東京都は2022年1月、「臨海副都心有明北地区まちづくりマスタープランの一部見直し」を公表した。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を経て、状況が変わったというのが改定の理由。東京2020大会記念公園化を含む大規模な変更が固まった(2022/01/28)。
- 開発の考え方は「住宅中心」から脱却
- 誘導人口は居住者1万人減、就業者1000人増
- 単独の「居住機能」は削除、「居住・業務・商業機能」となった
- 土地利用方針で「住宅系用地」が消滅。複合用地化
- 東雲運河沿いに6ヘクタールの「大規模公園緑地」拡張
- ゆりかもめ駅周辺にBRT、シェアサイクルポート導入
- スケジュール
- 感想・まとめ
- 参考
開発の考え方は「住宅中心」から脱却
改訂前は「住宅を中心とした複合市街地」というものだったが、改定後は「東京2020大会のレガシーをはじめとした多様な機能の集積による複合市街地」という表現に変化。公園緑地とスポーツ機能を中心に住宅、商業、業務ほか、多様な機能を導入する方向性が示されている。
誘導人口は居住者1万人減、就業者1000人増
居住人口 28000人(改訂前 38000人)
就業人口 15000人(改訂前 14000人)
単独の「居住機能」は削除、「居住・業務・商業機能」となった
全体項目としてあった「居住機能」は「居住・業務・商業機能」となった。
中項目で改訂前は広く配置するとしていた住宅の項目が削除された。
また、改訂前の「業務・商業機能」も削除された。
土地利用方針で「住宅系用地」が消滅。複合用地化
変更後
変更前
土地利用方針は「住宅を中心とした複合市街地」から「住宅を中心とした」が削除され、多様な機能の集積が明記された。また、居住機能に加えてスポーツ、文化、交流施設の配置が基本とされた。
改訂前、東雲運河に近い環状2号線に沿ったエリアが住宅・商業複合地域、それ以外は住宅系用地という区分けになっていた。改定後は、住宅系用地が消滅。運河沿いは公園緑地となり、そのほかの部分は「住宅・商業・業務複合用地」と「公共公益用地に変化」している。
東雲運河沿いに6ヘクタールの「大規模公園緑地」拡張
公園・緑地の整備の項目で従前計画では住宅系用地だった「にぎわいロード」北側が公園用地に組み込まれる。一体整備となる「有明親水海浜公園(仮称)」の面積は12・3ヘクタールから18・3ヘクタールに拡張される。
東京2020大会記念公園化。船着場の整備も明記
東京2020大会のレガシーとして形に残すこと、大会開催を記念する公演として整備することが示されている。また、舟運に使える船着場の整備も盛り込まれた。場所ははっきりしない。
ゆりかもめ駅周辺にBRT、シェアサイクルポート導入
改訂前はゆりかもめの駅について場所しか書かれていなかったが、改定後は「BRT導入、有明テニスの森付近に停留施設を整備すること、ゆりかもめや都営バスとの連絡を強化することが明記された。また、駅との円滑な交通のため、歩行者空間、自転車通行空間の整備、駐輪場やシェアサイクルポートの設置などが盛り込まれている。
スケジュール
2021年10月14日〜11月12日 意見募集期間
2022年1月 マスタープランの一部見直し発表
感想・まとめ
ざっとまとめると、項目の整理はあったものの改定案からの変更はなくそのまま固まった感じ。
①東雲運河沿いに約6ヘクタールの公園区域を設定。スポーツエリアを指向する東京2020大会開催記念公園化
②それに伴って住宅系用地はなくし、複合用地化。計画人口を1万人減らす
③船着場の整備、ゆりかもめ駅周辺に交通機能を集積。歩行者や自転車交通を円滑にする整備を実施する
という感じ。
居住人口を増やすのではなく、外から人を呼び込む仕掛けづくりをする方向性が決まった。住宅系用地はそれにしか使えないということを考えると、複合用地化が設定された有明地域のポテンシャルがかなり上がったということもできそう。東京BRTの本格運行がスタートすれば、都心部から有明を通ってお台場方面に人を呼び込むルートが確立される。アルバルク東京の新ホームアリーナもツールの一つになるだろう。
これは特に住民にとっては歓迎すべき変更だとおもう。
東京BRTの本格運行開始がやや不透明になっていることが気になる。
有明北地区のまちづくりに直結するだけに、予定通りの運行開始を期待したい。