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東京都中央区、江東区の臨海部を中心としたメモ。独自の情報を除いては、報道ベースではなく、発表主体の情報をベースに書くことを基本にしています。最近はゲリラ的な花火大会情報も提供。

#2175 隅田川テラスは嵩上げ実施へ 地球温暖化による海面上昇、台風強大化で対策素案

将来の気候変動の影響を踏まえ、主に江東区を中心とする「東部低地帯」の河川の高潮対策について、適切な整備内容と整備時期を示すための「河川における高潮対策整備方針」の素案が2024年12月、東京都から発表された。江東内部河川のうちの西側河川で既設水門に閘門機能を整備することや隅田川テラスの嵩上げなどが盛り込まれている(2025/01/07)。

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各河川における整備内容

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高潮対策の整備目標

・平均気温が2度上昇する気候変動の影響を受けた高潮が発生した場合でも、現在の整備計画で目標とする高潮(伊勢湾台風級940ヘクトパスカル)に相当する治水安全度を確保

・将来の気候変動に伴う海面上昇、台風の強大化による高潮(伊勢湾台風級930ヘクトパスカル)に対して河川からの溢水を防止する

江東区内部河川等の水門より内側の河川について、平均気温が2度上昇する気候変動の影響を受けた降雨(降雨量変化倍率1・1倍)に対しても水門閉鎖時の降雨による溢水を防止する

整備手法の基本的な考え方

1 防潮堤の嵩上げ

 現況堤防高に不足する高さをコンクリート打ち継ぎ等により嵩上げを行う

2 スーパー堤防整備

(現在のスーパー堤防の計画高は気候変動を考慮した計画堤防高を上回る)

3 橋梁等の対策

 河川を横断する橋梁について、高さが不足する場合には防潮堤と同様に必要高さを確保。対策は掛け替えを基本とし、困難な場合は陸閘の整備等を実施

4 水門の整備

 防潮堤の嵩上げ、橋梁対策が難しい河川では水門や排水機場等と整備

整備時期の考え方

気候変動による海面上昇や台風の強大化等の進行に応じて変化する必要堤防高に対して、現行計画堤防高または現況堤防高の高さが不足する時期までに対策することを基本とする。気候変動を考慮した必要堤防高の推移については、2℃上昇に伴う台風の強大化が 2050 年時点で達成されることとし、2050 年以降は海面上昇が進行することを想定して、堤防高の不足時期を算出する。

優先度1の河川 2040〜2050年ごろ/嵩上げは0・3〜0・9m

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優先度2の河川 2080年ごろ/嵩上げは隅田川0・6m

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優先度3の河川 2100年以降/嵩上げは隅田川でなし〜0・6m

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隅田川スーパー堤防の整備で対応

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現在のスーパー堤防計画高が気候変動を考慮した計画堤防高を上回ることから、引き続き背後地の民間開発等と連携し、スーパー堤防を整備することを基本とする。

隅田川テラス

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現行のテラスは、親水性を確保するため、整備高をおおむねA.P.+2・5mで整備。気候変動に伴う海面水位上昇が進んだ場合、満潮時にテラスが浸水することが想定される。今後新たにテラスを整備する場合は、上流と下流の整備済み区間との連続性等を踏まえつつ、A.P.+3・0mで整備。

整備済み区間は、高さが不足する時期までに嵩上げを行う。対策時期は今後の海面水位上昇の推移を注視していくが、影響が顕著となる2050年頃までを目途に対策実施を目標とする。

東側河川/西側河川共通(江東区

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気候変動を踏まえた計画降雨(降雨量変化倍率1・1倍を考慮)に対しては、下水道等の将来計画を考慮した条件において、現在の排水機場の排水能力で現行計画高水位以下に収まることから、排水機場のポンプ能力の増強等の対策は必要なく、現在のポンプ能力を維持

西側河川(江東区

海面水位の上昇により、高潮以外に日常的な満潮位でも水門を閉鎖する可能性。小名木川等では船舶の通行が多いことから、満潮時の水門閉鎖時にも船舶の航行が可能となるよう、既設水門に閘門機能を整備する。2050年ごろを目標とする

参考 東部低地帯

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ゼロメートル地帯が広く分布

地震時の液状化の原因となる軟弱地盤が厚く堆積

すでに下流部に水門が整備されている河川(江東内部河川は除く)

対象:水門より上流側の中川、綾瀬川圏域の河川/内川、月島川、築地川、汐留川等

新たな対策方針は打ち出さない

感想・まとめ

 海や河川に近い場所ゆえ、高潮が発生した場合の被害はできる限り抑えなければならない。気候変動による海面上昇と台風の強大化は不可避だろうから、早め、早めの対策が必要となる。見た感じではこのまま通りそうな気がする。

参考リンク等

河川における高潮対策整備方針(仮称) (素案)=東京都建設局河川部