築地市場跡地の再開発「築地まちづくり事業」について、進捗はどうなっているのだろうか。事業予定者選定の過程で出された課題に対する事業者サイドからの回答と見られる内容が事業マネジメント会議の中で公表されている。(2025/03/21)。
- 事業予定者の選定にあたって審査委員から示された意見の反映について
- そのほか(マネジメント会議より)
- 感想・まとめ
- 参考リンク等
事業予定者の選定にあたって審査委員から示された意見の反映について
委員から示された課題はこちら。実に多岐にわたる。
これらの指摘を計画にどう反映させるか。
示されたのがこちら↓。
(1)築地の資源を生かし、東京の魅力を高める取組について
反映方針:専門家等を交えて議論できる場を組成し、継続的に検討・アウトプット・改善
• 築地の文化、歴史を継承しつつ、スポーツ・エンターテインメントや食文化等を含む新たな文化を創造、醸成、発信するなど東京の魅力を高める取組を実施。
・イノベーティブマインドを持ったクリエイターや専門家等を交えて継続的に議論できる場を組成し、計画・事業段階に応じて検討を深度化しつつPDCAを回しながら検討・アウトプット・改善を持続。
(2)都民等が訪れたくなる空間の創出について
反映方針:歴史を継承し、周辺資源と調和するランドスケープを計画
• ランドスケープの3つの要素(歴史の継承・水都東京の再生・周辺資源との調和)を軸に、日本庭園の思想(回遊性・多様な庭・四季(植栽)・水景など)や西洋文化を取り入れてきた土地の記憶・精神を継承し、現代的に解釈・再現した、動的な変化を楽しむ新たな空間を創出します。
• 浜離宮恩賜庭園の緑と水、築地場外市場のにぎわい・界隈性、新橋・銀座の街並みや文化といった周辺環境の資源や特性を活かし調和を図るとともに、新たなつながりによる豊かさとにぎわいを創出します。
• 隅田川沿いにおいては、5つのゾーンに分け、静と動、日常と非日常、多様で異なる活動が表出した水辺の風景をつくります。また、まちから水辺へのアクセス性や視認性を強化することで、人々を水辺へと誘う動線計画とします。
• 築地川沿いについては、ホテル棟の低層部ににぎわい機能等を導入するなど、ひらかれた魅力的な空間とします。
隅田川沿い
確認できる施設群
・ベイサイドデッキ
・キッズクリエイターズパーク
・水辺の森
・隅田川芝生公園
・水辺の劇場
・ガーデンテラス
・勝どき舟運テラス
築地側沿い
確認できる施設群
・浜離宮テラス
・みどりのプロムナード
・築地の森
・水辺の森
(3)東京の水辺の玄関口にふさわしい景観形成について
反映方針 築地の文脈・歴史を継承し、日本の伝統を表現するデザインと浜離宮恩賜庭園と調和した景観形成
• 日本の伝統を表現し、築地の次の時代のシンボルとなるモチーフによるデザインとします。
• 計画地は、隅田川沿いという特性を生かし、陸・海・空の視点場を意識した東京の新たな玄関口としてふさわしいデザインとします。
• 大規模集客・交流施設の屋根については、道路の安全確保を最優先する観点から形状を見直します。
• 浜離宮恩賜庭園等からの見え方については、隅田川への緩やかなスカイライン、浜離宮恩賜庭園からの壁面後退、塔状建物による見附面積の縮小・隣棟間隔の確保、庭園に対して正対配置とせず雁行して配置すること等により、庭園からの眺望の開放感や視線の抜けを確保し、圧迫感を軽減します。また、今後の計画の具体化に当たり、低層部の緑化や建物の色彩・外装材等を引き続き検討し、庭園の自然と建物が調和した景観へと配慮します。
(4)環境配慮について
反映方針:築地の潜在力を最大限活用した環境配慮の取組を実施
• 街区全体で先端技術を活用し最大限の省エネを行うとともにオンサイト(計画地内)発電を行い、不足分をオフサイト (計画地外)等の電源調達によりCO2排出量実質ゼロを目指します。
• ライフサイクルを通じたエネルギーの最大効率化等、コミッショニング(性能検証プロセス)技術の活用検討を含めた 高度なエネルギーマネジメントを実装し、最先端の環境都市のモデルを目指します。
• 後背地への上空の風の流れ(夏の南からの卓越風)を最大化する配棟計画とします
(5)安全性の確保について
反映方針:周辺地域と連携し、防災力を強化/交通負荷を軽減
• 周辺地域を含めた防災拠点となるオープンスペースの整備や一時滞在施設の確保を図ります。
• 広域交通結節点において、陸・海・空のネットワークを活用した防災拠点を構築します。
• 歩行者ネットワークによる銀座・新橋方面等の周辺地域との回遊性向上、安全安心の歩行者動線確保の観点から新大橋通り沿いに複数のデッキ整備を検討します。
(6)その他
反映方針:まちづくりのフェーズに応じた情報発信・都民等の意見を受け付け
• まちづくりのフェーズに応じ、WEBページや本事業現地の情報発信拠点等により、まちづくりのコンセプトや取組状 況等についての積極的な情報発信や都民等の意見の受け付け等を実施し、開業前からまちづくりの機運醸成を図ります。
• 築地の文脈・歴史を継承し、日本の伝統を表現する統一的なデザインモチーフにより、世界に向けた総合的なブラン ディング戦略を展開します。
そのほか(マネジメント会議より)
・大規模集客交流施設のデザインは洗練されてきた
・MICE棟のデザインはまだまだ
・懸念されていた環状2号線の安全性という面では評価。
感想・まとめ
気になってた部分の回答が結構きちんと示されていた。
・日本庭園の思想
・築地側沿いのホテル低層部への賑わい施設導入
・交通への安全の観点から大規模集客交流施設の屋根の形状見直し
・抜けを良くして圧迫感を軽減する配棟計画
・歩行者ネットワーク強化による銀座、新橋方面の回遊性向上と新大橋通りへの複数のデッキ整備
5万人スタジアムのアクセス強化として、
歩行者ネットワークのみによる交通環境改善はいかにも弱い。
2040年以降が見込まれる臨海地下鉄新線の開業までに
繋ぎとなり得る方法を示し、検討すべきだろう。
基本計画の内容公開されていないが、
整備計画のメニューとしては
1 土地利用計画(配棟計画、ゾーニング、風環境の考え方ほか)
2 都市基盤整備計画(自動車交通ネット、歩行者ネット、広域交通結節点)
3 景観形成計画
4 ランドスケープ計画
5 環境配慮・防災計画
6 スケジュール
の6項目が示されていた。