銀座地区の周囲を回るように走る東京高速道路(KK線)。その上部を歩行者空間化する空中回廊「スカイコリドー」を含む東京都の「再生方針」(中間まとめ)に対して、地元銀座地区から東京都の主体的な関与や、行政と地元の会議体設置を求める要望書が出された(2022/03/30)。
要望書概要
銀座地区から出された要望の概要はこんな感じだった。
・「次世代モビリティ」の提供の記載があるが、歩行者の安全安心を第一優先として歩いて楽しいパブリックスペースを創出する観点での検討を求める
・運用体制に関し、ハードの再整備からその後の運営管理に東京高速(株)に加えて東京都の関与も求める。東京高速道路の再整備は東京都所有の旧河川上空の再構築。既存の東京高速のスキームに加え周辺地域と銀座が一体になり公共性を支えていくべき。
・東京高速道路下部の商業空間は今まで以上の負担(賃料等)がかからないよう配慮を
・NYのハイラインは国際コンペを実施。世界的注目を集める仕掛けに加え市民参加を促してきた。市民のための社会的意義と機能を持つ本事業。公共の場としての位置づけの担保、運用も広がりをもって維持される仕組みの構築に東京都が適切に関わる必要がある。東京高速に任せきりにしないよう求める
・銀座地区は超高層の街並みを歓迎していない。銀座から見て東京高速道路の外側に超高層が壁のように立ち並ぶ風景は望まない。銀座周辺の開発は東京高速道路、銀座の街並みの考え方に理解を。そして議論の場を設けるなど双方の関係性を再構築する環境整備を。
・縦動線について、銀座まちづくりの考えを踏まえて進めるよう求める。東京都には主体的に関与するよう求める
・東京高速上部空間整備について、沿道既存市街地との連携を重視するよう求める。東京高速線に接する銀座、沿道他地区の人々の営み、まちづくりの考え方を踏まえて協議・検討するよう求める
・銀座がヘリコプターの飛行経路として使われるのには絶対反対。東京高速道路の再整備後も歩行者が解放感ある都市空間を感じられるよう対策を求める。
・地元と行政が一体となって迅速に協議する会議体の基盤形成が基本。強く要望する。
参考:東京高速道路再生の事業化に向けた方針(中間まとめ)概要
適用する都市計画の手法
整備は施設所有者の東京高速道路(株)が行うことが基本。
・東京高速道路周辺の建物に縦方向動線を配置するなど一体的整備を誘導
・周辺の再開発事業による段階的な整備に柔軟に対応
・東京高速道路全線を含めた区域に「再開発等促進区を定める地区計画」を定める。
・都市計画尾具体的な内容は関連する都市高速や周辺のまちづくり計画との調整を図り段階的に都市計画手続きを進める
歩行者ネットワーク形成(イメージ)
5箇所に縦方向の動線を用意。
整備内容 上部空間=Tokyo Sky Corridor
広幅員(約16〜33m)の空間
・歩行者の通行空間+滞留空間。「視点場」を設ける
幅員約12mの区間:歩行者の通行空間
縦動線
・階段、エレベーターなどの縦動線は5箇所。
・既存の東京高速道路の出入り口の活用も。
整備の進め方
・上部空間の整備完了は2030年代〜2040年代を目標時期とする
・全区間を一度に整備することは困難。段階的整備による一部区間の早期解放を図る
管理運営スキーム
・東京高速道路再生の場合も、賃貸収入を管理運営に充当する現行のスキームを継承する。東京高速道路が管理することを基本とする。
・周辺のまちづくりと一体的整備を行う場合は適切な管理運営方法の調整を図る
感想・まとめ
銀座地区の周囲を走る東京高速道路に絡む再開発は銀座地区のあり方を大きく変えるかもしれないという危機感が滲み出た要望。
銀座地区の要望は銀座のまちづくりルールを守ることを前提に、東京高速道路にからむ周辺開発との折り合いを考慮するよう求めるもので、東京都の積極的な関与を求めている。
銀座が常に更新し続ける街であるために。銀座がんばれ。