標高3776m。日本一の高さを誇る富士山も「噴火警戒レベル」が設定された火山となっている。2021年6月に富士山の噴火警戒レベルについて判定基準が変更されたそうなのでメモしておく。富士山で噴火があれば小規模なものでも即「特別警報」相当となる(2021/06/07)。
噴火警戒レベル4と5は特別警報相当
想定される噴火の場所
約5600年前から現在までの火山活動の実績に基づいて「想定火口範囲」が設定されている。下図の一番色の濃い赤の範囲で結構広い。
想定する噴火の様式と現象
噴火様式 火砕流の放出、溶岩流出
噴火現象 溶岩流、火砕流、火砕サージ、融雪型溶岩泥流、噴石、降灰
過去5600年で発生した噴火は中規模か小規模がほとんど。最大規模だった貞観噴火、宝永噴火を想定することが原則
噴火警戒レベルの区分けについて
・火山活動が高まっていく段階、レベル1→レベル3に引き上げる(レベル2はスルー)
・最初の噴火では居住地に影響がなくてもレベル4以上にする
大きな運用の変更点となる
噴火警戒レベルの判定基準
レベル1 概ね火山活動は静穏な状態
地震は1か月あたり数回から数十回程度で推移
火山活動を示唆する地殻変動が認められず、噴気活動も認められない
今後の活動の推移によっては噴火警戒レベルを引き上げる可能性がある場合、判断に迷う場合は「火山の状況に関する解説情報(臨時)」を発表する
レベル2
噴火の発生が予想される火山活動活発化の過程では発表しない
火山活動が低下する過程では発表することがある
レベル3 引き上げ基準 火山活動が高まっており警戒が必要
次の現象が複数観測された場合
①浅部の火山性地震増加(100回程度以上/24時間、10回程度以上/1時間)
③浅部での地殻変動観測
④明瞭な表面現象(噴気、地熱域の出現、地割れ・隆起/陥没などの変動)
上記①〜④のいずれか一つが基準を大きく上回った場合
レベル3 引き下げ基準
①〜④について活発化の傾向がみられなくなった場合
レベル1に引き下げ 火山活動の低下が認められた場合
レベル2に引き下げ 地熱活動が継続している特定の噴気口とその周辺に限定して引き続き警戒が必要な状況と判断される場合、噴火可能性がある領域と警戒範囲を明示してレベル2に引き下げる
レベル4(特別警報) 引き上げ基準 居住地域に重大な被害を及ぼす噴火の可能性
①レベル3の①〜④の基準を満たす中、さらに「浅部の火山性地震の急増や規模拡大」「浅部での膨張を示す顕著な地殻変動を観測」
②居住地域から離れた場所で小規模な噴火が発生
レベル4(特別警報) 引き下げ基準
噴火が発生した場合
居住地域に影響する噴火発生の可能性がなくなったと判断した場合
噴火には至らなかった場合
①②の現象が見られなくなり、火山活動の低下が認められ居住地域に影響する噴火発生の可能性がなくなったと判断した場合
レベル5(特別警報) 引き上げ基準
居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が切迫
①か③のいずれかの現象が確認された場合はレベル5に引き上げ
①火山活動が高まっている中で「体に感じる地震を含む顕著な地震が頻発」かつ「地殻変動量が加速」
②居住地域から離れた場所で小規模噴火が発生、さらに噴火活動が高まるなど居住路地域に重大な被害を及ぼす噴火が切迫
居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生
③噴火が発生(居住地域から離れた場所で小規模噴火と判断できる場合を除く)
レベル5(特別警報) 引き下げ基準
噴火が発生した場合
居住地域に影響する噴火発生の可能性がなくなったと判断した段階でレベル3に引き下げ
噴火には至らなかった場合
レベル5の①〜③の現象が見られれなくなり、火山活動の低下が認められ、居住地域に影響する噴火発生の可能性がなくなったと判断した段階でレベル3に引き下げる
感想・まとめ
生きている間に富士山が噴火することはないと思うので、メモ程度。
富士山に関連して見たかったのは「降灰」の可能性マップ。
こちらは2004年以降、更新されていない。
いずれ「調べてみた」で書いてみよう。
参考:降灰による影響について
降灰により想定される影響を列記するとこんな感じ。
・碍子の絶縁低下による停電発生
・送電線/配電線の切断による影響
・発電所のタービン摩耗などによる影響
・火力発電所のフィルター交換の問題。降灰厚6センチ超でほぼ稼働できないかもしれない
・太陽光の発電量低下による影響
・降灰のアンテナ付着により通信阻害の可能性
富士山ではどんな質の火山灰が降るか細かく想定されておらず、発電機の吸気フィルターが役に立たなくなるかもしれないという話を聞いたことがあった。
今度調べてみるかな。