JR品川駅周辺で明治初期に鉄道を敷設するために海上に構築された構造物「高輪築堤(ちくてい)」の一部が出土し、少なくとも一部は現地保存の方向で動き出しているようだ(2021/03/12)。
(JR東日本)
高輪築堤とは
1872年(明治5年)に日本初の鉄道が開業した際、海上に線路を敷設するために築かれた鉄道構造物。当時、東京〜横浜を結ぶ29キロの鉄道敷設が決定されたが、高輪周辺の土地は国防上必要という理由で鉄道を通せず、一部区間2・7キロは海上に築堤を建造して列車を走らせたのだそうだ。
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品川付近の明治時代の古地図があった。こんなルートだったようだ。
(Goo地図)=古地図
経過
2019年4月 品川駅改良工事 石垣の一部発見
(港区)
内部構造
(港区)
・堤の芯の部分を土砂で埋め立て、盛り土して海側と山側に石垣を積み上げているらしい。今後構造の確認などの調査を実施する。
港区の立場
港区教育長から事業者に保存要望書を提出。
JR東日本の立場
・移築/一部保存が軸。全面保存は否定(2月定例会見)
・再開発エリアの真ん中に出土しているので、全面保存は難しい選択肢。一部の現地保存、移築保存を検討している。
保存か、開発か…JRと研究者で埋まらぬ溝<高輪築堤跡>:東京新聞(3月10日)
ほか。
時事通信報道
・時事通信(2021年3月11日)
・萩生田文部科学大臣「地区の開発をしながら遺構を残す案が大体まとまった」
感想・まとめ
文化財には「現地保存の原則」というのがあって、史跡指定を受けるには、別の場所への移築保存ではダメらしい。史跡指定が視野に入っている様子なので、少なくとも一部は現地保存ということになりそう。ただ、開発を止めかねない全面保存は難しそうで、現地には一部を残して史跡指定を受け、ほかの部分は移築という妥協案になるのではないかな。