国立社会保障・人口問題研究所は2023年12月22日、日本の地域別将来推計人口を公表した。今後、高齢者の減少が本格化していくことから人口減少のペースが拡大していくことが予想される。総人口の減少と高齢者人口割合の急速な増加、進む少子化。特に目を引いたのは東京都心での2035年以降の75歳以上人口割合の爆発的な上昇か(2024/01/09)。
東京23区の人口推計
2020年と比較した人口増減
・中央区は2050年に24%の増加(全国1位)
・港区は2050年に20%の増加(全国3位)
・千代田区は2050年に19・7%の増加(全国4位)
・江東区は2050年に13%の増加(全国10位)
75歳以上人口割合の急増
参考 都道府県別将来推計人口のポイント(47都道府県)
1️⃣11県で2020年と比較して2050年の総人口が30%以上減少
2050年の総人口が2020年を上回るのは東京都のみ
2️⃣25道県で2060年に65歳以上人口割合が40%を超える
40%超は秋田など(49・9%)25道県
26道県で2050年の65歳以上人口が2020年を下回る
・46都道府県で2020年以降の総人口は一貫して減少
・2040年以降は全都道府県で一貫して減少
・今後も東京都と周辺県の総人口が全国の総人口に占める割合は増加する
・0−14歳人口、人口割合は全都道府県で減少傾向に
・15−64歳人口と人口割合は東京都以外で一貫して減少。東京都は5年刻みでは2030年がピーク
・65歳以上人口は大幅増加する大都市圏や沖縄県と、減少が続くそれ以外の地域に分かれる
・75歳以上人口は2030年まで全都道府県で増加。その後は減少傾向に。ただし大都市圏や沖縄県は再度著しく増加する(沖縄は2020年比1・8倍に)
参考 市区町村別将来推計人口のポイント(1728市区町村)
1️⃣2050年の総人口が2020年の半数未満となる市区町村は20%に達する
1651市区町村で2050年の総人口が2020年を下回る(95・5%)
3割未満の減少は605市区町村(35%)
3〜5割減少は 705市区町村(40・8%)
5割超減少は 341市区町村(19・7%)
2️⃣2050年に65歳以上人口が総人口の半数以上を占める市区町村が30%を超える
65歳以上人口割合が増加する市区町村は1696(98・1%)
65歳以上人口が50%以上となる自治体は557(32・2%)
3️⃣2050年の65歳以上人口が2020年を下回る市区町村は70%に達する
65歳以上人口さ最大になる年次が2025年以前の市区町村は1071(62%)
2050年の65歳以上人口が2020年より減少するのは1182市区町村(68・4%)
4️⃣2050年の0−14歳人口は99%の市区町村で2020年を下回る
2020年と比べ2050年の0−14歳人口の割合が低下する市区町村は1659(96%)
2020年と比べて2050年の0−14歳人口が減少する市区町村は1711(99%)
(総人口・市区町村)
・2050年には27・9%の市区町村で総人口が5000人未満になる(2020年は16・4%)。北海道では3分の2以上の市区町村で5000人未満になる
・2045年から2050年にかけて99%の市区町村で総人口が減少する
(0−14歳人口・市区町村)
・2050年に0−14歳人口割合10%未満の市区町村は3分の2を超える
(15−64歳人口・市区町村)
・2050年に15−64歳人口割合50%未満の市区町村は7割を超える
(65歳以上人口・市区町村)
・2050年に65歳以上人口割合50%以上の市区町村は3割を超える
(75歳以上人口・市区町村)
・2050年に75歳以上人口割合30%未満の市区町村は4割を超える
感想・まとめ
高齢者人口の増加フェーズは全国的には終わりつつある。2030年には増加した高齢者が天に召されるフェーズに移行するため、毎年の人口減少は今の比ではなくなる。
また、冒頭のグラフに示した通り、東京23区の都心3区でも、2035年以降の75歳以上の急増については長期的な対策が必要なものになるだろう。厄介なのは2035年までは比較的穏やかな上昇にとどまる点。急激な変化を見据えた中長期計画の策定が必要だろう。