「東京における地域公共交通の基本方針」(東京都、2022年)の改定に向けた中間まとめが,2026年1月30日に発表された。2050年代を目標年次に地域公共交通の目指すべき姿と取組を基本方針としてまとめたもので、対象は路線バス、コミュニティバスなど。バス運転士の不足を前提とした対応がメインテーマ。今後10年間の取り組み案が示されている。パブリックコメントが実施されている(2026/01/31)。

- 基本方針改定の概要
- バス交通を取り巻く環境の変化
- 地域公共交通の将来像:自動運転化の広がりとバス運行の「効率化」
- 今後10年間の主な取り組み(地域公共交通ネットワーク再編)
- スケジュール
- 感想・まとめ
- 参考リンク等
基本方針改定の概要
・高齢者人口が着実に増加する。2030年には東京都の人口ピークに
・地域公共交通の中心となるバス事業で運転士不足による減便と廃止が進行
・タクシーの運転手不足にはライドシェア、レベル4自動運転実証などによる対応進む
→地域公共交通を取り巻く環境が変化。持続可能な地域公共交通の構築に向けて目指すべき姿と実現に向けた取り組みを示すため、基本方針(2022年3月)を改定する。
目標年次 2050年代
改定の方向性
バス運転士不足にも対応したネットワーク再編に向けた基本的考え方を示す
対象となる主な交通手段

路線バス(BRT含む)
コミュニティバス(ワゴン車両含む)
デマンド交通
グリーンスローモビリティ
タクシー
シェアモビリティ(小型モビリティ、歩行補完モビリティ)
バス交通を取り巻く環境の変化
路線バス等の減便と廃止が進む
バス運転士人数
2019年度 18182人
2024年度 16619人
バス運転士平均年齢
2020年 52・1歳
2023年 53・9歳
バス実車走行キロ
2019年度 39万1620キロ
2024年度 32万3129キロ
地域公共交通の将来像:自動運転化の広がりとバス運行の「効率化」
・地域の特性に応じて、効率的で利便性が確保された公共交通ネットワークを構築
・利用者のニーズ、行動多様化等に対応
・中型バスや小型車両など小回りがきく車両を中心に自動運転化が進み住民の移動を支えている
・市街地の交通量が多い地域のバス路線は、引き続きバス運転士による運行が確保されている
・バス等の運行や管理の共同化、協業化が進み、効率的なサービスが提供されている
今後10年間の主な取り組み(地域公共交通ネットワーク再編)

1 バス運転士不足に対応した効率的で利便性を確保したネットワーク構築
・主要なバス路線を中心にサービス水準維持
・区市町村によるコミュニティバス等のネットワーク再編を促進
▽再編のイメージ

①主要バス路線とサービス水準を設定
主要バス路線の基本的考え方と地域ごとのサービス水準の目安を参考に、区市町村が地域特性を考慮して設定。
区部 約50本/日 多摩地域 約20〜50本/日
②再編
交通事業者は主要なバス路線を中心にサービス水準維持
市区町村は運転士不足等に対応したコミュニティバス等のネットワーク再編を検討
→路線の統合、ルート見直し、運行形態の変更、車両小型化などに取り組む
※「→」の部分が、市区町村〜のみにかかるようにも、交通事業者と市区町村の双方にかかるようにも読める微妙な書き方
サービス水準の目安

2 身近な生活圏での移動利便性向上
多様な交通モード活用/移動の制約が多い地域ではグリーンスローモビリティなどを活用
3 広域調整に係る取り組み促進

・行政界をまたいだ課題解決への取り組み促進
4〜7 タイトルのみ
4 自治体間、交通事業者との情報共有・連携
5 地域の交通資源の活用
6 運転士の人材確保と育成
7 運転士の働き方、環境と処遇の改善
8 自動運転車等の新技術活用促進

メリットは多いが課題も列挙されている。
課題:
通信不安定/沿道視認環境の可変等/乗降場所への阻害多発/右折時対向車の頻発交差点/高速の実勢速度区間(自動運転バスは遵法速度)/乗降支援必要者の一定発生 等
9〜11 タイトルのみ
9 データ整備
10 主要駅等の交通結節機能向上
11 社会情勢変化に応じた取り組み促進
スケジュール
2026年1月30日〜3月2日 パブリックコメント
2027年3月末まで 検討会開催、基本方針改定
感想・まとめ
内容に一通り目を通したが、路線バスの再編(縮小、廃止)が避けられないものになっていることを前提に、これをどう穴埋めしていくか、というかなり危機感の高い内容。
取り組みの6,7番目に運転士の確保、待遇改善に関する項目があったが、この位置にあるということは、運転士の確保という手段では課題は解決しにくいということを示唆しているように思った。
また、自動運転が取り組みの8番目というのは、技術的にも社会的な受け入れにもまだまだ不透明な部分が残っているということだろうか。
かなり、ヤバい部類に入る中間まとめと見た。パブリックコメント出すかもしれない。
参考リンク等
東京における地域公共交通の基本方針-改定に向けた中間まとめ-(東京都)
参考として現在の「基本方針」に関するどらったら!!の記事(2022年)。危機感は高くないことがわかると思う。
4年で景色は変わったね。
都営バスの乗務員不足による路線減便と廃止については2024年3月に記事にしていた。