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#792 数学の超難問「abc予想」が一体何をいっているのか、分かりやすく説明した動画をみて自分で分かるように書いてみる

数学の超難問「abc予想」の証明が論文として認められたことがニュースになっていた。

www.yomiuri.co.jp

朝日新聞は「ABC予想は、1、2、3…と無限に続く整数の足し算とかけ算という数学の根本についての問い」、読売新聞は「ABC予想は、正の整数について足し算とかけ算の関係を示す難題」と説明。いったい何のことやら、さっぱりわからない。

 

 そこで「abc予想」って何を主張しているのか、分かりやすく説明した動画を見てみた。

使用した動画 

何本か見たけど、これが一番分かりやすかったかも。


abc予想の主張を理解する

ということで。

abc予想とは

a+b=cを満たす互いに素な自然数の組(a,b,c)に対し、

d=rad(abc)とする。

このとき任意のk>0に対して

c>d^(1+k)

を満たす(a,b,c)の組は有限個しか存在しない

・radは「ラディカル」と読む。

歴史

1985年 abc予想が出てきた

2012年 論文発表(望月新一先生)=末尾に先生のブログへのリンクあり。

 世の中の数学者が理解できず。新しく作った数学「宇宙際タイヒミュラー理論」が使われていたため。

2020年 査読終了=今回ニュースになった。

 本当に正しいかどうか懐疑的な人はいるが、論文としてはみとめられた。

互いに素、rad(ラディカル)、有限個の説明

abc予想

a+b=cを満たす互いに素な自然数の組(a,b,c)に対し、

d=rad(abc)とする。

このとき任意のk>0に対して

c>d^(1+k)

を満たす(a,b,c)の組は有限個しか存在しない

互いに素

 最大公約数(gcd)が1であること

 gcd(28,42)=1、2、7、14 互いに素ではない

 gcd(12、18)=1、2、3、6 互いに素ではない

 gcd(9、14)=1 互いに素

 gcd(5、7)=1 互いに素

 性質:a+b=c、aとbが互いに素なら、cもaもbも互いに素

gcd(9、14、9+14)=1 (9、14、23)は互いに素

gcd(5、7、5+7)=1 (5、7、12)は互いに素

 rad(ラディカル)=素因数分解して全ての指数を1に変える。

例 rad(360)

 360を素因数分解すると2^3+3^2+5^2

 rad(360)=rad(2^3+3^2+5^2)

=rad(2×3×5)=2×3×5=30

任意のk>0 kは正の実数

1+kは1よりほんの少しだけ大きいという意味。

有限個は「レア」、あまりない、という意味

abc予想では

dの「1よりほんの少し大きい乗」とするだけで、

c>d^(1+k)を満たすものは有限個しかなくなると言っている。

実際に不等式を満たすa,b,cを見てみる

abc予想

a+b=cを満たす互いに素な自然数の組(a,b,c)に対し、

d=rad(abc)とする。

このとき任意のk>0に対して

c>d^(1+k)

を満たす(a,b,c)の組は有限個しか存在しない

a,b,cを考え、cとd^(1+k)の大小を比較する。

k=0の場合

a,b,cの組が

・(1、2、3)のとき

 c=3、d=rad(1×2×3)=2×3=6

 この場合 c<d=d^(1+k)

・(5、7、12)のとき

 c=12、d=rad(5×7×12)

      =rad(5×7×2^2×3)

      =rad(5×7×2×3)=210

この場合 c<d=d^(1+k)

・(1、8、9)のとき

 c=9、d=rad(1×8×9)

      =rad(1×2^3×3^2)

      =rad(1×2×3)=6

この場合 c>d=d^(1+k)

ただし、c>d=d^(1+k)となる組み合わせは無限個存在する

・(a,b,c)=(1、(3^2^n)−1、3^2^n)のとき

n=1

(1、8、9) c=9 d=d^(1+k)=6

c>d=d^(1+k)

n=2

(1、80、81) c=80 d=d^(1+k)=30

c>d=d^(1+k)

n=3

(1、6560、6561)

 c=6560 d=d^(1+k)=1230

c>d=d^(1+k)

n=4の場合 

 c=43046721 d=4035630

c>d=d^(1+k)

以下、無限にc>d=d^(1+k)が成立する。

k>0の場合

・(a,b,c)=(1、(3^2^n)−1、3^2^n)のとき

ここではkを小さい数とする意味でk=0・1とする。

n=1のとき(1、8、9)

 c=9 d=6 d^(1+k)=7.177

 →c>d^(1+k)

n=2のとき(1、80、81)

 c=80 d=30 d^(1+k)=42・153

 →c>d^(1+k)

n=3のとき(1、6560、6561)

 c=6560 d=1230 d^(1+k)=2505・507

 →c>d^(1+k)

n=4のとき(1、43046720、43046721)

 c=43046721 d=4035630

d^(1+k)=18471513

 →c>d^(1+k)

※解説動画ではn=4で不等号反転としていたが、計算したらどうも反転していないみたいなのでn=5を調べてみた。

n=5のとき(1、3^32-1=1853020188851840、3^32=1853020188851841)

 c=1.85...*10^15 d=6.09...*10^16 d^ (1+k)=2.31...*10^17

  →c<d^(1+k):不等号の向きが反転

以下、nが5以上でc>d^(1+k)が成立する。

c>d^(1+k)が成立するのは有限個しかない。

参考:Calculate Radicals by Javascript

(根基=ラディカルを求める、山口大、フクヨ・カズヒロ先生による)

※たった1例示しただけなので、証明ではない。

abc予想はこれがどんなa,b,cでも成立する、

というのがすごいことなのだという。

感想・まとめ

 んー、主張はなんとなくわかった気がするけど、何が凄いのかはやはりさっぱりわからなかった。

 この方の動画で「1+1=2」の証明も面白かったなあ。

参考

望月新一先生のブログ。

plaza.rakuten.co.jp