羽田空港の大型格納庫を巡り興味深い裁判が進行中。東京航空局の訴えによると、羽田空港の敷地の一角を(おそらく)国から借りた石川県金沢市の会社が、航空機用の大型格納庫の所有権を持ったものの土地使用料を支払わず、建物の所有権を国の承認を得ずに他社に移転してしまったという内容らしい(2021/11/18)。
訴えの概要(東京航空局資料による)
羽田空港旧整備場地区の航空機用大型格納庫の建物敷地について、格納庫を取得した石川県金沢市の会社が適切な管理をせず、使用料も滞納している(東京航空局)
2016年3月30日
・国有財産使用不許可処分(国有財産の使用許可更新不許可、構内営業承認の期間更新の不承認)
※不許可、不承認の理由
- 営業開始当初から4年連続赤字で黒字達成の見込みがない
- 敷地の使用開始当初から5年連続で使用料の支払いが遅延
- 格納庫に無断で根抵当権を設定(空港管理規則違反)
- 当初申請時に提出された銀行の預金残高証明書が偽造文書と判明
その後
敷地の原状回復と返還請求(現在までなされていない)
国の承認を得ずに金沢市の会社から東京都渋谷区の会社に所有権移転登記
国が2件の訴訟提起(2021年11月10日)
石川県金沢市の会社に対し
「建物収去土地明渡請求訴訟」
東京都渋谷区の会社に対し
「本件格納庫の登記名義を金沢市の会社に戻す所有権移転登記抹消登記請求訴訟」
今後民事訴訟にて
・速やかな原状回復と返還
・不法占拠に伴う損害金の支払い請求
を行う。
「第三者が手を出したら、そいつにも法的措置をとりまっせ」
追記 山内元参議院議員の汚職事件に絡んだ裁判だった(2021/11/29)
事件概要(NHK、日本経済新聞)
2019年3月、山内元議員が関係する会社「羽田空港格納庫」の資金、約1億円を私的に流用したとして業務上横領の疑いが持たれている
・羽田空港格納庫は2018年4月、格納庫売買のために設立され、その年に羽田空港の格納庫を前の所有者から28億円で購入契約締結。
・土地を所有する国への支払いにあてる2億8000万円を一時、元議員が代表を務めていた一般社団法人に預けていた。
・このうちのおよそ1億円を別の2つの会社の口座に不正に送金した疑い(日経は振り込ませて着服した疑い、と表記)。
感想・まとめ
係争中なのであくまで国の見方だけど、空港施設の「不法占拠」と指摘されてる。
使用が不許可になった土地のウワモノの所有権移転登記って可能なのね。
不許可、不承認の理由を見る限り会社側は苦しいと思うけど、どのような主張で対抗しているんだろうか。上告審も近く決着するんじゃないかなあ。
・・・
(追記:2021/11/29)山内元参議院議員の汚職事件と絡んでいたのってここだったのか。
ちょっとびっくり。