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東京都中央区、江東区の臨海部を中心としたメモ。独自の情報を除いては、報道ベースではなく、発表主体の情報をベースに書くことを基本にしています。最近はゲリラ的な花火大会情報も提供。

#854 日射の遮蔽に関する話 暑い夏に向けて 日経の記事より

日本経済新聞の記事で日射遮蔽に関するちょっとだけ専門的な記事があった。東京大学の前真之准教授による記事で、直達日射と天空日射(散乱日射)という2種類の日射など、暑い暑い暑い暑い夏に向けて参考になると思うのでメモとしてまとめておく(2021/04/21)。

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全天日射計の仕組み=福岡地方気象台

効果的な日射遮蔽について(記事より)

夏は日射遮蔽

冬は日射取得を邪魔しない日射誘導

 →太陽位置の把握が重要

2つの日射、直達日射と天空日射(散乱日射)

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直達日射と天空散乱日射=気象庁

直達日射:太陽から直接照りつける日射

天空日射(散乱日射):大気で拡散して天空の全方位から降り注ぐ日射

8月平均は天空日射が直達日射に卓越する

・平均では天空日射>直達日射

 湿度が高く雲が多いので、日射が拡散されやすい

→軒や庇(ひさし)では防ぎにくい

・晴天日は直達日射>天空日射

南面 直達:天空=4:1(ピーク時=正午ごろ)

東面 直達:天空=5:1(ピーク時=午前9時ごろ)

西面 直達:天空=5:1(ピーク時=午後3時ごろ)

→東面と西面は太陽高度の低い時間に強烈な直達日射が集中。最優先の対策が必要

・軒や庇では太陽高度が高い時間の直達日射しか防ぐことができない

・軒や庇を出しすぎると冬の日射取得を大きく阻害する。

効果的な対策は?

・低高度からの直達日射・天空日射の遮蔽

 窓の外側のブラインド、外側のスクリーンなどで窓の外側を「面的に遮蔽」する

 簾(すだれ)やよしずでも十分

・次善の策として「反射」を使う

 ガラスは日射(短波:可視光線+赤外線)は透過し、日射熱が吸収されてから再放出される遠赤外線(長波)は吸収する。

ガラス内側カーテン、ブラインド

 暗色系だと日射熱をそのまま吸収するので熱がこもる

 明色系や反射系だと、日射を短波のまま反射するので、ガラスを透過して追い出すことが可能

特に南面

 冬の日射取得を阻害しない程度の軒、庇で6〜8月の直達日射をしのぐ

 太陽の南中高度が下がる9〜10月に面的遮蔽を併用

参考:方角別の全天日射量(直達+天空)

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方角別の全天日射量=北方向を基準に各方向を図示。記事を参考に中の人が作成

参考:2種類のLow-eガラスと複層ガラス

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複層ガラスの種類と特徴=環境省(出典 三協立山(株))

日射遮蔽型(東、西、北側に適している)=冬の日射取得が少なく夏の日射が多い

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日射遮蔽型Low-E

窓外側のガラスが吸熱、高温に

Low-eコーティングで室内への放射抑制

日射取得型(南側に適している)=冬の日射取得が重要

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日射取得型Low-Eの場合

窓内側のガラスが吸熱、高温に

Low-eコーティングで窓外側への放射抑制

参考:ηAC(イータエーシー、冷房期の平均日射熱取得率)について

冷房の時期に外壁に当たった日射熱がどれだけ室内に侵入するかをおおまかに表した数値。数字が小さいほど遮蔽がしっかりしているということになる。

ηAC(冷房期の平均日射熱取得率)=(分子/分母)×100

分子=単位日射強度当たりの総日射熱取得量

分母=外皮面積

 住宅の高断熱化により室内の熱が逃げにくくなる

→室内に侵入した日射熱による室温の上昇が大きくなる

→高断熱の住宅ほどηAC値を小さくする必要がある。

 ただ、ηACの基準値は地域別に一律でに高断熱に見合った基準値はないそうだ。単純に数値比較では使いにくい。 

感想・まとめ

漠然と二重ガラスよりLow-eと考えていてはちょっと考えが足りないみたい。

後付けでできる対策として

・窓の外側の面的な遮蔽として簾やよしずの使用

・室内側のカーテン・ブラインドに反射系を用いる

というのは頭の片隅に置いておいていいのではないかな。

・・・

関連としては少し古いが、こんな記事を以前書いた。

dorattara.blog.fc2.com

参考

www.nikkei.com

www.env.go.jp

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