晴海選手村住宅に採用される住宅用定置型燃料電池「エネファーム」や燃料電池バスの普及など、水素社会の実現に向けたロードマップが経済産業省から発表された。近い将来の目標が掲げられている(2019/03/13)。
(水素・燃料電池戦略協議会)=2019年3月12日
概要
水素関連技術は技術的に実用化可能になってから社会実装に少なくとも5年程度必要。10年後の社会を見据えて5年後の技術開発目標をロードマップとして具体的に示したもの。
(経済産業省)
・水素サプライチェーン
2030年頃に海外の未利用エネルギーに由来した水素の製造、輸送・貯蔵を行うサプライチェーンの本格導入を目指す。
2022年度頃を目途とした主要な要素技術の必要スペック目標設定
①水素製造-褐炭のガス化による水素製造のコストについて、ガス化炉の効率向上等により現状数百円/N㎥であるところ、12円/N㎥を目指す。
(以下省略)
2030年ごろの水素発電の商用化を目指して、技術の確立・水素コスト低減に向けた取り組みを行う。
水素コスト低減は2030年ごろに30円/N㎥程度、将来的には20円/N㎥程度に
・燃料電池自動車
台数 2020年 4万台/2025年 20万台/2030年 80万台
航続距離 2020年650キロ→2030年800キロ
車両価格 2025年 同車格のハイブリッド車と同等の価格競争力(現在は300万円程度の差→2025年ごろ70万円程度の差)
(経済産業省)
・水素ステーション
設置 2020年度までに160箇所/2025年度までに320箇所/2020年代後半までに水素ステーション事業自立化
整備運営費 導入初期の整備費4・6億円、運営費4000〜5000万円/2020年ごろまでに整備費2・3億、運営費2300万円/2024年ごろまでに整備費2億、運営費1500万円
水素販売差益 2020年代後半に1キロあたり500円程度
・燃料電池バス
2020年度までに100台 2030年度までに1200台
2023〜24年ごろに車両価格半減、電動バスと比較して競争力を持たせる
2030年ごろまでにビジネスとして自立可能な価格水準に
・家庭用燃料電池(エネファーム)
2020年ごろ市場自立化/2030年までに530万台導入
2020年ごろまでに標準機価格をPEFC型80万円、SOFC型100万円程度とし、投資回収期間7〜8年に。2030年ごろまでに回収期間を5年程度に。
感想・まとめ
2030年ごろにはある程度普及した、と言える水準を目指している。ただ、燃料電池バスは2019年2月でわずか18台。すべて都営バスだろう。10年後の2030年に、1200台が目標。技術としては前に進んでいるのは理解できるが、普及したと意識できるところまで行くのかね。
もうひとつ、HARUMI FLAGに採用される家庭用燃料電池は、価格的にまだまだ安定していない時期のものになるだろう。ライフタイムコストを考えると、相当な割高になるのではないかな。選手村は実験場でもある。
そんな感じ。