東京都が2025年12月23日、臨海地域の公共交通のあり方をまとめた「東京都臨海部地域公共交通計画」の改訂案を公表した。全68ページで東京BRTを明確に地域交通の核に位置づける内容となっているのが大きな特徴か。パブリックコメントが実施されている(2025/12/24)。

※本エントリは2部構成となる。
・改訂案の概要=本記事
・東京BRTはどう位置付けられたか
- 臨海部地域公共交通計画改訂案の概要
- 臨海部における地域公共交通のあるべき姿
- 基本方針の見直し
- その他の2つの基本方針
- パブリックコメントの実施について
- 参考 #2183 公共交通アクセス性低いのは豊洲四丁目のみに 地域公共交通計画の調査、分析、評価
- 感想・まとめ
- 参考リンク等
臨海部地域公共交通計画改訂案の概要
・全68ページ+用語集の構成
・中央区、港区、江東区(関係3区)の地位公共交通計画とマッチさせ、あるべき姿と実現に向けた取り組みをまとめる。
・計画期間は2026年度〜2030年度(5年間)
計画区域


改定の背景
2021年3月版の「東京都臨海部地域公共交通計画」は東京2020大会開催などを背景に策定。その後、新型コロナの影響やインバウンド急増などにより、公共交通サービスなど移動手段確保が課題になった。これらに対応するため改定する。
計画の目的
東京駅周辺、新橋、虎ノ門(都心部)と勝どき、晴海、豊洲等(臨海部)に都市機能集積。基幹交通となる東京BRTの路線サービス拡充が進展している。
都市づくりの進展に伴う移動需要の変化、インバウンドを含めた来訪者増加に対応した移動サービスの提供を目指す。
都市づくりとマッチした公共交通網の構築を目的として、臨海部と都心部の公共交通のマスタープランとして改定する。
臨海部における地域公共交通のあるべき姿
「利便性・快適性を兼ね備えた地域公共交通サービスの充実」をあるべき姿とする。
増加が見込まれる交通需要への対応と、鉄道へのアクセスが不便な地域を解消するため、速達性・定時性の高い東京BRTを更に充実させ、都心と臨海副都心との連携を強化するとともに、相互の交流を図り沿線地域の活性化を図る。
東京BRTが幹線的公共交通として計画区域の骨格になると明記
基本的には、速達性を生かした東京BRTが、幹線的公共交通として計画区域の公共交通ネットワークの骨格を形成する。
地域の足として重要な役割を担っている路線バスについては、鉄道、ゆりかもめ及び東京BRTと連携し、地区内及び地区間の公共交通ネットワークを充実させる。
さらに、コミュニティバスが東京BRTや都営バスと連携しつつ、地域のきめ細かなニーズに対応することで、計画区域における交通利便性の向上を図る。
基本方針の見直し
前計画に示した4つの地域の課題を4つの基本方針に見直した
東京BRTに強く関連するものが2つ。別エントリにまとめる。
東京BRTを軸とした交通ネットワークの充実

・計画区域内の開発に伴う人口増加や、訪日外国人を含む多様な来訪者の増加により、公共交通の利用が拡大。
・イベント開催時などに交通需要が一時的に集中するケースなどの課題が拡大。需要変動に柔軟に対応する仕組みが必要。
・今後は東京BRTを軸に、路線バス・コミュニティバス等の連携を深め、増加する交通需要や移動ニーズに対応できるよう、交通ネットワークの更なる充実を図る。
・拠点整備や大規模イベント開催により増加・変動する交通需要への対応として、地域公共交通だけではなく、集客施設やイベント主催者などと連携した移動サービスを視野に入れた施策展開を検討する。
指標・目標値
▼東京BRTと他の路線バス等との連携を深め、交通 ネットワークを充実
・利用者ニーズに合わせた東京BRT及び路線バス等 の運行適正化 5件
▼臨海部の需要集中に応じた移動サービスの導入対応
・集客施設と連携した需要集中への対応 3件
▼東京BRTの延伸や路線バス等の運行適正化などによるバス利用喚起
・東京BRT及び路線バス等の合計利用者数の増加 2025年度比5%増
交通手段間における乗り継ぎ利便性の向上
現状
・計画区域の幹線的交通は東京BRTが担っている。都営バス、コミュニティバスはその補完。シェアサイクル、舟運など多様な交通モードの普及で従来の交通結節点以外での乗り換え利便性向上が必要になっている。
・一部の東京BRT発着場所などの交通結節機能は限定的。
目指す内容
・交通事業者、大規模開発事業者、公有地管理者等が連携した「交通広場」の整備・機能向上・再生
・比較的コンパクトな乗継拠点となる「モビリティハブ(マルチモビリティステーション)」の整備
・「バス待ち環境の更なる高質化」により、鉄道とバス、さらにはシェアリングサービスとの相互乗換えの実現・拡大
指標・目標値
▼情報発信や停留施設の改善による乗り継ぎの円滑化および快適性の向上
その他の2つの基本方針
東京BRTとの関係が比較的薄い2つの基本方針はこちら。
臨海部の特性を活かした回遊性のある移動環境の形成
現状
・選手村跡地開発による大規模住宅地整備
・MICE・国際観光拠点整備に伴い、商業・ 業務施設、文化・娯楽施設、研究開発施設等の高次都市機能が集積
→常住人口、従業員数及び訪日 外国人等の来訪者が増加
目指す内容
・ICTを活用した多様なシェアリングモビリティや自動運転技術の導入等、新たな移動サ ービスの展開拡大
・歩行空間の確保、歩行者利便増進道路(ほこみち)制度活用の検討
指標・目標値
▼シェアリングサービス拡大の中、更なる利用促進を目指したポート数の増加
・シェアサイクルのポート数の増加(継続調査)30か所▼計画区域内での再開発や拠点整備に伴い、快適な歩行空間を形成
・まちづくりと連携した回遊性向上に寄与する歩行者空間の創出 4件
▼その他
自動運転技術を活用した移動サービスの実現
・計画区域でのレベル4自動運転サービスの先行的社会実装を推進

ユニバーサルデザインに配慮した交通施設や情報提供機能の整備加速
現状
・鉄道駅構内の移動や交通結節点での乗継ぎ等において、交通施設のバリアフリー化が進展。ユニバーサルデザインの理念に基づいた交通施設整備が拡大や案内誘導等の情報発信といった展開が拡大
・鉄道とバスや自転車等の交通モード間の連携やバリア解消は、交通機関同士の連携不足で遅れている
指標・目標値
▼視覚情報(表示の内容、方法、位置、色相、明彩度 などの表現の使い分け)、音声情報(音源発信の位 置、音量、音質等、音声内容のわかりやすさ)及び 触覚情報(点字ブロック、触知案内板等)の充実
・多言語対応の案内の充実 ・多様な移動制約者などに配慮した施設や案内の工夫 1件
パブリックコメントの実施について
パブリックコメントが実施されている。
実施期間は2025年12月23日から2026年1月21日。
東京都臨海部地域公共交通計画(改定案)御意見を募集|都庁総合ホームページ
参考 #2183 公共交通アクセス性低いのは豊洲四丁目のみに 地域公共交通計画の調査、分析、評価
2024年12月に現在の計画の進捗状況に関する分析が公表されている。東京BRTに関する記載が多いことが目に留まる内容だった。
感想・まとめ
正直、ここまで踏み込んでくるとは思っていなかったが、東京臨海部の公共交通の課題を解決する現実的な手段として東京BRT以外に選択肢はないということだと思った。
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臨海部の幹線的公共交通と明確に位置付けられた東京BRT。計画期間となる2030年度までの間、具体的にどのような施策が行われる方向なのかは次の記事で示す。