どらったら!!

東京都中央区、江東区の臨海部を中心としたメモ。独自の情報を除いては、報道ベースではなく、発表主体の情報をベースに書くことを基本にしています。最近はゲリラ的な花火大会情報も提供。

#1723 定期航路化には船・船着場の整備必要 東京都、7年間の舟運活性化を総括 終了宣言か?

東京都が2016年から2022年までの7年間実施した舟運活性化の取り組みを総括した。活動継続に向けた資金捻出が大きな課題として指摘された。大掛かりな舟運活性化事業は先の新航路事業者決定を持って終了した印象が強い(2023/08/15)。

東京都 2023年3月

舟運事業活性化について

東京2020大会をめどに2016年度から2020年度までの5ヵ年で舟運事業活性化に向けた取り組みを行った。新型コロナ流行に伴い、2ヵ年延長された。

・新規航路の開拓、認知度の向上、利便性の向上、魅力の向上の4点。

航路の現状

・2021年7月現在 49便/日

・定期航路利用者数 140万人/年(2018年)

東京都

新規航路の開拓

2016年度

羽田〜浅草縦断ルート

日本橋有明横断ルート

天王洲〜勝どき〜日の出周遊ルート

・9月〜12月に実施

・3ルートで1139人が利用

・運航を知った経緯 「船着場にきて初めて知った」:3割=PRが必要

2017年度

(定期航路)

東京港循環航路

隅田川縦断航路

京浜運河縦断航路

日本橋周遊航路

お台場周遊航

不定期航路)

京浜キャナル周遊

日本橋有明航路

日本橋〜お台場航路

日本橋清澄白河航路

(定期航路)

・5航路で2116人が利用

・勝どき起点の東京港循環航路 15時台より18時台の乗船者数/便が多い

・お台場起終点の航路 18時台より20時台の乗船者数/便が多い

不定期航路)

・4航路、11日間で352人が乗船

日本橋起終点の乗船が多い

2018年度

(臨時便)

サンセットクルーズ

トゥインクルレースクルーズ

ハシダンシクルーズ

(民間事業者の航路開拓支援)

・舟運事業者1団体 期間限定で周遊運行開始

2019年度

真夏のらくらく舟運通勤 朝潮運河日本橋

・通勤手段としての可能性を検証。

・平日8日間、往復7便 乗車総数 2834人

・会社員/公務員が7割

・運賃許容額 300円6割、500円3割

2020年度

新型コロナウイルス感染防止のため不実施

2021年度

新型コロナウイルス感染防止のため不実施

2022年度

朝 両国〜日の出〜天王洲

朝 日本橋朝潮運河〜日の出

朝 豊洲ぐるり公園〜日の出〜お台場海浜公園

夕 天王洲〜日の出〜朝潮運河〜一之江

夕 日本橋朝潮運河〜日の出〜お台場海浜公園

朝夕 五反田〜天王洲

・交通便としての可能性探る

 10月17日から平日14日間実施

・朝 1611人が利用 乗船率15%

・夕 1237人が利用 乗船率64%

・計 2848人が利用 乗船率23%

・会社員/公務員が8割

・運賃許容額 400円以下6割、500円以下9割

課題

新規航路の開拓

(船舶の整備等)

・屋形船、遊漁船、観光船で実施。バリアフリー非対応の船が多い。屋根がない船もあり、雨天時に欠航が生じた

・多点寄港実現には会場雲蘇峰における定期航路事業としての条件をクリアする必要がある。船、船着場のバリアフリー対応、船舶仕様も定期航路事業が許可される基準をクリアする必要がある

→定期航路とする際に求められる船の設備、船着場の施設整備が必要

(航路)

・利用ニーズのあるルート、単純な移動手段としては成立しにくいルートがあった

→乗船自体に付加価値をつける必要がある

(事業性確保)

・事業採算性が最も重要。航路認知、利用者増加・定着には一定の期間が必要

・船着場周辺のまちづくりなどとの連携が欠かせない

・舟運事業者は中小企業が多い。新規事業への投資体力に限度がある

→航路開設初期段階では行政、まちづくり主体、接続する交通事業者、船着場周辺企業、利用者などの関与により運航を支える仕組みを考える必要がある

→平日朝・夕は通勤時間帯に集中して頻度を高めた運航

→日中は時間帯や曜日特性をとらえた運航

認知度の向上

・運航情報は多くの舟運事業者が個別に発信。統合して発信するための検討必要

・東京舟旅を開設したが、今後も継続させるためには活動経費が必要

→舟運活性化事業終了後も活動を続けることが可能になる活動費の捻出方法、体制づくりの検討が必要

魅力の向上

・都市と連携した船着場性にの必要性が明らかになった

・地域イベントとの連携を積極的に進め、水辺と舟運の魅力向上を推進する必要あり

・各区、観光推進団体と舟運事業者団体が日頃から相互に協力できる関係づくりが必要

・乗船者に対する船内サービスの充実が重要

利便性の向上

・船着場への案内サイン整備

・船着場の開放

2023年度からの取り組み

・通勤など日常の交通手段としての航路実装に向けた支援制度(事業者決定↓)

dorattara.hatenablog.com

・航路充実に向けて需要拡大、コスト削減、多様な主体の関与により運航を支えていくスキームなど航路定着、持続可能な運行への方策を調査・検討する

感想・まとめ

この「総括」、東京都による舟運活性化事業の終了宣言か。舟運活性化って、そもそも東京2020大会に向けて行われていたんだね。

継続していって、アップデートを繰り返していくのかと思っていたが、総括を見る限り、そういう印象はない。

今後の展開について、行政の支援だけでは新規航路の開設は難しいので、船着場周辺の企業や住民も負担してね、と総括した感じ。

・・・

あと、船着場整備の無秩序感も気になる。日の出、築地、浜離宮、聖路加など、あんなに近い場所に並べて作ってもね。

バリアフリー化しないと定期航路開設時には使えないようなので、集約・絞り込みはいるんじゃないのかね。

参考 人道橋で潰れた朝潮運河航路 舟運5ヵ年の全てで航路指定

 


舟運活性化事業で運航が行われた5ヵ年の全てで朝潮運河発着場が使われていた。

なんで潰したのか、潰すのを認めたのか中央区から説明はないし意味がわからん。

東京で舟運活性化を進める上でかなり重要な船着場じゃないのかね。

・・・

大した影響はないかも、と書いたエントリを立てたばかりだけど

やっぱり影響はあるんじゃないのかね。

dorattara.hatenablog.com

参考リンク等

舟運活性化に向けた取り組み総括(概要版) 2023年3月 東京都