東京・港区の「竹芝地区」が2022年度の都市景観大賞・都市空間部門の特別賞を受賞した。審査講評は複数の大規模開発間の調整が見られないことを指摘するなど、やや厳しい中身となっていた(2022/06/01)。
都市景観大賞 特別賞「竹芝地区」講評
全体を貫く個性や魅力にまだ欠けるものの、随所に優れた景観を見せる個別の開発を繋ぎ、連続的な都市空間としての質を上げる努力が実を結び始めた点が評価された。
・旧芝離宮恩賜庭園を含む広い地区
・竹芝エリアマネジメントを含む19者の連名による応募
・2つの大規模開発「東京ボートシティ竹芝」「ウォーターズ竹芝」と「都立芝商業高校」。
・都立校の学校敷地で環境緑化など地域に開かれたまちづくり
・2つの大規模開発は同じ時期に進められたのに景観としての協調や調整などはほぼ見られない。通常バラバラの開発はバラバラのままだが、この地区の場合地区全体がマネジメント団体としてまとまり、さまざまな活動が地区内各所で連携して展開しつつある。
・狭い意味での景観としての成果は限定的だが、人々の活動まで含めた景観という意味で今後に期待できる。
・都市景観作りとしてのこれらの取り組みの意義を認め、成果をあげつつあることから特別賞とした
「竹芝地区」概要
・エリアマネジメント範囲 28へクタール
都市景観上のポイント
・「竹芝夏ふぇす」の開催 魅力・賑わい創出に寄与
・旧芝離宮恩賜庭園夜間ライトアップ 地域の魅力向上
・「ちょっと先のおもしろい未来」開催 デジタルを活用したまちづくり
・竹芝地区船着場と竹芝干潟の整備・活用 舟運拠点整備と水辺の魅力向上に寄与する環境
感想・まとめ
このエリアはよく走りに行くので、受賞自体は喜ばしい。
都市景観大賞「国土交通大臣賞(大賞)、優秀賞、特別賞」3賞の中では特別賞は末席。
2022年度は大賞2件、優秀賞4件、特別賞1件だった。
大賞に対する審査講評では
「この場所をどのようにしたいのかを突き詰め、描いたビジョンの力が多くの人の心に響き・・・現代日本社会に大きな元気を与えてくれる。文句なしの大賞である」
優秀賞に対しても
「ボトムアップ型の景観まちづくりが実を結んだ価値ある成功例」
「地元市民団体と連携のもと、市の各課がコンセプトを共有し、一丸となって景観に取り組んだ事例」
「周辺景観に配慮した「身の丈再開発」の事例として他都市の参考になる」
など、高評価に値する文言が並んだのに比べると、
竹芝地区に対する審査講評はかなり辛辣。
ざっくりまとめると、
同時期の同一地区の大規模開発なのに景観の調整なんてこれっぽっちもしてないし、何やっとんねん。けど、エリアとしてはまとまって活動しているし、成果も出つつあるみたいなので特別賞あげるわ、
というところか。