都心部・臨海地域地下鉄構想を実現するために残された時間はあまり多くはないのではないか、という見方を人口減少の観点から。2040年代の開業では遅すぎるかも(2019/11/21)。
(中の人撮影)=再掲
予想される沿線人口の推移
都心部・臨海地域地下鉄構想は単独の暫定開業はほぼないだろうと見ている。というのは、単独では費用便益比(B/C)が1を大きく下回るから。国は0・7という数字を示している。
・新銀座〜新国際展示場 約4・8キロ ・輸送需要 4・6〜4・7万人 ・総事業費 2600億円 ・費用便益比(B/C) 0・7 →5割増ししないとB/Cが1を超えないと考えると相当厳しい数字。
#102 臨海地域地下鉄構想が東京都の優先整備路線に格上げへ 10〜20年での整備目指す 新聞報道 - dorattara! Season4
そうなると、つくばエクスプレスとの一体整備(B/C=1・5〜1・6)が必須となるわけだが、一体構想の沿線自治体人口がどうなるか、全人口と生産年齢人口で集計してみた。生産年齢人口はより新線を使うと見られる層として取り上げた。
構想沿線:
①全人口の推移
(中の人作成)
・2035年までは増加が続く。ピークは約311万人
・2030年→2035年に減少に入るのは守谷市
・2035年→2040年に減少に入るのはつくば市、つくばみらい市
・2040年→2045年に減少に入るのは荒川区
・2045年まで増加が続くのは中央区、江東区、千代田区、台東区
②生産年齢人口(15歳〜64歳)の推移
(中の人作成)
・ピークは2030年の約200万人
・2020年の時点で減少に入っているのは足立区、八潮市
・2025年→2030年に減少に入るのは柏市、守谷市、つくば市
・2030年→2035年に減少に入るのは江東区、三郷市、荒川区
・2035年→2040年に減少に入るのは中央区、千代田区、台東区、流山市、つくばみらい市
・2040年以降は全沿線自治体で生産年齢人口は減少(5年間でマイナス4%程度)。
感想・まとめ
2040年には沿線人口が減少に転じている上、生産年齢人口が5年に4%程度の速さで減少する。生産年齢人口に限れば江東区は2030年代前半、中央区も2030年代後半には減少に転じる見通し。これだけの急速な沿線人口減少の中で事業化の判断を下せるのかどうか。
現状で東京8号線より早い事業化が難しそうな都心部・臨海地域地下鉄構想。外れることの多い国立社会保障・人口問題研究所の推計とはいえ、事業化が遅れれば遅れるほど、実現は厳しくなると思う。
参考
(国立社会保障・人口問題研究所)=2018年推計資料より抽出。