川珠代氏ら国会議員数人、都議会議員、中央区関係者ほか。会場は中央区の大会議室。およそ220の座席は開会時にはほぼ埋まったようだ。
(中の人撮影)
副区長「この1年の進捗について」
地下鉄構想に至る歴史の説明
平成26年に地下鉄導入の検討開始。
平成27年に東京都に報告書。最終的に羽田を目指すという形。
平成28年4月 交通政策審議会答申。
いい案だと認めてもらった。さらに銀座で止めるのではなく東京駅まで伸ばしてはどうかと。つくばエクスプレスとの一体化が答申に盛り込まれた。
事業者が出てくれば基本的に認可をするというのが答申の趣旨。
具体化に向けた検討をしてきた。
「大きな成果は「築地まちづくり方針」に具体化が盛り込まれたこと」
大きな成果は「築地まちづくり方針」(2019年3月)のなかで地下鉄など基幹的交通機関の具体化をはかる、ということが明確に盛り込まれたこと。
東京都は前回の平成12年の運輸政策審議会(15年に1回程度開催)で出て、いまだ事業化していない6路線が最重要。その整備のための基金の積みあげもしていた。
東京都は臨海地下鉄新線は必要性は認めるが、その重要性は6路線のレベルに入っていなかった。ところが今回、東京都に「(築地)まちづくり方針」の中で公に地下鉄新線に言及してもらった。上がったと感じている部分。
2019年10月21日、区長から知事に東京都の長期ビジョンの課題に乗せてもらうように打診した。日本橋地下化する結果としてKK線を使わなくなるので緑にしようとか、都心に向かって地下鉄を、ということを乗せてもらうよう、東京都に要請している。
国会議員「甘いものではない。中央区は出遅れている。もっと知恵を」
・鉄道ができるというのは簡単ではない。地下鉄新線ができるというのは10年、20年が普通。
多摩地域の中央線の例。
連続立体交差は約10年前完成(三鷹〜立川)。三鷹までは複々線。複々線化は昭和43年。延伸しようということで運動が始まったのは昭和44年。地元6市が促進協を作った。最終的に都市計画決定は平成5年。約20年かかった。
事業費は総額2000億。複々線にはならなかったが連続立体交差にして13の踏切を全部無くした。総事業費の半分の1000億円は国。残りの7割は東京都、残る300億を6つの自治体で割った。1つあたり50億負担。それでも一気に負担はできないので15年かかった。
・新線の中軸は東京都。都市計画決定の権限は東京都。東京都を巻き込まないといけない。ところが、東京都は6つの路線を抱え準備している。それを乗り越えるためには地元がやらないと。他の6路線はそういう動きが活発。中央区は出遅れている。
・地下鉄新線は中央区だけではできない。江東区も通る。江東区は8号線延伸で住吉に行く地下鉄に注力。中央区だけ盛り上がっても先に進むことはできない。区議団が知恵を絞れ。そういう現実がある。甘いものではない。
・他の地域にも新線の重要性を広げていただく決起大会にしないといけない。
その他
・駅5つで建設費2500億、利用客が1日10万人なら年間80億円の利益と聞いたような。金利なしでざっくり建設費31年分か。この辺が最低ラインになるのだろう。
感想・まとめ
推進大会でもっとも気になった部分は「中央区だけ盛り上がっていても先に進むことはできない」ということ。前回の推進大会はトリトンスクエアで実施したと記憶している。行き交う人の目にも止まったはずだが、こういう集いを区役所内に閉じこもってやること自体が厳しい現状を示している気がした。
(国土交通省)
現状、江東区が東京8号線に優先して、臨海地下鉄新線に力を入れるとは考えられない。早期実現には「追い越し」が必要だが、その辺をどうクリアしていくのか、という戦略は今回の推進大会で示されなかった。新銀座〜東京延伸やその先を考えると千代田区も巻き込まないといけない。
推進大会に江東区有明地区の自治会役員(対自治体の窓口)を招待するとか、パフォーマンスであってもやれることは何かありそうだと思うのだが。
そしてもう一点は、東京都に絶対的な主導権があるという点。中央区がやれることは非常に限られているという印象。動きを見守るしかないのかな。