東京都港区の「汐留イタリア街地区」が2024年度の都市景観大賞の特別賞を受賞した。2012年以降では東京23区の受賞は8件目。大賞が3件、優秀賞が3件、特別賞が2件となった。過去、中央区の受賞は2021年度の優秀賞1件。日本橋2丁目の高島屋本館の保存に絡んだ再開発が受賞している(2024/10/06)。
都市景観大賞の概要
1991年度から優れた都市景観を形成している地区や地域の景観に関する活動を都市景観大賞として表彰。
2024年度 港区 汐留イタリア街地区が特別賞受賞
地区概要
・JR線路沿いに位置する約5・6ヘクタールの元流通業務系市街地
・地権者で組織された汐留地区対策協議会は1998年に生活再建を念頭に、中心広場を囲む汐留イタリア街の構想をまとめた
総評より
特別賞の「汐留イタリア街地区」は大規模再開発で超高層ビル街に変容を続ける東京都心で、それに抗うように、土地区画整理事業による土地の有効利用とともに町並み形成に明確なビジョンと強い意志を有しつつ、小さな間口の中層建築が連なる個性的な景観の街並みを実現した点に、特段の評価が得られた。
丁寧に作り込まれた街路、広場の公共空間とそこに面する個々の建物の設計上の工夫が景観の魅力を高めている。
ヒューマンな規模を維持した顔の見える都心空間の出現は大きな意味を持つ。
参考 東京都区内の受賞(2012年度以降)
2012年度「大賞」 目黒区 自由が丘地区
2015年度「大賞」 千代田区 大丸有地区内、丸の内仲通り沿道街区地区
2016年度「大賞」 江戸川区「新川千本桜沿川地区」
2018年度「特別賞」 板橋区「加賀地区」
2018年度「優秀賞」港区「赤坂一丁目地区」
2019年度「優秀賞」中野区「江古田三丁目地区」
感想・まとめ
中央区臨海部に乱立するタワマンを見ると、イタリア街に見られるような面的にコントロールされた街並みは貴重だと思う。
計画的に配置されている豊洲との違いが際立つ。
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中央区も2021年度に日本橋二丁目地区の約2・6ヘクタールが優秀賞を受賞している。こちらは、重要文化財のデパート建築の保存活用を核とし、隣の街区に登場した高層の建物にも基壇部にその高さ、基本構成を受け継いで街路景観に連続性を与え、両者の間に設けたガレリアが回遊性を生み出し、景観的にも機能的にも周辺地区に大きく影響を与えていると評価されたもの。これは高島屋の話だね。