大和ハウス系のシンクタンク「マンションみらい価値研究所」が、管理する分譲マンション約4000組合におけるAED(自動体外式除細動器)設置に関するレポートをまとめた。設置賛成と反対のそれぞれの意見が興味深い。設置賛成は命は大事というもので、反対は金がない、コスパが悪い、といった意見が代表的なようだ(2022/10/19)。
レポート概要
大和ライフネクストが管理を受託しているマンションの約4000の管理組合から総会資料・議事録にAEDの言葉を含むものを抽出、85件をサンプル調査した。
賛成意見 「人命の尊さ」
①人命最優先
②マンションの資産価値向上
③地域貢献
反対意見 「発生頻度」と「費用負担」を考慮
①AEDを使用する事象の発生確率
②いざというときにAEDを使いこなせるのかという懸念
③一般会計の資金不足
④代替があるという考え
AEDを使用する事象の発生確率
2020年に一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者 25790人
一般市民による心肺蘇生実施 14974人(58%)
1ヶ月後生存者数 2273人(15%)
1ヶ月後社会復帰者数 1530人(10%)
一般市民による心肺蘇生なし 10818人(42%)
1ヶ月後生存者数 882人( 8%)
1ヶ月後社会復帰者数 412人( 4%)
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一般市民に心肺蘇生実施したケースで除細動実施 1092人(100%)
1ヶ月後生存者数 581人(53%)
1ヶ月後社会復帰者数 479人(44%)
感想・まとめ
AEDを使わないで放置された場合、1ヶ月後に社会復帰できるのは4%。
AEDを使った場合、44%が復帰できたということになる。
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金をかけてもAEDを置くか、費用対効果を重視しておかないかという選択肢以外にも、AED付帯自販機の設置(管理組合は飲料メーカーに設置場所を提供。飲料売上の販売手数料と引き換えにAED付帯型とする)ケースもあるようだ。
また、管理組合から自治会に支出をもとめたり費用を折半したりするケースも。
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AEDを近隣に設置するのは戸建てでは無理な話で、マンションのメリットという意見もあった。設置できるならした方がいいと思うが費用面ではいろいろ工夫の余地はありそう。
ある程度以上の規模のマンションであれば設置したほうがいいと思うなあ。
そんな印象をもった。
参考