晴海選手村をめぐる2つの裁判に動きが相次いだ。
一つは選手村用地の売却めぐる裁判で、東京都が開発業者に払い下げた価格が適正だったか争われたもので原告側敗訴。もう一つは、オリンピック・パラリンピックの延期で引き渡しが遅れたことに納得がいく説明がなかったとして晴海フラッグ購入者が契約通りの2023年3月までの引き渡しを求めた訴えを起こしたというもの(2021/12/24)。
- 選手村土地売却価格めぐる裁判は住民グループ側敗訴
- 参考 晴海選手村に関する住民監査請求資料(2017年7月18日)
- 東京2020大会延期で選手村マンション引き渡し遅れ 購入者ら提訴
- 感想・まとめ
- 参考
選手村土地売却価格めぐる裁判は住民グループ側敗訴
選手村を建設するため東京都が開発業者に売却した土地の価格が妥当だったか争われた裁判。東京地裁は「価格は適正」と判断し、住民グループの訴えを退けた。
背景
東京都が中央区晴海の都有地約13ヘクタールを東京2020大会選手村建設用地として129億6000万円で売却することを決め、2016年に大手開発業者11社からなる企業グループとの間で譲渡契約を締結
訴えの内容
・原告 住民グループ32人
・被告 開発業者11社
・管轄 東京地裁
・原告の主張
129億6000万円は周辺の地価と比べ著しく安い
東京都に対し、手続きを進めた舛添前知事に適正価格との差額を請求するよう求める
・東京地裁判決 住民側請求を棄却
選手村使用を前提とした土地。収益や処分には制限がある
こうした土地の価格調査として手法や内容に問題はない
価格は適正
・勝訴した東京都側弁護士の説明
東京都が根拠とした価格調査の結果が適正と全面的に認めた判決
原告側は官製談合だという憶測を述べるだけ。合理的証拠を出せなかった
・敗訴した住民グループ側原告団長の説明
東京都が議会にも諮らずに公示価格の10分の1以下の価格で売却したことの違法性を裁判所は認めず極めて不当。控訴する意向
参考 晴海選手村に関する住民監査請求資料(2017年7月18日)
結果的にこの裁判の前触れとなるエントリとなった。
東京2020大会延期で選手村マンション引き渡し遅れ 購入者ら提訴
背景
・東京2020大会で選手村として使われた建物を改修し、マンションとして販売
・2019年時点で940戸販売され、2023年3月までに購入者に引き渡される予定だった
・大会延期で東京都が売主(企業)側に建物貸出期間の延長を申し入れ、購入者への引き渡しが1年程度遅れる見通し
・購入者には2020年6月、契約解除を希望する場合は手付金の返済に応じると通知
・東京都は2020年11月、延期に伴う選手村賃料41億8000万円を売主に支払う契約締結→購入者女性「私たちに保証がない」と憤る
訴えの内容
・原告 購入者の27人
・被告 売主の企業10社
・提訴先 東京地裁の予定
・原告の主張
大会が延期になった場合まで東京都に建物を提供する義務はなかった
引き渡しを遅らせない努力も尽くしていない
契約通り2023年3月までに引き渡すか、遅れによって生じる損害(入居までの賃貸費用負担分など計約8000万円)を賠償しろ
・原告側弁護人の説明
引き渡し遅れへの補償の提案は一切なかった
今住んでいる人の売却が決まった人や、家賃が余計にかかる人がいて、話し合いで解決しようとしたが納得いく説明は得られなかった
・被告側 三井不動産の反応
事実を確認していないので回答を控える
感想・まとめ
超ビッグプロジェクトの舞台になった場所をめぐる2つの裁判。土地の安値売却の方は、おおむね住民監査請求通りの結果になった印象。引き渡し遅延の訴えはもっと苦しいと思うなあ。住民側が勝ったらびっくりするケースだと思う。
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年内のエントリは終了します。
みなさま、よいおとしを。